以前ご紹介した「電子商務法(通称:電商法)」が今年の1月1日から中国で施行されました。建前上は、無法地帯だった中国のEC市場の適正化と消費者保護のための法律とされていますが、実質的、ないし日本のインバウンド業界にとっては、「ソーシャルバイヤー」を規制する目的があると捉えられています。
ついに始まったソーシャルバイヤー規制 中国「電商法」で爆買いは終わってしまうのか?データから中国インバウンドの今後を分析
目次ついにはじまった中国ソーシャルバイヤー規制法「電商法」中華圏ユーザーの購買行動は上昇トレンド「異常なスキャン数」ユーザー≒ソーシャルバイヤーは下降トレンドソーシャルバイヤーに人気のベビー用品も下降トレンドついにはじまった中国ソーシャルバイヤー規制法「電商法」2019年1月1日に中国で施行された「電子商務法(通称:電商法)」。名目としてはインターネットビジネスの適正化ですが、中国政府当局の狙いは「ソーシャルバイヤー」規制だと言われています。ソーシャルバイヤー(代理購入/代購/海淘(ハイタ...
その規制とインバウンド需要がもっとも盛り上がる時期の一つ「春節」がバッティングしたことにより、様々な影響がすでに報じられています。では、実際のところ中国人観光客の消費行動にどのような変化が生まれたのでしょうか。「購買興味データ」から「電商法」の影響を見ていきます。
※「購買興味データ」とはバーコードをかざすと多言語商品情報を表示するアプリ「Payke」を通じたスキャンに関するデータで、これによって購買直前の消費者の動きやプロセスを知ることができます。
インバウンドの最新情報をお届け!訪日ラボのメールマガジンに登録する(無料)
やはり中国インバウンド消費が伸びる春節だが、今年は伸びが鈍化…?
まずは、中国人観光客の消費動向について大枠を見てみましょう。【図1】は、中国人に人気の観光地として定番となった北海道の店舗に設置された「Paykeタブレット」のスキャン数の推移を示したものです。
これを見ると、明らかに春節シーズンに中国人旅行者の消費行動が活発になる様子がわかります。気になるのが、2019年の春節は2018年ほどの伸びが見られなかったことです。電商法の影響か、コト消費傾向の現れなのか、昨年よりも伸びが鈍化しているようです。
他のシーズンでは、やはり7-8月の夏休み需要のタイミングに春節よりはこぶりなピークがあります。また、2018年は北海道地震の影響もあってか、10月の国慶節には消費行動が活発にならなかったようです。
北海道地震はインバウンド消費にどのような影響を与えたのか?/「購買興味データ」から 地震前後1ヶ月の外国人観光客の購買行動を追う
目次9月6日 最大震度7が北海道を襲う:観光業の被害額は356億円と推定北海道地震前後でのインバウンド消費比較①:購買行動のはどのような変化を見せたのか北海道地震前後でのインバウンド消費比較②:国籍比率はどのような変化を見せたのか北海道地震前後でのインバウンド消費比較③:人気商品はどのような変化を見せたのか9月6日 最大震度7が北海道を襲う:観光業の被害額は356億円と推定2018年9月6日、北海道胆振地方中東部を震源とした最大震度7を記録した「北海道胆振東部地震」が発生しました。厚真町の...
ソーシャルバイヤーへの影響は数値上は見られず
では、電商法の影響をもっともうけると思われる、ソーシャルバイヤーの消費行動はどのような変化があったのでしょうか。
Paykeによれば、1ユーザーあたりの平均的なスキャン数は10回以下です。よって、それ以上の「異常なスキャン数」のユーザーはソーシャルバイヤーの可能性が高いため、「50回以上スキャン」「100回以上スキャン」をしたユーザーについて、全ユーザーに対する割合の推移を見たのが【図2】です。
こうしてみてみると、2018年春節と2019年春節とで比較してみると、100回以上のスキャンユーザーの割合は微減しており、50回以上スキャン数ユーザーの割合はむしろ増加している様子が見られます。
また【図1】でしめした中国人旅行者の消費行動推移と比べてみると、一般消費者とソーシャルバイヤーのピークシーズンが異なることがわかります。そのため、むしろ電商法の影響が色濃く出る可能性が高いのは夏休みシーズンであることが推測され、いままでソーシャルバイヤーによる「爆買い」をターゲットとしていた小売店は、今後一層の注意が必要です。
中国「爆買い規制法」で転売屋の7割が撤退、「電子商取引法」施行のソーシャルバイヤーへの影響調査
近年、ディスカウントストアやドラッグストアでは、棚にある商品をごっそり買っていく中国人客の姿をしばしば目にします。彼らの多くは、内外価格差を利用して、日本で安く買い、中国で売りさばく転売業者「
すでに各メディアにて「中国の消費減退で百貨店に大打撃」といった見出しで報じられていますが、さまざまな小売店の現場からの悲鳴が聞こえはじめています。実質的にソーシャルバイヤーが制限されたため、小売店においては、中国人旅行者の客単価は必然的に下がってくるでしょう。
そのため「ただ中国で人気のものを免税で売れば儲かる」という「爆買い頼みのインバウンド対策」の時代は終わりに近づいています。むしろ、小売店でさえ「コト消費」的な売る仕掛けが必要になってくると予測されます。
データ提供:Payke
「Payke」は、世界中どこにでもある商品の「バーコード」にスマホをかざすだけで、商品のあらゆる情報を、 利用者の母国語で閲覧できるアプリです。「Payke」があれば、これまで外国人に伝えることができなかった私たち、 日本の魅力を正確に届けることができるようになります。
Paykeのインバウンドソリューションを資料で詳しくみてみる
インバウンド市場や各国の訪日外国人に関する調査やもっと詳しいインバウンドデータ知るには?
中国SNS「RED(小紅書)」最新情報セミナー:訪日ラボ社内勉強会の内容を特別に公開します【訪日ラボ トレンドLIVE! Vol.6】
短時間でインバウンドが学べる「訪日ラボ トレンドLIVE!」シリーズの第6弾を今月も開催します!訪日ラボとして取材や情報収集を行う中で、「これだけは把握しておきたい」という情報をまとめてお伝えするセミナーとなっています。
今年も残りわずかとなりましたが、インバウンド需要はまだまだ好調をキープしている状況です。来年の春節や桜シーズンなど、訪日客が集まる時期に向けて対策を練っていきたいという方も多いでしょう。
今回もインバウンド業界最大級メディア「訪日ラボ」副編集長が、10〜11月のインバウンドトレンド情報についてお話ししていきますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
詳しくはこちらをご覧ください。
→中国SNS「RED(小紅書)」最新情報セミナー:訪日ラボ社内勉強会の内容を特別に公開します【訪日ラボ トレンドLIVE! Vol.6】
【インバウンド情報まとめ 2024年11月前編】UberEats ロボット配達開始、万博需要見すえ大阪で ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。
この記事では、主に11月前半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→UberEats ロボット配達開始、万博需要見すえ大阪で:インバウンド情報まとめ【2024年11月前編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」
スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!