「御朱印」集めにハマる中国人、その行動心理から読み解く「爆買い」の次に流行るコンテンツ(後編)

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【連載】橋梁(チャオリャン)Vol.4では、前編に続き、微博(ウェイボー)アカウント45万人のフォロワー数を誇る在日中国人KOL 「七日野鬼(ナノカノオニ)」さんの登場です。


中国人の「爆買い」現象から4年......中国人の旅行スタイルが「モノからコト」へと拡大しています。その背景を理解するためには、まず中国人の行動心理について知る必要があります。本編では、実際に今中国人が興味を示している日本のコンテンツについて語ってもらいました。

▲[七日野鬼(ナノカノオニ)氏]
▲[七日野鬼(ナノカノオニ)氏]

▼連載「橋梁(チャオリャン)」 インバウンドにおいて、圧倒的なシェア率を誇る訪日中国外国人。連載「橋梁(チャオリャン)」では、中国マーケットのインバウンド・アウトバウンド分野で話題の「人物・企業」を筆者独自の視点で深堀。インバウンド企業やインバウンド担当者、インバウンドに興味を持ち始めた人向けに、“現場取材”のトレンド情報をお届けします。
▲[「七日野鬼」微博(ウェイボー)フォロワー数47万人]
▲[「七日野鬼」微博(ウェイボー)フォロワー数47万人]

前編はこちら

「動画コンテンツは5分以内が鉄則」中国SNSの微博(ウェイボー)で年間3億PVを稼ぐ在日インフルエンサー「七日野鬼」が語る、中国人ファンを惹きつけるコンテンツ(前編) 

日本コアファンのコミュニティから探る、最新コンテンツ

旅行業界に精通している「七日野鬼」微博(ウェイボー)には、日本旅行にまつわる情報が溢れています。

日本にはさぞかし「微博(ウェイボー)映え」する情報がたくさんあるのだろう、と思いきや、「正直、微博(ウェイボー)に載せるネタがない」と、七日氏は嘆きます。

というのも、既にほとんどの人気の観光名所や美食は、すでに微博(ウェイボー)で紹介しつくされているからです。

七日氏は、日々コンテンツ探しに没頭しているのだとか。そのため、彼は今年から新たな試みとして、微博(ウェイボー) 以外のツールを使った話題探しを開始しています。

七日氏がネタ探しに利用しているのは、中国のメッセンジャーアプリ「微信(ウェイシン)」のグループ機能を活用したコミュニティです。WeChatのグループ機能はLINEと同じように無料で作成でき、1グループ最大500人まで参加できます。

七日氏は「日本情報を交換するコミュニティとしてのチャットグループ」の会話を通じて、新鮮な情報を入手したり、流行の変化の兆しを読み取ったりしています。

▲[「七日野鬼」微信(ウェイシン)グループチャット]
▲[「七日野鬼」微信(ウェイシン)グループチャット]

「グループチャットのメンバーは、私より日本に詳しいかもしれません。何度も日本を訪れているリピーターばかり。彼女たちが語る生の声に着目し、そこからコンテンツのヒントを得ています」(七日氏)

筆者も同グループに参加させてもらいました。同グループ内では、平均1日1,500件以上の日本に関する発言が交わされています。

こうした情報や七日氏の微博(ウェイボー)には、今、流行の兆しを見せるコンテンツが見えてきます。 3つを紹介します。

1. 中国人にも「御朱印」ブーム到来

コミュニティ内で、最も盛り上がりをみせていたのは、「朱印(ジューイン)」。御朱印のことで、神社やお寺にお参りした証として授けられる印です。こうした御朱印ブームは、最近になって流行りだしたといいます。

「2016年頃から御朱印集めを始め、当時微博(ウェイボー)に投稿しても反応はうすかったです。今は、各地の観光名所で神社へ行く中国人が多い。浅草寺や明治神宮も同じ神社なのに印は全く違うので、それが魅力です。中国人は、希少価値のあるものをコレクションすることが好き。駅のスタンプラリーやスタバのカップ集めも人気です」(七日氏)

