【新千歳空港にいたタイ人800人に聞きました】旅マエの情報源は?旅ナカで欲しかった情報は?そこから見えるインバウンド地方誘致で重要なこととは?…北海道観光振興機構独自調査結果より

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こんにちは、ギアエイトの山田です。

今年の夏はまるでタイのような猛暑が続いている日本、涼しさを求めてタイからやって来る観光客の中には、暑さに驚きその様子をSNSで発信している人も多く見られます。

訪日タイ人観光客にとって人気の観光地と名高い「北海道」。夏の涼しさと花畑、美味しい海鮮料理を求めて今年もタイ人観光客がたくさん訪れています。

今回は公益社団法人北海道観光振興機構が、昨年8月から今年3月まで行った独自調査結果をもとに、東京、大阪などのゴールデンルートではなくタイから地方空港に直接入国した訪日外国人の動向をみてみたいと思います。


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北海道内の空港に直接入国しているタイ人の数は?

平成29年8月~平成30年3月までの北海道内空港への直接入国者数の推移をみてみましょう。

訪日タイ人観光客の月別訪問者数推移を分析するとき、ついJNTOが発表している全国版を基準に考えてしまいがちですが、直接入国者データを元に分析できる地方は、全国データとの照らし合わせが重要です。

北海道のような冬の雪シーズンに人気が高いエリアですと、訪日タイ人観光客全体の数では「4月にタイ人がたくさん日本に来る」といえますが、実際に人気が高いのは4月より1月、2月であるというように季節によってズレが生じているのがわかります。

北海道内空港における対人入国者数 H29年8月-H30年3月

北海道内空港における対人入国者数 H29年8月-H30年3月

地方においては「どうやってそこまで行けばいいのか」を踏まえたPRが重要

直接入国者数と、実際の入り込み数を比較してみると、まだまだ直行便ではなく経由便北海道旅行をしているタイ人観光客が多いことがわかります。

インバウンドを地方に誘客という動きは、日本側からも、そしてインバウンド側のニーズとしても盛んですが、観光スポットや食の紹介だけでなく、「この街までどうやって(日本のどこを経由して)来るのか」「地方への訪問は旅行行程の中でどのように入り込むのか」を踏まえたプロモーションが重要といえますね。

新千歳空港にいるタイ人、約800名に対面調査。

今回のアンケートは新千歳空港にいるタイ人約800名を対象に行いました。オンラインや、現地イベントではなく、「実際に北海道に入ってきているタイ人」という点が特徴です。

属性は男女比 44.4%:54.5%、アンケート回答者の年代は30代、40代が58.4%を占めています。

アンケート回答者属性【性別】

アンケート回答者属性【性別】

アンケート回答者属性【年代】

アンケート回答者属性【年代】

アンケート内容は、「旅行形態」「旅行日数」「北海道への訪問回数」という項目から、実際に旅行してみて印象的だった街や体験をヒアリングする全11項目でした。

日本全国でみると、訪日リピーターが多いタイ人観光客ですが、今回のアンケート調査では約67%が北海道への訪問は1回目ということが判明しました。つまり、「初めての北海道」という情報ニーズがまだまだ多く、初めて訪れる人に向けての情報発信を継続して行うこと+リピーターへ発信を合わせて行い続けることが重要と判明しました。

出発前の旅行情報元は?

出発前の旅行情報元はなにか?という項目に対しては、下記のような回答が集まりました。

キャプション

ほぼFIT個人旅行客)で航空券や宿泊先を自ら予約してる人が回答者ですので、オンライン宿泊予約サイトは旅行前にチェックする必須項目と言えます。

続いて、投稿型サイトのPantip等も宿泊予約サイトと同じくらい利用者が多いことがわかります。これはタイ人にとって口コミをチェックしたり、実際に旅行した人同士で情報交換をするのに利用される掲示板のような存在のサイトです。

タイ人向けプロモーションの取り組みの前に、Pantip内で「自社や自分の地域がどのような評判なのか」「何が話題になっているのか」を調査することが第一歩とも言えます。

夏秋のグリーンシーズンにガイドブック人気が高まる!?その理由とは?

タイ人は文字を読まない、SNSが情報の中心とは各所で言われていますし、タイでビジネス展開をしている弊社としても、タイ人向けメディアを運営している立場からもそれは事実だと言えます。しかし、今回のアンケート結果やJNTOが発表している訪日外国人消費動向調査でも「旅行ガイドブック」が一定数支持されています。

今回の上記アンケートを月別に見てみると、「8月・9月・10月・11月」の冬前、夏秋のグリーンシーズンの方が、冬シーズンよりもガイドブックが役に立ったと答えているタイ人観光客が多いことがわかりました。

タイで販売されている北海道ガイドブックの多くは表紙が花畑、夏を連想させるものが多いことや、レンタカーの利用者も増え「自分で好きな場所を訪れたい」と考える旅行者が増えていることが要因といえます。

ドライブの計画を立てる際に、位置関係や観光スポット情報を幅広く入手したいと考えると、まだ知らない街の名前をいきなりキーワード検索する可能性は考えにくいので、ガイドブックから新しい情報を得て、から検索する人が多いと言えます。

逆に、冬の北海道旅行でタイ人観光客が知りたい情報は、観光スポット情報以外に「実際に訪れたタイ人の意見」です。弊社メディアTrippinoHOKKAIDOにも冬場に届く質問は、「何を着ていけばいい?」「どれくらい滑る?」「今は何度ですか?」というリアルタイムな質問が目立ちます。

冬に日本に訪れて雪を体験したいタイ人にとっては、未体験の寒さに対するタイ人経験者の声がより求められているということがわかります。

旅行前・旅行中に「あると便利だと思った北海道旅行に押して知りたい情報」とは?

旅行前・旅行中に「あると便利だと思った北海道旅行に押して知りたい情報」

旅行前・旅行中に「あると便利だと思った北海道旅行に押して知りたい情報」

宿泊施設・観光スポット・グルメ・買い物という観光に必要な情報と並んで、交通手段という項目が上位に出ているのが特徴といえます。タイ人がタイ語または英語で検索してキャッチできる交通手段の情報はまだ少ないため、実際に旅行したアンケート回答者が、本当にほしかった情報と読み取ることができます。

このようなアンケート結果から、今後のプロモーションには「単純なスポット紹介だけではなくそこまでのアクセス情報をタイ人目線で追加する」というポイントが重要といえます。

まとめ:他の街の調査結果やタイ人の動向も重要な参考データに

今回は、北海道のデータを元にリアルなタイ人観光客のデータを見てみましたが、このような全国版ではなく地方に特化した動向データからも様々な情報の読み取りが可能です。

一方的に日本を知ってほしい、とアピールするようなプロモーションを超え、タイ人観光客を知り、タイ人が求めている情報」と、その一歩先を伝えられるようになることが今後の課題であると感じています。

8月から、旅行博、バンコク日本博、FITフェア、とタイ人に向けてのプロモーションタイミングが続きます。現地での取り組みを紹介しながら、タイ人が求めている日本の情報をお伝えしたいと思います。

<参考>

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「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

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  • インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
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【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか


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この記事の筆者

GEAR8

GEAR8

Gear8 Thailand マネージャー梅木雄太・株式会社Gear8プランナー山田瑞希の2名で共同執筆中。2016年にタイ現地法人を設立し日本国内外のWebマーケティングを行っています。「TrippinoHOKKAIDO」というタイ語で北海道情報を発信するアプリの開発・運用してきた実績から得た「訪日を検討中のタイ人」の特徴を発信します。

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