2016年の訪日外国人観光客数は、政府が2020年までの目標に掲げていた2000万人(のち4000万人に変更)を突破。関東地方では東京オリンピック、パラリンピック、関西地方ではラグビーワールドカップ、関西ワールドマスターズゲームといった需要拡大が見込める大規模イベントがいよいよ数年後に迫っており、インバウンド観光市場は新たな局面を迎えています。
関西地方のインバウンド観光振興などに取り組んでいる関西国際観光推進本部は平成28年(2016年)12月22日、平成29年(2017年)4月に「関西観光本部」を設立することを発表しました。関西広域連合、関西経済連合会による同様の事業を引き継ぎ、訪日外国人観光客の誘致やおもてなしに取り組む方針です。
では、今後、関西地方ではどのようなインバウンド市場を盛り上げる取り組みが現れるのでしょうか。関西地方特有の動きも交えつつ、ご紹介していきます。
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関西60団体による関西観光本部が発足! 主な関連団体は?
まずは関西観光本部に関連する各種団体から解説していきましょう。
関西広域連合
関西広域連合は平成22年(2010年)12月1日、複数の府県(関西地方の2府5県)により構成された全国初の広域連合として発足。個々の自治体では対応しきれない野生鳥獣対策、関西全体での防災減災プランの推進などに取り組んできました。平成27年(2015年)にはさらに奈良県、政令市4ヶ所(京都市、大阪市、堺市、神戸市)が加入しています。
関西経済連合会
関西経済連合会(略称:関経連)の創立は1946年で、すでに60年以上の歴史を持っている団体。平成28年末時点で関西で経済活動している企業や団体、学校法人など約1300の会員が所属しています。中小企業のものづくりやソフトウェア産業の強化支援、都市の魅力づくりなど、さまざまな活動を行っています。
関西国際観光推進本部
両団体をはじめとした関西の約60団体により構成されるのが、関西国際観光推進本部です。平成28年3月に設立され、訪日外国人観光客をターゲットとした以下のような取り組みを行ってきました。
- 関西広域での国際観光プロモーション:広域観光周遊ルート「美の伝説~THE FLOWER OF JAPAN,KANSAI~」などのプロモーション活動
- 関西統一交通パス「KANSAI ONE PASS」:関西の主要な鉄道・バスに乗車できる統一交通パス「KANSAI ONE PASS」の購入者向けWebサイトを開設し、施設、店舗情報などを発信
- マーケティング調査、セミナー:ターゲットとする訪日外国人観光客の国や地域別に調査を行い、データを整備。セミナー、説明会などの開催も
関西の広域観光周遊ルート「美の伝説」の特徴:世界遺産、絶景で欧米、アジアの訪日外国人観光客を狙う
訪日外国人観光客による周遊旅行の拡大を目的に、テーマ、ストーリー性を持った形で観光ルートをまとめ、海外へ積極的な発信を行う「広域観光周遊ルート形成促進事業」。日本各地で、それぞれの地域の魅力を活かした個性的なモデルコースが設定されており、想定されるターゲット層、ニーズまで掲げられています。今回は数多くの世界遺産、景勝地を持つ関西の広域観光周遊ルート「美の伝説 THE FLOWER OF JAPAN,KANSAI」をご紹介します。訪日客の地方誘致に重要なのは、まず「知ってもらうこと」。効果的...
インバウンドビジネスに向けた交通機関の変化:訪日外国人観光客専用チケットの販売、観光情報の発信も
使い勝手の良い移動手段が無ければ、旅行を楽しむのは困難です。海外から訪日外国人観光客を招くうえで、交通機関の整備は優先的に対応すべき課題だと言えるでしょう。政府が「観光先進国」を目指し、訪日外国人観光客の増加に力を入れている今、鉄道や空港などの交通機関の周辺では、大きな変化が起こっています。多言語対応や訪日外国人観光客向けのチケットの販売に加え、観光情報の発信などが行われていることも。インバウンドビジネスを行っている観光業、飲食業者にも影響があるのではないでしょうか。今回は、交通機関に関連...
各団体の観光振興事業を引き継ぐ関西観光本部
関西広域連合、関西経済連合会、関西国際観光推進本部はそれぞれインバウンド観光振興策に取り組んでいます。平成29年4月に発足する関西観光本部はそれらの事業を引き継ぐことが明らかになっており、各種団体の取り組みを一本化する目的があると見られます。
関西観光本部の詳細はまだ明らかにされていませんが、英語、中国語、韓国語の3ヶ国語に対応し、24時間利用できるコールセンターの設立、無料Wi-Fiスポットの案内などの取り組みが行なわれることが明らかになっています。
どうしてこのタイミングで関西観光本部が発足したのか
なぜ、このタイミングでインバウンド観光振興を一手に担う関西観光本部が設立されたのでしょうか。大きな理由として考えられるのは、2020年がもうすぐに迫っていることです。関西地方ではその前年である2019年にラグビーワールドカップ、2021年に関西ワールドマスターズゲームズが開催されます。全国的に大きなインバウンド需要が発生することが予想される2020年東京オリンピック・パラリンピックに加え、関西地方では連続的に国際的なイベントが開催されるのです。
関西国際観光推進本部が発表している「KANSAI国際観光指針」によれば、2018年までに以下のような取り組みが行なわれる予定です。
- 官民一体、オール関西による「KANSAI」ブランドの構築
- 快適な旅行環境の実現:多言語対応、回遊性向上、通信環境の整備など
- 観光資源の発掘・活用:文化・商業・自然・産業といったテーマ別、季節別での観光資源の細分化など
まとめ:2020年前後の需要拡大に向け、関西一丸となってインバウンドを盛り上げる!
平成29年(2017年)4月、関西観光本部が発足します。関西広域連合、関西経済連合会、関西国際観光推進本部の事業を引き継ぎ、関西一体となってインバウンド観光振興に取り組む見込みです。
関西地方では2020年東京オリンピック・パラリンピックに加え、2019年ラグビーワールドカップ、2021年関西ワールドマスターズゲームズによる需要拡大が予想され、早急な環境整備が求められています。
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
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→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
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