着地型観光が今以上に盛り上がる? 「新たな時代の旅行業法制に関する検討会」に見るこれからの旅行業界

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平成28年(2016年)11月25日に開催された第2回「新たな時代の旅行業法制に関する検討会」の中間取りまとめ案が発表されました。

少々堅苦しい名称で何を目的にしているのがいまいち分かりにくい検討会ですが、訪日外国人観光客の受け入れ環境整備、地域独自の魅力を生かした着地型観光の促進などを狙いとしており、背景にはいわゆる「モノからコトへ」「観光客の趣味趣向に合ったディープな旅行体験」といったテーマがあります。

あくまでも「中間取りまとめ案」であるため「新たな時代の旅行業法制に関する検討会」は引き続き行なわれますが、次回開催は、法案の制定作業が進展した後になる予定です。テーマのひとつである「ランドオペレーターに関する規制の導入」に関しては平成28年度中に法案提出される方針です。「中間取りまとめ」という名称のわりには影響力が大きいとみるべきでしょう。

今回は「新たな時代の旅行業法制に関する検討会」の中間取りまとめ案から、今後の旅行業界で起こる変化について見ていきましょう。

 

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「新たな時代の旅行業法制に関する検討会」が開催されている背景

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「新たな時代の旅行業法制に関する検討会」で観光、旅行業はどう変わる?

それでは、「新たな時代の旅行業法制に関する検討会」の中間取りまとめ案ではどのような提案がなされているのでしょうか。事業者に影響が大きいと思われる「旅行業務取扱管理者試験」「ランドオペレーターにかかわる制度の創設」にしぼってご紹介します。

旅行業務取扱管理者試験:地域に特化した旅行事業者向けの試験を創設

現行の旅行業務取扱管理者試験では「旅行業法」「約款」「旅行実務」が試験科目となっていますが、このうち、「旅行実務」の試験では全国の地理、歴史といった問題が出題されます。これは各地域に特化し、着地型観光の商品を提供する旅行事業者にとって不可欠なものではありません。

そこで「地域限定旅行業者」向けの試験を新たに創設すべきと提案されています。また、既存の旅行業務取扱管理者試験は旅行者の安全確保、法令順守などを重要視した内容に変更すべきとされています。これは平成28年1月15日に発生した軽井沢スキーバス事故などを受けた動きと思われます。

ランドオペレーターにかかわる制度の創設

ランドオペレーターツアーオペレーター)とは旅行会社の委託を受け、旅行の現地手配を行う企業のこと。観光客が快適に旅行を楽しむためには不可欠な存在である一方、近年は利益優先による質の低い旅行商品の提供、ダンピング契約による安全性の低下などが問題化しています。観光庁の調査によれば、ランドオペレーターのうち旅行業者の登録を行っているのは約2割で、そのほとんどは旅行業法で管理できない状態になっています。

そこで「新たな時代の旅行業法制に関する検討会」の中間取りまとめでは、ランドオペレーターツアーオペレーター)に対して的確な指導ができるような規制を設けるべきだとしています。また、実効性を高めるために、無登録のランドオペレーターツアーオペレーター)と取引した事業者を処分できる体制を作るべきという提案も見られます。

ただし、前述のとおり、ランドオペレーターツアーオペレーター)の登録率は約20%しかありません。無理を強いると、せっかく作った制度が機能しない……という展開が予想されるため、旅行者の安全確保を最優先とした最低限の規制を行うことなどが検討されています。

 

まとめ:未来の旅行業界の基礎づくり

平成28年(2016年)11月25日に開催された第2回「新たな時代の旅行業法制に関する検討会」の中間取りまとめ案が発表されました。ここでは旅行業務取扱管理者試験制度の見直し、ランドオペレーターツアーオペレーター)にかかわる制度の創設などについて検討されています。

近年、必要視されているニューツーリズム着地型観光の促進や観光客の安全対策などを目的としており、旅行業界に関連した法制度を時代に合ったものに改めることが狙いです。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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