国際的に人気を博している民泊。現在、日本では解禁に向けた議論が進められている最中ですが、早くも民泊需要が高まりを見せているようです。
「国家戦略特区」制度を活用した「特区民泊」を行っている大阪府の大阪観光局が平成29年(2017年)3月28日、関西国際空港で訪日外国人観光客を対象とする調査結果を発表。 訪日外国人観光客の約2割が宿泊施設として民泊を利用 していたことが分かりました。
今回は、この大阪観光局による「関西国際空港 外国人動向調査結果」をご紹介します。
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「関西国際空港 外国人動向調査結果」の調査方法
「関西国際空港 外国人動向調査結果」は、大阪府を訪れる訪日外国人観光客の訪問先や消費動向などを詳細に把握するために実施された、関西国際空港の国際線出発フロアで訪日外国人観光客3903人を対象とした対面調査。平成28年(2016年)7月19~30日、10月31日~11月11日、平成29年(2017年)1月19~30日、3月10~21日の4回にわたって調査が行われました。
回答者の国籍は上位から順に、以下の通りとなっています
- 中国:914人(20%)
- 韓国:734人(18%)
- 台湾:409人(10%)
- アメリカ:229人(6%)
- オーストラリア:195人(6%)
- フィリピン:189人(6%)
- 香港:163人(5%)
- マレーシア:114人(4%)
- タイ:113人(3%)
- インドネシア:105人(3%)
- フランス:75人(2%)
- ドイツ:74人(2%)
- イギリス:72人(2%)
宿泊施設として民泊を利用する訪日外国人観光客 およそ5人に1人!
大阪府での宿泊施設について質問したところ、以下のような回答が得られました。
- ホテル:56%
- 民泊:19%
- 旅館:7%
- 親族・知人宅:5%
- 別荘・コンドミニアム:2%
- 研修センター:1%
- その他:10%
過半数を占めるホテルの次に多いのが民泊(19%) 、旅館利用者はその3分の1程度の7%に留まるという結果に。大阪府の一部地域で「特区民泊」という形で民泊が解禁されたのは昨2016年4月で、大阪市はさらに遅い10月。1~半年しか経ってないにもかかわらず、民泊がここまで人気を博しているというのは意外なのではないでしょうか。
ただし、「関西国際空港 外国人動向調査結果」の発表から数日経った2017年4月3日、大阪市は「インターネットによる仲介サイト等を介して、自宅や空家等の全部または一部を活用し、訪日外国人を宿泊させる『民泊』が急増」としたうえで、 「(必要な手続きをとらずに)営業を行った場合は、旅館業法違反となり、罰則も規定されています」「宿泊予約の際には、旅館業法に基づく許可や特区民泊の認定を受けた施設かを御確認いただくようお願いいたします」 などと違法な民泊事業者に注意するよう促す発表を行っています。
解禁に乗り出す民泊新法案がいよいよ国会提出 その一方で、ヤミ民泊が横行しているという調査結果も
宿泊施設不足の解決や新たな需要の創出などのポジティブな側面に加え、近隣住民とのトラブル、違法な業者の存在といった問題を懸念する声も多い民泊。かねてから平成29年(2017年)中に行うとされていた、その新法案の閣議決定、国会提出が3月中に実現する見込みです。いよいよ日本でも、本格的に民泊が解禁されることになります。今回はすでに明らかになっている民泊新法案の大枠に加え、今後、課題として浮き彫りになっていくであろう違法な民泊業者の問題についてご紹介します。 目次日本における民泊のこれまで新法案で...
民泊が持つ低コストで利用できるメリットや人気の高さなどを考えれば「民泊の解禁を受け、大阪府で急速にニーズが拡大した」という捉え方は可能です。しかし、その需要を受け止めるだけの事業者数が存在するのでしょうか。大阪市の資料によれば、特区民泊施設は2017年3月28日時点で、52ヶ所しかありません。大阪市の警告めいた発表も合わせて考えるならば「違法に民泊を行う事業者がいて、それが調査結果に反映されている」と見るほうが自然かもしれません。
「国籍別民泊利用者数」では一部順位の前後もありますが、 中国、韓国、台湾がトップ3で、それに比べると人数が少ない香港やアメリカ、オーストラリア、フィリピンといった国が続く図式自体は変わりません 。大まかには、訪日外国人観光客の数をそのまま反映されていると見ることができそうです。
大阪を選んだ理由・大阪でのインバウンド消費動向など
「関西国際空港 外国人動向調査結果」にはそのほか「訪問地に大阪を選んだ理由」「大阪での消費額・買物額」、購入物、利用した交通チケットなどを調べた「ショッピング・グルメへの関心」などの項目があります。大阪府のインバウンド関連事業を行っている場合は、参考になるのではないでしょうか。
まとめ:良くも悪くも民泊利用者の多さがはっきり
大阪観光局が、大阪府を訪れる訪日外国人観光客を対象に行った「関西国際空港 外国人動向調査結果」を発表。同府は2016年、「民泊特区」として民泊の解禁が行われたばかりですが、早くも訪日外国人観光客の5人にひとり(19%)が民泊を利用しているという結果が明らかになりました。
大阪市は4月に違法な民泊事業者に注意するよう促す発表を行っていることなども合わせて考えると、この多さには「ヤミ民泊」の横行も影響していることが予想されます。民泊の需要の高さ、対策の必要性を同時に読み取ることができ、良くも悪くも民泊市場の拡大ぶりがはっきり分かる調査結果だと言えるのではないでしょうか。
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2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
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【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
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