多くの中国人が中国国内での支払いに利用しており、訪日旅行の際にも需要があるのが、モバイル電子決済のサービスです。
そのなかの一つWeChat Pay(ウィーチャット・ペイ/微信支付/ウェイシンジーフ)」は、中国のインターネット企業最大手テンセント(騰訊)が提供するサービスです。
メッセージングアプリのWeChatは2011年からサービスを開始していますが、決済サービスのWeChat Payは2014年にリリースされた機能です。財付通(Tenpay/财付通/ツァイフートン)と呼ばれるオンライン決済プラットフォームを利用し運営されています。
WeChatの利用者は10.4億人(2018年12月時点)で、WeChat Payのユーザー数は昨年末の時点で8億を突破しました。
この記事では、こうした億単位のユーザーを抱えるWeChat Payの概要と、インバウンドでの導入事例をふまえて解説します。
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WeChat Pay(微信支付/ウェイシンジーフ)とは
WeChat Payは、中国語名称は「微信支付」(ウェイシンジーフ)、中国IT企業最大手テンセント(騰訊/Tencent)が運営するメッセージングアプリとリンクして利用できる、電子決済サービスです。中国で最も利用されているメッセージングアプリWeChat(微信)内で提供されています。ユーザーは支払先のQRコードを読み取るか、バーコードを読み取ることで、WeChat Payに紐付けた銀行口座またはクレジットカードの残高から支払いができます。
銀行口座は中国の金融機関のものである必要があり、身分証の登録が必要です。
世界中にWeChat Payのユーザーが、インバウンド市場にもニーズあり
WeChat(微信)は2011年にリリースされて以来、現在は世界中で、主に華人により利用されています。Wechat Pay(ウィ―チャットペイ)は2014年からサービスの提供を開始しており、2005年からサービスを開始したライバルのAlipayよりもかなり遅れたスタートとなっています。それにもかかわらず、現在ユーザー数で追い上げているのも、やはりWeChat(微信)のユーザーが非常に多かったことが理由のひとつです。
個人間の送金が一瞬で完了する点も、中国人の習慣と相まって非常に歓迎されました。この機能もWeChat Payの普及を後押ししたと見られています。
現在中国国内ではコンビニやデパート、宿泊施設、タクシーや交通機関のチケット、公共料金、病院から屋台まで、さまざまな場面でWeChat Payの支払いを受け付けています。
インバウンドの訪日中国人には、日本滞在中にもこうした中国国内と同様の支払いを望む声があります。
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WeChat Payの導入は低コストでプロモーション施策にも連動可能
WeChat Payの支援サービスを行っている企業は数多くあり、決済手数料は利用分のみの負担となります。
手数料は、決済利用金額の1.5~3.5%など規模や業種に応じて異なるものの、導入時のコスト負担の点から考えると、ハードルは高くないといえます。
WeChat Payの決済業務はとても簡単
WeChat Payの支払いは、ユーザーのスマホ画面にバーコードを表示してもらい店舗側で読み取ることで支払いを完了させることができます。あるいは、ユーザーが店舗側のQRコードを読み取り、支払い金額を入力し送金をすると完了です。多店舗に導入した場合にはクラウド上の管理が可能です。業務を効率化させ、コスト削減にもつながります。
中国のモバイル電子決済にはWeChat Payの他に、Alipay(支付宝/アリペイ)もあり、こちらはEC大手のアリババグループ(阿里巴巴集団)が運営しています。2018年11月時点のアクティブユーザー数は6億5,000万人、またその三か月後の2019年1月には登録ユーザー数が10億人を超えたことが伝えられています。
モバイル決済の導入にあたっては、これらの中国2大決済サービスが1つの端末で完結できるものもあるので、両方導入することでより多くの訪日中国人に対し利便性を提供できるでしょう。
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2003年から2016年の訪日中国人観光客数推移訪日外国人観光客を集客、もしくは誘致する際に、やはり大きなターゲットになってくるのは訪日中国人観光客。訪日外国人観光客数の中で、もっとも大きな割合を占めるのが訪日中国人観光客であり、右の表を見てみると、訪日中国人観光客数は東日本大震災のあった2011年を除いて、年々大きな伸び率を記録していることが確認できます。こうした背景から、訪日中国人観光客をインバウンド誘致するために、中国で広く普及している電子決済サービス「Alipay(アリペイ)」の導...
