近年の訪日市場で東南アジアは増加傾向にあり、現在のインバウンドでは重要な位置付けとなっています。国別のランキングではアメリカにつぐ6位となっており、毎年約100万人のタイ人が日本を訪れています。
インバウンド市場においてはすでに無視できない存在となったタイ人ですが、集客のためのプロモーションを行うにはタイ人が訪日に際しどのように情報収集をしているのか押さえておく必要があります。
そこで今回は、タイにおけるインターネットやSNSの利用状況について見ていきます。
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タイのインターネット事情・利用状況
まずは、タイのインターネット利用状況についてみていきましょう。
タイの82%がインターネットを利用
上の図からも分かるように、タイでは人口の82%に当たる約5700万人もの人がインターネットを利用しています。SNSを利用している人も、人口の74%となる5100万人です。タイではほぼすべての若者が日々インターネットで情報収集をしています。なおインターネットユーザー数や、ソーシャルメディアのユーザー数は昨年から変わっていません。
タイで人気のSNSランキング
SNSの普及率が非常に高いタイでは、どのようなSNSが人気なのでしょうか?ここではランキング形式で見ていきます。
1. Facebook
上の表からも分かる通り、タイではFacebookの使用率が93%となっています。日常生活の細かなことをアップするときにタイ人が使うのがFacebookです。ちょうど日本人のTwitterと使い方が似ているところがあります。Facebookは友達の近況や情報を知るツールとして、タイ人の日常生活の奥深くまで浸透している印象です。
2. LINE
日本ではスマホを持つ人のほとんどが利用しているメッセージアプリのLINEですが、実は東南アジアでも広く普及しています。特にタイでは、メッセージアプリとして84%もの利用率です。LINEアプリは、FacebookのメッセージアプリであるMessengerを10%以上突き放してのトップとなっています。
ここまでLINEが普及した背景としては、タイの交通カードとLINE Payとの連携ができるようになったことが挙げられます。メッセージアプリのみならず、タイ人の生活にLINEはなくてはならない存在です。情報収集の手段として用いられるのがFacebook、一方でメッセージのやり取りをするのがLINEという棲みわけです。
3. ソーシャルメディア利用者の半数以上が若年層
上の表は、タイの年齢層ごとのソーシャルメディアの利用率をグラフにしたものです。これを見ると18-24歳、25-34歳で特に高くなっていることがわかります。全体の60%が18-34歳の利用者であるということも注目すべき点です。
SNSの利用状況も、日本とおおよそ似ていると考えてよいでしょう。
事例:タイで人気のFacebookを使ったプロモーション・集客
訪日市場で特に顕著なのが、ASEAN諸国の旅行人口が増加していることです。
近年の経済発展により富裕層の数が大幅に増えており、日本に訪れる観光客も増加しています。ASEANに属するタイも訪日数は年々増加しており、インターネットを利用している若い世代の旅行者に向けたSNSマーケティングが戦略の要になっています。
前項では、タイで最も人気のあるSNSがFacebookであることがわかりました。主要訪日層である若者も、高い割合でFacebookを利用しています。そのためここでは、Facebookを使ってインバウンドの集客に力を入れている2つの国内企業をみていきます。
サンリオピューロランドのFacebook活用事例
「サンリオピューロランド」は東京都多摩市にある屋内型のテーマパークです。運営は株式会社サンリオエンターテイメントで、株式会社サンリオの100%子会社です。
サンリオピューロランドでは、Facebook、Twitter、Instagram、LINE、YouTubeなどあらゆるSNSを運用しています。なかでもFacebookページではサンリオピューロランド公式Twitterアカウントと同様に、人気のキャラクター投票、キャンペーンやイベント情報などの最新情報を発信しています。Facebookならではの自由度の高さを生かして写真と文章で細かくキャンペーン情報を紹介しているのが特徴です。
Instagramに関しては、サンリオピューロランドとサンリオピューロランドグローバルの2つのアカウントを使い分けることで、日本語のみならず、英語でもサンリオの世界を発信しています。
その他、サンリオピューロランドLINE@では、お得で便利な情報をLINEで発信しています。サンリオピューロランド公式YouTubeチャンネルでは、キャラクターやエンターテイナーによる動画を公開し、サンリオの世界観を発信しています。
長崎ハウステンボスの活用事例
長崎県佐世保市には、東京ディズニーリゾートの1.5倍の敷地面積を持つテーマパーク「ハウステンボス」があります。
ハウステンボスでは、FacebookはじめTwitter、Instagram、YouTubeの運用をしています。Facebookページでは、各種イベント情報を発信するほか、キャンペーン情報、動画による新しいイベントの紹介、リゾートスパ「RIN」での新しいメニューの紹介を行っています。
Twitterでは、Facebook同様に、各種イベントや場内の小ネタなどを紹介し、親しみやすい印象をアピールしています。
Instagramは、ハウステンボスの美しさや壮大さが伝わるような施設写真をはじめ、季節の花や料理の写真を載せています。Instagramならではのハッシュタグ「#」をつけることで、直接フォローしていない人にも届くよう配慮がなされています。
YouTubeアカウントでは、テレビ向けに作成されたCMを投稿しているほか、各種のイベント動画も投稿されています。文章で細かく伝えるよりも、動画を使って視覚に訴えることで、視聴者の需要を喚起しています。
なおこうした動画はFacebookページでも流されており、複数リソースが有効活用されています。
まとめ:Facebookを利用してタイに向けた効果的なマーケティングを
これまでタイ人のSNS利用状況と、国内のソーシャルメディアの活用例を見てきました。
ASEANはこれから急速に発展するとみられており、インバウンド市場でも非常に注目度の高い地域です。さらに増加すると考えられる訪日タイ人を取り込むには、タイ人の消費行動や情報収集のスタイルをしっかりと把握することが重要です。
<参照>
- DIGITAL 2019:THAILAND
- LINE株式会社:2018年12月期第3四半期決算報告会
- 訪日ラボ:台湾とタイで効果的なWeb広告とは?プロモーションのトレンドと傾向
- 訪日ラボ:テーマパーク・観光施設のSNS・ソーシャル活用に関するインバウンド対策事例集
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