観光立国を目指す日本では、各都道府県レベルでも訪日外国人の集客に励んでいます。海外の旅行泊に出展したり
2018年に日本を訪れた訪日外国人は延べ3,119万人と過去最高を記録しています。
こうした多くの訪日外国人は日本のどの地域を訪れているのかを探るべく、観光庁の「宿泊旅行統計調査」から訪日外国人の宿泊者数の増加率を調べました。
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2017年は「東北・九州エリア」→2018年は山梨・福井・岐阜の「中部地方」
2017年の年間に、外国人宿泊者数の増加が顕著だったのは、青森県・秋田県・福島県・熊本県・鹿児島県・佐賀県・大分県・鹿児島県などの「東北・九州エリア」です。一部50%台もありますが、これらの都道府県における外国人宿泊者数は前年比60%を超える増加となっています。
また中部地方では岡山県、四国では徳島県が前年に比べ宿泊者数の伸びが50%前後と大きく伸びました。
続いて、今年2月28日に観光庁が発表した、宿泊旅行統計調査の2018年の年間値(速報値)のデータから、2018年の訪日外国人の宿泊動向を探ります。
2018年における訪日外国人の延べ宿泊者数は、昨年比11.2%増の8,859万人泊でした。これは統計を取り始めた07年以来の過去最高で、全体に占める割合は昨年比1.8ポイント増の17.4%となっています。
外国人延べ宿泊者の前年比伸び率の上位10位は、1位が青森県(45.7%増)、2位が宮城県(45.1%増)、3位が山形県(37.0%増)4位が山梨県(36.1%増)5位が同率で鳥取県、広島県(同率30.7%増)となっています。また7位以下は、7位岩手県(30.1%増)、8位島根県(29.7%増)、9位福井県(29.6%増)、10位岐阜県(25.9%増)となっており、前年同様、地方部が占める結果となりました。
外国人延べ宿泊者の前年比伸び率上位10都道府県の結果を見てみると、青森県、宮城県、山形県、岩手県といった東北人気が根強い一方で、山梨県、福井県、岐阜県といった「中部地方」が上位にランクインしている点が2018年の特徴となっています。また鳥取県、広島県と中国地方からのランクインも注目に値するでしょう。
なぜ「中部地方」「中国地方」が2018年に人気急上昇?3つの理由
1. 2022年北京オリンピックによるスキーブームの影響「山梨県」
2022年には北京で冬季オリンピックが開催されます。これを受け中国国内ではスキーをはじめとするウィンタースポーツの人気が高まっています。ウィンタースポーツを目的に海外旅行にでかける中国人も増えているようです。
山梨県はもともと富士山のある県として中国での認知度は高い地域です。旅慣れた中国人や、訪日旅行リピーターの場合「これまで行ったことのない場所に行きたい」という欲求を抱く場合も多く、こうした場合の目的地として「山梨県」が選ばれている可能性があります。
2. アニメの聖地「鳥取県」
国民的アニメ「名探偵コナン」の原作者、青山剛昌氏の出身地として知られる鳥取県ですが、中国においても作品の知名度は非常に高くなっています。
作品の舞台や、作品に関連するスポットを訪れることを「聖地巡礼」と言いますが、こうした目的でこの地を訪れる訪日中国人が多くなっていることが予想されます。
3. 観光客に大人気の観光地「白川郷」
岐阜県の「白川郷」を観光する訪日中国人も増えています。白川郷ライトアップイベントはこれまで入場制限はありませんでしたが、観光客の増加に伴い抽選による完全予約制へ移行しました。観光客が急激に増加したことで現地の受け入れ能力を超える「オーバーツーリズム」への対応策です。
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また、中国と日本各地をつなぐLCC(格安航空会社)の航空便の就航路線が増えています。こうした条件も、今後外国人宿泊者数が増加する一因となることが予想されます。
中国東北地方の黒竜江省ハルビンや、上海への直行便の就航がある新潟空港の2018年4~10月の利用者数は70万人(前年同期比12.2%増)にも上ります。新潟の国際線の定期便は2019年に入っても増便のニュースが続いており、こうした経路から、2019年も引き続き「中部地方」ブームが継続するかもしれません。
目まぐるしく変わる中国トレンド、インフルエンサーと継続した情報発信がポイントに
今や訪日外国人の3人に1人は中国人であり、こうした宿泊者動向に見られる新たな潮流は、訪日中国人観光客が引き起こしている場合もあるでしょう。
こうしたブームを引き起こす要因の一つとして、インフルエンサーによるネット上の情報発信が考えられます。2年連続、増加率で上位となった青森県にはかつて、ネットの有名人を意味する「ワンホン」の中国人女性がいました。彼女の動画による情報発信に影響され、「日本といえば青森」と考えるファンもいたはずです。
また増加率7位の岩手県も、山梨県と同じくスキーを目的にした訪日客により宿泊者数が増加したと考えられます。季節に左右されない、日本独自の「体験」の価値を訴求していくことが、今後のインバウンド市場拡大にも有効と言えるでしょう。
〈参照〉
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