支払い時のコミュニケーションの障害が軽減、プロモーション効果も
訪日外国人が、日本滞在時に不満を抱くシーンの一つに、言葉が通じないというものがあります。こうした場合にも、QRコードの読み取りやバーコードの提示だけで完結するモバイル電子決済が利用できることで、言葉の壁によるストレスを軽減でき、金銭のやりとりにかかる時間を大幅に削減でき、旅行の満足度にもつながります。
またWeChat Payの支払いと同時に、店舗がWeChatの中に開設している公式アカウントをフォローさせることも可能です。こうしてフォロワーとなったユーザーに対し、クーポンやセール情報を配信することで、リピート率の向上や宣伝効果も見込めます。見込めます。
WeChatPayを導入している店舗事例3選
WeChat Payの決済サービスの利用者数は、昨年末の時点で8億に達しました。アカウント数10.4億のWeChatで展開されているサービスのため、Alipayよりも後発ですが着実にユーザーを伸ばしています。中国では100万店舗で利用され、日本でも既に7,000社以上の企業が導入しているとの情報もあります。
実際に、WeChat Payを導入している企業事例を3例紹介します。
下記のページでは、Alipay・WeChat Payやクレジットカードに対応した事業者の事例を紹介しています。
アリペイ・ウィーチャットペイ・クレカ対応のインバウンド事例集
訪日外国人のなかで最も多くの割合を占めるのが、中国からの訪日客です。中国ではアリペイやウィーチャットペイなどの決済アプリが普及しており、訪日中国人を誘致するためにはそれらの決済方法への対応が不可欠です。また、近年世界中でキャッシュレスの動きが広がっており、海外ではクレジットカードのみで支払いをする人もめずらしくありません。このページでは、各業種における、アリペイ・ウィーチャットペイ・クレカ対応のインバウンド対策に関する事例をまとめています。
1. Loft(ロフト)
生活雑貨を扱うチェーンストアのLoft(ロフト)では、2016年よりWeChat Payサービスを導入しています。2017年11月から新たな取り組みとしてStarPayの端末を一部店舗に導入しています。 StarPayは株式会社ネットスターズが提供するモバイル決済サービスで、LINE PayとWeChat Payのマルチ決済が可能です。
2. 和民
外食チェーンストアの和民では、2017年6月よりNIPPON PAY(ニッポン・ペイ)を一部店舗に導入しました。NIPPON PAYはNIPPON Platform株式会社が提供するモバイル決済サービスで、中国2大決済サービスのWeChat PayとAlipayの両方に1台で対応可能な端末です。
3. 富士急ハイランド
富士急ハイランドでは、2018年7月よりWeChat Payスマート旗艦遊園地を全エリアに導入しています。WeChat Payスマート旗艦遊園地では、富士急ハイランドでのチケットやお土産物の購入から飲食に至るまで、園内全体でWeChat Payの利用が可能です。その他、富士急ハイランド専用のアプリケーションをWeChat内のミニプログラムとしてリリースしました。中国人観光客はこのアプリケーションを通じてeチケット購入やアトラクションの待ち時間を確認できます。
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「WeChat Pay」のより詳細な導入方法や事例は以下の記事にて紹介しています。
WeChat Payを日本で利用する方法 店舗での導入事例
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2020年に向け、モバイル電子決済はもっと当たり前に
中国ではすでに日常の一部となっているモバイル電子決済ですが、訪日中国人も、訪日旅行中に設備が整っていればモバイル決済を使用する傾向にあります。
2020年に向けてますます訪日中国人は増えていくと考えられ、モバイル電子決済のニーズもそれにつれて大きくなっていくでしょう。
日本政府もキャッシュレス決済の普及に取り組んでおり、こうした流れも訪日中国人向けのモバイル電子決済の導入をスムーズにすると考えられます。
時代のニーズに応じた一早い環境の整備が必要なのは言わずもがなですが、WeChat Payの導入で言えば、見てきたように公式アカウントの利用によるWeChat内での販売促進につなげることもできます。
導入の際には、設備導入に関わるコストの低さといったハード面のメリットだけでなく、新規顧客の開拓やリピーター獲得につなげられるという特徴をよく理解して多角的に活用していくべきでしょう。
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短時間でインバウンドが学べる「訪日ラボ トレンドLIVE!」シリーズの第6弾を今月も開催します!訪日ラボとして取材や情報収集を行う中で、「これだけは把握しておきたい」という情報をまとめてお伝えするセミナーとなっています。
今年も残りわずかとなりましたが、インバウンド需要はまだまだ好調をキープしている状況です。来年の春節や桜シーズンなど、訪日客が集まる時期に向けて対策を練っていきたいという方も多いでしょう。
今回もインバウンド業界最大級メディア「訪日ラボ」副編集長が、10〜11月のインバウンドトレンド情報についてお話ししていきますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
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