▲[メンバーのひとりの朱印コレクション]:「七日野鬼」微信(ウェイシン)グループチャットより引用
▲[メンバーのひとりの朱印コレクション]:「七日野鬼」微信(ウェイシン)グループチャットより引用

▲[同メンバーの各地博物館や美術館チケット]:「七日野鬼」微信(ウェイシン)グループチャットより引用
▲[同メンバーの各地博物館や美術館チケット]:「七日野鬼」微信(ウェイシン)グループチャットより引用

2. 山梨のイチゴやブドウ狩り

日本ファンの中国人の中では、日本のブランド品種の果物に対する関心も高まっています。

とりわけ、イチゴやブドウ狩りは、海外個人旅行で日本を訪れる中国人に人気です。

山梨のイチゴやブドウは、微博(ウェイボー)などから情報を得て、英語の公式ウェブサイトから直接予約して訪れる人もいます。こうした状況を考えてみると、地方のお店に突然外国人がやってきたら対応に困るのではないか…と心配にもなりますが、実は言葉の壁は大して問題ではない、と七日氏は語ります。

「お店側は、日本語しかできなくても大丈夫です。用意しておきたいのは、ルールを記した看板です。食べるだけ、時間制限『Takeout×、30minits』など簡素化した内容だけでも、中国人に意味は正しく伝わります」(七日氏)
▲[山梨のイチゴ狩り]:「七日野鬼」微博(ウェイボー)より引用
▲[山梨のイチゴ狩り]:「七日野鬼」微博(ウェイボー)より引用
山梨の果物が人気には、中国人はKOLらの影響によって、日本の果物の品種が広く知られるようになった背景があります。山形の佐藤錦や北海道の夕張メロンなども、こうした流れで知名度が向上しています。

食べるもの、薬といった体に入れるものの安全性といった話題に、中国人は人一倍敏感です。交通インフラを整え、誘客さえできれば、農作物が豊かな地方こそインバウンド商機があるといえるでしょう。

3. 今や着物体験も「あたりまえ」より高級な一着や変わった衣装に需要

浅草や京都の街は、着物を着て散策する中国人で溢れています。

単に着物を着ればOKではなく、よりグレードの高い着物や装飾品をまとって写真を撮り、SNSで共有することがステータスになっているようです。中国人にとって、一般の着物一式を身にまとうという体験にはもはや珍しさはなくなっています。こうした中、現在では、一風変わった「鎧兜体験」には大きな反響があったといいます。 

▲[自ら鎧兜体験をする七日氏]:「七日野鬼」微博(ウェイボー)より引用 ▲[自ら鎧兜体験をする七日氏]:「七日野鬼」微博(ウェイボー)より引用
▲[自ら鎧兜体験をする七日氏]:「七日野鬼」微博(ウェイボー)より引用
「鎧兜を着て写真を撮る体験を投稿しました。中国には、実際に鎧兜を着る体験のできる場所がなく、驚いたことに、女性からの関心も高かったです。2016年に放送されたNHK大河ドラマ『真田丸』で主演された俳優の堺雅人さんは、中国でも女性に人気が高いので、影響しているかもしれません」(七日氏)

この続きから読める内容

  • 「爆買い」に飽きた中国人、いまハマるコンテンツとは
  • インタビューを終えて:新しきものにとってかわられる古きもの
  • 日本の魅力ある商品を在日外国人インフルエンサーとつなげるマッチングプラットフォーム「trial JAPAN」
  • 【インバウンド情報まとめ 2026年2月後編】訪日中国人数6割減でも「インバウンド全体としては好調」、観光庁 / 1月の訪日外客数359.8万人、韓国が史上初の110万人超え ほか
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この記事の筆者

沖 えり

沖 えり

山口県生まれ。中国ハルビンの黒龍江大学に留学、中国在住歴8年。インバウンド事業を手がける外資系小売企業の広報を経て、2019年ライターに転身。「爆買い」時代から現場の取材経験を重ね、「インバウンド」「中国人」にフォーカスした原稿を得意としている。

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