どうなる?東京オリンピックのインバウンド需要 │ 過去のオリンピックから考える3つのインバウンド対策

2020年開催の東京オリンピックまであと1年を切りました。開催地周辺では、オリンピックにより高まるインバウンド需要で多くの集客が期待できます。

しかし日本ではインフラや観光客の受け入れ対応など、オリンピックに向けた多くの課題が残されています。

そこでこの記事では、過去のオリンピックの観光客数・経済効果・課題をみながら、今後必要なインバウンド対策について紹介します。

過去のオリンピックから期待できる経済効果

2020年の東京オリンピックを控え、東京オリンピックで日本にどれほどの経済効果が期待できるのかが焦点となります。オリンピック開催によって雇用や消費に寄与するのか、過去のオリンピック開催データと比較しながら見てみましょう。

インフラ整備により雇用が促進される

非正規雇用者が多く、2011年に起きた東日本大震災等の影響で雇用の落ち込みがあった日本。現在はモノレールの設置や江東区有明や豊洲近辺のインフラ整備、オリンピック関連施設の建設が進められている影響で、多くの雇用が促進されるといえるでしょう。

高まるオリンピックムードにより消費活動も活発に

過去のオリンピック開催データからみると、例えば2016年開催国のリオオリンピックは、同期間において旅行者数は推定38万人を記録し、うちインバウンド消費額は推計75億米ドル(約7500億円)にのぼりました。また、2014年開催国のブラジルでは、インバウンド消費の成長率が15%以上に急増した経緯もあります。いずれにしてもスポーツツーリズムにおけるインバウンドの消費活動は、高まる可能性が高いといえます。

<参考>

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経済効果は開催国によって異なる?

ただ、経済効果は必ずしも高まるとはいえません。2012年のオリンピック開催地ロンドンでは、同年7月から8月にかけて、約59万人におよぶ外国人観光客が英国に訪れました。

それにも関わらず、8月時点の外国人旅行者数合計は前年よりも5%減を記録。同年のインバウンド消費にも大きな成長が見られなかった一方で、翌2013年には6%の急速な成長がありました。オリンピック時期にスポーツに興味のない観光客が他国を旅行先として選んだことが理由ではないか、と推測されており、開催国によって、一概に経済効果に繋がるとは言い難いです。

オリンピック開催決定後、インバウンド観光客の数は上昇

過去のオリンピック開催国のデータを参照してみると、観光客の数が多ければ多いほど、オリンピック開催国への関心度が高い傾向にあることがわかります。インバウンド観光客数とオリンピックの関係性について、紐解いてみましょう。

オリンピックはインバウンド観光客を取り込む絶好のチャンス

観光庁が発表した過去オリンピック開催国のデータにおいて、開催決定を含むそれ以前から10年間の推移をみると、インバウンド需要が長期にわたって伸び続けていることがわかります。例えば、2000年オーストラリア開催のシドニーオリンピックでは、開催決定した1993年当時、観光客数約300万人であったのに対して、2010年は約600万人超に増えており、インバウンド観光客を取り込むチャンスがあることがわかります。

[過去オリンピック開催の観光客数推移]:観光庁 HPより引用

オリンピック開催国に対するイメージアップにもつながる

2012年開催のロンドンオリンピックでは、世界主要50か国を対象とした「総合的な国家ブランド」ランキングで、英国は順位を一つ上げ4位にランクインしました。ロンドン以外の英国各地も訪れてみたいと回答した人が75%を占め、オリンピックで英国旅行への関心が高まったと回答した人は63%と、高い割合でオリンピックが開催国のイメージアップに繋がるといえます。

インバウンド需要を持続させるために日本がすべき3つの対策

これまで過去開催国のデータをみましたが、オリンピック時期だけでなく長期的な観光立国として対策を考える必要があります。ここでインバウンド需要を持続させるために、日本がすべき3つの対策をチェックしてみましょう。

1. Wi-Fiスポットの整備

日本でも年々と外国人観光客が増加するなか、インターネット環境の拡充は必要不可欠です。

外国人の日本滞在中の情報ツールは、多くがネットやスマホ中心。Wi-Fiがなければおすすめの観光スポットやアクセス方法などを検索できません。外国人観光客を迎え入れるには、カフェやホテルだけでなく、街中や駅などのWi-Fiスポット整備が必要といえるでしょう。

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2. 交通機関の充実

外国人にとって、アクセスの便利さも大事なポイントになります。例えば、羽田空港のアクセスは東京モノレールと京浜急行ですが、終点は浜松町と品川になり、国立競技場などへは乗り換えが必須です。オリンピックだけに限らず、空港から駅、駅からホテル、ホテルから競技場への交通機関を充実させることによって、混雑を回避しつつ移動のストレスを軽減させることも課題のひとつです。

電車・鉄道のインバウンド対策

多くの訪日外国人が訪日旅行の際の移動手段として利用するであろう電車・鉄道には、多言語化や外国人にもわかりやすいシステムづくりが求められます。特に東京などの大都市は路線も多く、本来旅行の便利なツールであるはずの電車・鉄道が訪日外国人にとって利用しづらくなってしまっているのも事実です。電車・鉄道の各社はインバウンド対策やインバウンド集客のためにどのような取り組みを行っているのでしょうか?このページでは、電車・鉄道の様々なインバウンド対策事例集について施策別に事例をまとめています。

3. 多言語に対応可能なスタッフの雇用

現在、日本に来る外国人観光客は3000万人以上にのぼります。街中でさまざまな言語が飛び交うなか、言葉が通じず意思疎通ができない状況が多々あります。日本では英語が通じないといった外国人の不安要素を取り除くためにも、多言語で対応できるスタッフの配置や翻訳ツールの使用、案内板を表示させるなどの言語環境を整えることが大切といえます。

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過去のデータをもとに課題解決につなげよう

今回は過去オリンピックの開催データから、東京オリンピックの経済効果などについて紹介しました。日本はオリンピック後も観光立国として、インバウンド市場の向上を目指しています。

今すべき対策として、Wi-Fiや交通環境、多言語対応などのインフラ拡充を例に挙げましたが、インバウンドプロモーションとしてSNSでの発信や、ハラールやベジタリアン、ヴィーガン向けメニューの充実、ピストグラムの導入など対策すべきことはたくさんあります。今一度、インバウンド対策としてできることを考えてみましょう。

<参考>

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客のインバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!