「雪」に感じる魅力 アジアと欧米で全く違うことが明らかに:アンケート調査からわかる訪日外国人にとっての東北 求められる観光地としてのPRとは

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訪日外国人観光客にとっては未だに日本観光=ゴールデンルート、つまり、東京・箱根・富士山・名古屋・京都・大阪という日本の人気5都市を巡るルートの人気が高い 状況です。しかしながら、政府目標である2020年に4000万人の訪日外国人を呼び込むためには、既存のゴールデンルート以外の地方部への訪日外国人観光客の誘致が必須 と言われています。

そうした背景の中、日本人にはお馴染みの観光地の1つである 東北地方 が、訪日外国人観光客にどのように認知されているのかという内容について、株式会社日本投資政策銀行の東北支店がアジア8地域(韓国、中国、香港、台湾、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア)と欧米豪4地域(アメリカ、イギリス、フランス、オーストラリア)の合計12地域の出身者を対象に、2017年6月29日から2017年7月12日にかけて調査を行っています。

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東北の認知度:アジア8地域、欧米豪4地域でも低く、訪問意欲も少ない傾向に

アジア8地域と欧米豪4地域の出身者にそれぞれ、日本の地方ごとの認知を尋ねたところ、東北を認知しているのは アジア8地域で12.6%、欧米豪では僅かに4.4%に留まりました。

アジア8地域で最も認知度が高かったのは北海道の62.9%、次いで沖縄の50.7%、九州の39.6%となりました。訪問意欲に関しても同様に認知度が高い順番に北海道43.2%、沖縄25.2%、九州14.6%という結果となっています。

対する欧米豪の場合は最も認知されているのは沖縄の26.4%という結果に。2番目が北海道で17.5%、3番目が九州の9.6%となりました。訪問意欲に関しては沖縄14.5%、北海道8.6%、九州が4.6%となっています。

東北の主要都市で最も認知されているのは”東日本大震災被災地としての”福島 その他の東北の主要都市の認知度は低い

アジア8地域と欧米豪4地域の出身者にそれぞれ日本の主要都市と東北の主要都市の認知度、訪問意欲を聞いたところ、アジア地域、欧米豪共に最も認知されていたのはやはり東京となり、アジア8地域では69.6%、欧米豪4地域では57.3%の人が東京を認知していました。アジア8地域では東京の後に大阪64.0%、京都59.7%と続き、対する欧米豪4地域では広島39.4%、京都39.1%と続きました。東北の主要都市で最も認知度が高かったのは福島で、アジア8地域では32.5%、欧米豪4地域では29.0%の人が福島を認識 している結果に。

しかし、それ以外の東北の主要都市である 仙台/松島はアジア8地域で20.5%、欧米豪4地域では4.5%、青森についてはアジア8地域で19.8%、欧米豪4地域では3.5%の人しか認知していないことが明らかにとなりました。 また、福島に関しては観光地というイメージではなく、東日本大震災の被災地という形で認識している外国人がほとんどだと予想されます。 訪問意欲が最も高い東北の主要都市は青森で、アジア8地域で6.2%、欧米豪4地域で1.7%となりました。

国・地域別では、東北を最も認知しているのは訪日台湾人と訪日香港人:訪問意欲も高い

国と地域別に東北の主要都市を認知している人を見ていくと、台湾、香港出身の訪日外国人は、福島以外の東北主要都市に関してもしっかりと認知 をしており、台湾出身に関しては東北の主要都市というと青森をイメージしているのだということがわかります。また同様に訪問意欲についても国と地域別に見ていくと、台湾、香港出身の人は訪問意欲も特筆して高い事が伺えます。また、調査内容から台湾、香港出身の人が最も訪れたいと思っている東北の主要都市は青森が1位、2位が仙台/松山、3位が秋田/角館であることもわかります。

台湾は前年比153%増で倍増以上 急速にインバウンドで成長を見せる東北6県 平成29年3月延べ外国人宿泊者数では前年同月比47%増

東北を訪れる訪日外国人観光客の数も増加傾向にありますが、この数値について東北運輸局観光部がまとめています。これは観光庁の宿泊旅行統計調査の平成29年3月分(第2次速報値)がとりまとめられたことを受け、東北運輸局管内(青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県及び福島県)の集計結果としてまとめられたものとなります。訪日客の地方誘致に重要なのは、まず「知ってもらうこと」。効果的なインバウンドプロモーションについてより詳しい資料のダウンロードはこちらコト消費に対応!インバウンド動画プロモーション...

東北に訪れた訪日外国人が他にも行きたいのは北海道、関西、中国、九州、東海地方

東北訪問経験者に訪問希望先を聞いたところ、東北を除いて希望が多かったのが 北海道、九州、東海地方 でした。アジア8地域の訪日外国人に関しては、東北以外に北海道を訪れたいと回答した人が65.6%と最も多く 、次いで東海地方が59.6%、関西地方が54.4%という結果になりました。欧米豪4地域に関しては 九州が53.6%と最も希望が多く 、次いで関西、中国地方が50.7%と続き、その次に北海道が49.3%となっています。

また東北訪問経験のうち、アジア8地域からの訪日外国人は、首都圏を訪れた事がある人が71.9%、北海道を訪れた事がある人が67.4%、東海地方を訪れた事がある人は61.4%、関西地方を訪れた事がある人は61.1%という結果となりました。一方欧米豪4地域の訪日外国人は、首都圏と北関東甲信地方を訪れた事がある人が最も多く、共に47.8%、そして次に訪れているのは関西、中国地方の43.5%という結果になりました。

