もうすぐインバウンド関連業界の激変期がやってくる…民泊解禁とともに変わろうとしている旅行業法、旅館業法 更に通訳案内士、ランドオペレーターでも法改正

平成29年(2017年)3月10日、「住宅宿泊事業法案(いわゆる民泊新法案)」が閣議決定され、日本での民泊解禁に向けた動きが少しずつ進められています。それとともに、同日、「通訳案内士法及び旅行業法の一部を改正する法律案」の閣議決定も発表。民泊以外の側面でもインバウンドに関連した制度のあり方が大きく変わろうとしています。

今回は民泊解禁と同時期に大きく変わろうとしている旅行業法、旅館業法などについてご紹介します。

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解禁か?規制か?評価が分かれる民泊新法・改正旅館業法、閣議決定:年間180日まで営業可能に規制緩和の一方違法民泊には罰金100万円

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日本における民泊制度の変遷:インバウンドの盛り上がりと共に議論が進んだ

「『民泊サービス』の制度設計のあり方に関する検討会」がスタートしたのは、平成27年(2015年)11月27日。それ以降、約半年間にわたって開催されました。

平成28年(2016年)3月15日に発表された「中間整理」では、違法な民泊サービスの広まりに早急に対応するために、旅館業法における「簡易宿所」の枠組みを活用することを提言。大ざっぱに言ってしまえば、「 合法的な形で運用してもらいたいが、法整備には時間がかかる。だから、ひとまず旅館業法で扱うことにします 」という対応の仕方です。

そして、同年6月20日に発表された「最終報告書」では、健全な民泊の普及を目指した制度のありかたについて言及。 「一定の要件(宿泊日数など)」が範囲内であれば、旅館業法の営業許可を取らなくてよいという方針 を示しました。これにより、 ホテルや旅館に分類されるものは旅館業法、民泊はこのほど閣議決定された住宅宿泊事業法案に従う という図式が成立しました。

 

民泊解禁に合わせて、旅行業法、旅館業法にもメス

「中間整理」「最終報告書」内では民泊の制度整備に合わせて、関係分野での制度見直しが必要と述べられています。

旅行業法に関しては、「仲介事業者に対しては、サービス提供者が適法にサービスを提供しているかどうかの確認を求め、 違法なサービスの仲介行為や広告行為を禁止する 等の一定の規制を課す必要があるのではないか」との仲介業者のあり方について考え直す必要があるとの考えが明らかにされました。

また、旅館業法に関しては民泊に対する規制内容とのバランスなどを考慮し、合理的ではないルールの見直しを「早急に検討すべき」としています。見直しが必要とされている内容は以下の通り。

  • 旅館とホテルの営業許可の1本化、許可基準
  • 宿泊拒否の制限規定については不当な差別に留意すつつ、合理的な方向
  • 旅館業法違反に対する罰則の強化、立入調査権限の整備
  • 賃貸借契約、管理規約に反していないことを担保できる仕組みづくり

 

同時期に検討会が実施されていた通訳案内士、ランドオペレーターでも法改正

「通訳案内士法及び旅行業法の一部を改正する法律案」は平成28年(2016年)10月に設置された「新たな時代の旅行業法制に関する検討会」を踏まえたもの。民泊との直接的な関係はありませんが、ちょうど同時期に議論が行なわれていたことになります。

こちらの法案の背景にあるのは、 通訳案内士の人材不足や旅行に関する企画、手配を行うランドオペレーターの質の低下 など。訪日外国人観光客へのおもてなしの充実化や、トラブル回避の狙いがあります。

通訳案内士:人材確保と多様なニーズへの対応

通訳案内士に関しては人材を確保するために、同資格を業務独占から名称独占へと変更。これにより、 通訳案内士資格保有者以外でも、通訳案内士と同様のサービスを提供できるようになります 。また、「地域通訳案内士」という新たな資格制度が設けられ、地域に特化した通訳ガイドが育ちやすい環境づくりが行なわれました。

近年、訪日外国人観光客数の増加とニーズの多様化が同時的に発生しており、地域体験、交流体験を求める旅行者が増えているため、このような形になったようです。

ランドオペレーター:登録制により、悪質業者などを排除

ランドオペレーターに関しては、かねてから業務の丸投げによる安全性の低下や 訪日外国人観光客に高額な商品を購入させようとする悪徳業者の存在 などが懸念されていました。

これらの対策として、旅行業法を改正して旅行サービス手配業を登録制に移行させるほか、管理者の専任、書面交付などが義務付けられることになりました。また、特定地域の旅行商品に特化した「地域限定旅行業務取扱管理者」という資格制度が創設。従来は、このような業務を行いたい場合でも「旅行業務取扱管理者」を取得する必要がありました。

 

まとめ:インバウンドを皮切りに大きく変わろうとしている旅館業法、旅行業法

平成29年(2017年)3月10日、「住宅宿泊事業法案(いわゆる民泊新法案)」とともに、「通訳案内士法及び旅行業法の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。両法案は同時期に検討会で議論が進めれていたテーマで、ともに旅行業法、旅館業法に関連しています。

さまざまな側面から旅行関連業界の仕組みにメスが入れられており、訪日外国人観光客をおもてなしするための環境づくりが進められています。

<参考>

  • 「民泊サービス」のあり方に関する検討会 |厚生労働省
  • [「通訳案内士法及び旅行業法の一部を改正する法律案」を閣議決定 2017年 報道発表 報道・会見 観光庁](http://www.mlit.go.jp/kankocho/news05_000226.html)
  • [「通訳案内士法及び旅行業法の一部を改正する法律案」を閣議決定 2017年 報道発表 報道・会見 観光庁](http://www.mlit.go.jp/kankocho/news05_000226.html)

 

 

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