韓国、日本の輸出規制に反発「訪日旅行ボイコット」か:2020年・4,000万人インバウンドに警鐘

公開日:2019年07月05日

徴用工訴訟問題をはじめ、慰安婦問題や自衛隊機へのレーダー照射問題など様々な問題が取り沙汰されている韓国ですが、日本政府は7月4日、韓国との信頼関係が著しく損なわれたとして、半導体の製造に必要な3品目の輸出規制を強化しました。

このニュースは、韓国でも驚きをもって報じられており、対日感情の悪化が韓国社会で更に進むことは想像に難くありません。訪日韓国人の人数は年々増加の傾向を示していますが、今後のインバウンドにはどのような影響が考えられるのでしょうか。


日本政府は韓国への輸出規制を強化、韓国政府はWTOへの提訴を検討中

半導体の製造に必要な「レジスト」と「エッチングガス(高純度フッ化水素)」、有機ELディスプレイの製造に必要な「フッ化ポリイミド」の3品目について、韓国はこれまで3年間有効な「包括許可」を取得することで、個別の申請を行うことなく輸出が可能となる「包括的輸出許可制度」の対象となっていました。

7月4日からこの「包括的輸出許可制度」の対象外となった韓国は、今後は輸出を行う際に個別に許可を申請し、日本側で許可が降りたものに限り輸出をすることができます。

日本側で許可を出さなかった場合は、事実上の禁輸措置ともなりうるため、韓国の産業界が抱えるリスクは必然的に大きくなります。

また、8月1日からは輸出先として信頼できる国であるとする「ホワイト国」の認定も解除し、これに関連する規制も併せて強化されることになります。

規制強化の理由は?事実上の「対抗措置」?

規制強化の理由について経済産業省は、日韓間の信頼関係が著しく損なわれたと言わざるを得ない状況となったといいます。そのため、信頼関係の下に輸出管理に取り組むことが困難になっていることに加え、大韓民国に関連する輸出管理をめぐり不適切な事案が発生したこともあり、輸出管理を適切に実施するため、今回の措置に踏み切ったとしています。

日韓間の信頼関係は、未だ解決の糸口を見いだせない「慰安婦問題」や「自衛隊機へのレーダー照射問題」に加え、昨年10月30日に韓国の最高裁にあたる大法院が、新日鐵住金に対し、元徴用工とされる韓国人4人へ1人あたり1人あたり1億ウォンの損害賠償を命じた「徴用工訴訟問題」などの様々な対立を経て悪化の一途を辿っています。

【徴用工判決】好調続く韓国インバウンドに急ブレーキか/韓国最高裁

韓国の最高裁にあたる韓国大法院が元徴用工の訴えを認める形で、新日鉄住金に元徴用工への賠償を命じました。賠償金額は1人あたり1億ウォン(※約1000万円)で、元徴用工を巡る裁判の中で、日本企業に対して賠償を命じる判決が出たのは初となります。支払いを拒んだ場合は新日鉄の韓国内の財産差し押さえの可能性もあるとされています。インバウンド対策なにから始めたら良いかわからない?訪日ラボがまとめた「インバウンドデータレポート」を資料で詳しくみてみる「インバウンドコンサル」を資料で詳しくみてみる「調査・リ...


これもあってか、6月28日・29日に開催されたG20では、安倍首相と文大統領の首脳会談すら開かれず、握手と撮影のみで面会が終わってしまうなど、日本政府としても韓国に厳しい対応をとっていく姿勢が明確に伺えます。

菅官房長官は、会見で今回の規制強化は徴用工訴訟問題への対抗措置ではないとしていますが、時期をかんがみるに事実上の対抗措置として捉えてもおかしくないものとなっています。

韓国社会の反応は?WTOへの提訴も?

韓国社会でも、今回の規制強化は驚きと怒りをもって受け止められています。おり、韓国政府は早急に該当する3品目の国産化を模索し、洪楠基(ホンナムギ)副首相は「規制強化を撤廃しなければ世界貿易機関(WTO)への提訴を含めた相応の措置をとる」と明言するなど、規制強化が韓国産業界に与えた打撃の大きさは未だ計り知れない規模のようです。

韓国では日本製品を買わずに韓国製品を買おうとする不買運動が既に始まっており、SNSを通じて不買リストが拡散しているとの情報もあります。しかし韓国の半導体業界は大部分を日本から輸入した原料に頼っていたため、韓国製コンピューターやスマートフォンの製造工程に影響が出ることは必至です。

訪日韓国人はどうなる?インバウンドへの影響は?

多くの反響をもたらした今回の規制強化ですが、韓国人は当然ながら否定的に受け止めており、対日感情の悪化は避けられない事態となっています。今後のインバウンド業界へはどのような影響が考えられるのでしょうか。

年々増え続けている訪日韓国人

訪日韓国人の数は2016年で509万4人、2017年で714万人、2018年で758万人と年々増え続けています訪日外国人を国籍で見てみると、シェアNo.1の中国に次ぐ人数の多さとなっています。また、2018年の韓国人旅行者が最も訪れた旅行先ランキングでは、大阪が堂々の1位を獲得しています。

これらの原因としては、LCCの就航の増加によるアクセス性の向上や、観光局のプロモーション活動の成果などがあります。韓国人の旅行先として日本の魅力が年を追う毎に向上していることが、数値からも伺いしれます。

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「観光ボイコット」が起こる?

今回の規制強化を受けて、韓国では日本製品の不買運動だけではなく「観光ボイコット」運動が巻き起こっている模様です。韓国大統領府・青瓦台の国民請願コーナーには、「日本への観光旅行に規制を設けるべき」「日本を警戒地域に指定するべき」といった国民の声が多く寄せられています。

社会全体にこのような風潮が蔓延してしまった場合、旅行先として日本を考えていた韓国人が、行き先を別の国に変更することも多くなるでしょう。訪日韓国人が減少することにより、インバウンド業界にも客足の減少韓国人向けプロモーションの難航などの影響が出ることが考えられます。

日本政府も、インバウンド需要の急速な盛り上がりをうけ、2016年には訪日外国人数の目標を2,000万人から、2020年には4,000万人に上方修正しました。一方で、全訪日客のほぼ4分の1を占める韓国との関係が悪化してしまうと、この目標にも大きな影響が考えられます。

インバウンド業界はどのような対策が必要?

韓国側も報復措置やWTOへの提訴を検討している以上、今後のインバウンド業界への影響は未だ計り知れないため、常にアンテナを伸ばし最新の情報を入手し続ける必要があります。

また、こういった状況の中で日本に来てくれる韓国人旅行客に対し最大限のサービスを提供し、楽しい思い出を持ち帰ってもらうことが一番の有効策となるでしょう。リピーターとなりうるであろう訪日韓国人への対応は、特に慎重に考えなければいけません。

また、多言語対応を重視し韓国語での円滑なコミュニケーションが取れる環境を整えたりパンフレット等の整備をするなど、訪日韓国人にとって訪れやすい環境づくりが重要となってきます。

日韓関係の動向チェックが欠かせない

今後の両国政府の対応によっては、事態が一変する可能性は大いにあります。韓国側は報復措置を検討すると発言しており、日本側も制度の厳格な運用を明言しているため、しばらくは雲行きの怪しい状態が続くでしょう。

8月1日には韓国のホワイト国認定解除も行われるため、また新たな動きが起こる可能性もあります。的確なインバウンド対策を行うためにも最新の動向をチェックすることが欠かせません


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客のインバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!