東北・北海道に期待するものとしてはアジアと欧米豪で意識の差が明確に

東北、北海道に行ってみたいと回答した人に対して、観光の際に期待するものを聞いたところアジア8地域の人は、「自然や風景の見物」と回答した人が最も多く65.7%、次いで「雪景色観賞」と回答した人が64.7%、「伝統的日本料理を食べる」と回答した人が57.6%、「温泉への入浴」が52.8% となりました。しかしこの数値はいずれも北海道訪問希望者のもので、東北訪問希望者の場合は、「自然や風景の見物」と回答した人が51.4%、次いで「雪景色観賞」と回答した人が33.5%、「伝統的日本料理を食べる」と回答した人が42.3%、「温泉への入浴」39.1%となっています。特に「雪景色観賞」に関しては北海道と東北の乖離が大きい事が伺えます。

欧米豪4地域の場合は最も期待されているものは「伝統的日本料理を食べる」となっており、次いで「自然や風景の見物」となります。特筆すべきはアジア8地域に比べると 「雪景色観賞」と回答している人が圧倒的に少なく 、「自然や資源を損なうことのないよう配慮されている観光地・観光ツアーに行く」という回答が非常に多い事でしょう。これは環境意識が非常に高い欧米諸国とアジア諸国の差であるとも言えます。

東北旅行経験者の宿泊先は圧倒的に日本旅館が人気

東北旅行をした訪日外国人観光客に国別で宿泊先を尋ねたところ、各国ともに日本旅館に宿泊した人が多い事がわかりました。 日本旅館に宿泊した人が割合として多かったのはインドネシアとアメリカで、次いでシンガポール、中国、台湾となっています。一方で、韓国、イギリス、フランスなどは豪華で快適な西洋式の高級ホテルに宿泊した人のほうが日本旅館に宿泊した人よりも多かったことが伺えます。

インバウンド誘致に出遅れる旅館 いますぐやるべき6つのインバウンド対策とは?

訪日外国人が日本宿泊の際に選ぶ宿泊施設にはホテル、旅館、Airbnbなど民泊がありますが、こうした宿泊施設の中で一般的に良く選ばれるのがホテル、そして近年急激に伸びているのが民泊です。一方、実は昔ながらの旅館はインバウンドの取り込みに苦戦が続いています。 訪日外国人の宿泊先として旅館が選ばれにくい理由はいくつかありますが、インバウンドを見据えてすぐに改善出来る点、ビジネスモデルに関係するためすぐには変えられないが、インバウンドを見据えると改善が必要な点があります。詳しく見ていきましょう。目...

東北訪問経験者が感じた最も大きな不満は英語、母国語が通用しないこと

東北訪問経験のある訪日外国人観光客に、旅行の際に不満だったことを聞いたところ 「母国語の通用しやすさ」「英語の通用しやすさ」がトップ となりました。日本の地域別で見てもこの2つが最も大きな不満となっており、全国的に引き続き外国語でのおもてなしが課題であることが伺えます。全国と比較した際に東北で目立つのが「近代的、先進的な建築物の見学」「有名な史跡や歴史的な建築物の見学」となっており、東北地方ではこうした先進的な建物がある観光地の不足、史跡、歴史的な建物のPR不足が伺えます。

「訪日客が旅行中に困ったこと」ここ3年でどう変わった?観光庁のアンケート調査をまとめてわかった意外な事実

クールジャパン戦略の甲斐もあってか、

震災後の日本旅行/被災地への旅行に最も積極的なのはタイ

震災後に日本旅行についてのイメージが変化したかどうかという質問をしたところ、「安全の分かれば支援の為に被災地を積極的に訪問したい」「震災があったが、日本旅行を控えようとは思わない」と回答したのが最も多かったのは、アジア8地域の中ではタイ となりました。アジアの中でその次に回答が多かったのは親日国として知られる台湾、次いでマレーシアでした。欧米豪4地域の中ではフランス、次いでアメリカという結果となりました。

青森県では訪日客宿泊者数80%増に:復興庁による新しい東北事業を軸とした民間・自治体からのインバウンド対策をおさらい

三大都市圏及び地方部における外国人延べ宿泊者数比較:観光庁より引用訪日外国人観光客に人気の旅行先は、以前であればゴールデンルートに偏っていましたが、最近では地方にもスポットライトが当たり始めています。観光庁が2016年11月30日にリリースした宿泊旅行統計調査によると、三大都市圏に宿泊した訪日外国人観光客数は、去年と比べて約1.4%アップと微増を記録。一方、地方部に宿泊した訪日外国人観光客数は、去年と比べ約7.8%アップとなっており、地方部を滞在先として選ぶ訪日外国人観光客が増えていること...

まとめ:東北地方を訪れる訪日外国人の求めるものを出身地域別に理解して効果的な対策を

今回の調査からはアジア8地域、欧米豪4地域だけでも、東北に対する認知度、イメージなどがばらばらであることが伺え、逆に宿泊先としては各国の出身者とも「日本旅館」を希望するなど、共通する内容もあることがわかりました。

しかし同時に英語や母国語が使えないと感じていることも訪日外国人共通の悩みともなっており、こうした各国の訪日外国人に共通する不満は早急に解消が必要と言えますし、東北自体の認知度も全国と比較して非常に低いことが伺えます。

日本人のイメージでは「伝統的な料理、風景」「雪景色」「米どころ、酒どころ」「伊達政宗など戦国武将ゆかりの土地」などのイメージがある東北ですが、こうした東北の魅力を、海外旅行展、KOL、海外へ向けたSNS運用などを通じてPRしていくことが必要と言えるでしょう。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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