訪日外国人観光客が旅行する上で必須となるのが、旅館やホテルなどの宿です。訪日旅行も近年は個人手配が増えてきているといわれており、それに伴いオンライン旅行予約サイトの需要が高まっています。
その中でもBooking.comは世界最大規模の旅館、ホテル等の宿泊施設の予約を扱うウェブサイト・アプリです。
いわゆる海外OTAと呼ばれるものですが、Booking.comに宿泊施設の情報を掲載することはどれほど集客に効果があるのでしょうか。今回はBooking.comの概要とOTAに登録するメリット・デメリットなどを紹介します。
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Booking.comとは?
Booking.comは世界で述べ約30億人以上のチェックインを達成したオランダに本社を置くOTAです。OTAとはOnline Travel Agentの略で、インターネット上のみで旅行商品の取り扱いを行う旅行会社のことです。親会社はBooking Holdings Inc.で世界70か国に進出、198以上の支社を持つ大規模グループです。
OTA(Online Travel Agent)とは
OTA(Online Travel Agent |オンライン・トラベル・エージェント)とは、インターネット上で航空券や宿泊施設の予約をとる旅行予約仲介業者を指します。FITと呼ばれる個人旅行客の割合増加やインバウンド誘致に伴い、急成長を遂げています。この記事ではホテルなどの宿泊施設側の概要や登録方法、メリット・デメリットをご紹介します。Googleマップによる集客、うまく活用できていますか?口コミサイトで、もっと集客できるようにするサービス「口コミコム」でGoogleマップからの来店を約2...
エアライン各社、レンタカー、航空券手配サイトなど様々な企業と提携を強化しており、「ミシュランガイド」「地球の歩き方」など旅行ガイドブックともアフィリエイト提携をしています。また、サンフランシスコ観光協会、ニューヨーク市観光協会等の世界各地の観光関係機関とも提携関係にあります。
2016年7月からは現地アクティビティの予約情報提供サービス「ブッキング・エクスペリエンス」を開始し、Booking.comで予約をした利用者向けに割引、優先入場などのサービスを提供しています。2018年5月からは、東京や大阪など日本の主要都市でもサービスが利用できるようになっています。
Booking.com Japanとは?
Booking.comの日本支部がBooking.com Japanです。2009年に渋谷に日本国内初のオフィスを開設し、現在は国内6か所(東京[表参道、大崎]、大阪、福岡、那覇、札幌)のオフィスで事業展開しています。日本国内において外資系で最大手のOTA企業としてさらなる成長を遂げています。
近年、訪日外国人観光客のインバウンド需要の高まりによって、日本の観光業界を取り巻く環境は急速に変化しています。Booking.com Japanは国内掲載室数94万室以上となっていて、宗谷岬から西表島、父島まで日本を網羅しています。
Booking.com Japanはインバウンドの訪日外国人観光客だけでなく、日本国内のユーザーの獲得にも力を入れています。日本語対応のウェブサイトを充実させ、日本人スタッフが24時間体制で対応するカスタマーサービスを開設し、運営しています。
グループ会社「agoda.com」「priceline.com」
Booking.comのグループ会社である「agoda.com」は、バンコク、クアラルンプール、東京、シドニー、香港等のアジア地域を拠点として3,700人以上の従業員を擁するOTAです。日本語を含む40以上の言語で空室の確認、即時予約ができるサービスを提供しています。現在、JTB、楽天ライフルステイと業務提携をしています。
「priceline.com」もBooking.comのグループ会社OTAです。利用者側が航空券予約の際に値段を決める「逆オークションモデル」でビジネスモデル特許を取得し、アメリカのほとんどの航空会社で採用されたことで知られています(現在航空券の逆オークションは廃止されています)。
その後、航空券に加えて、ホテル、レンタカー、クルーズなど対象商品を拡大して、それらの商品をパッケージ提供もしています。
近年、個人旅行者FITが増加→OTAが重要に
訪日外国人観光客が来訪する際に選ぶ旅行の形態には大きく分けて、ツアー旅行と、個人旅行があります。一昔前までは、見知らぬ土地での観光には、ガイドが付いたツアー旅行が一般的でした。
しかし、近年はリピーターの訪日外国人が増えたこと、インターネットでの情報検索機能が向上したことによって個人手配海外旅行(FIT/Foreign Independent Tour)を選ぶ訪日外国人が増えています。
FIT(個人手配旅行)を選ぶ訪日外国人は、宿泊施設や航空機等の予約にOTAを使うケースが多く、インバウンド事業者にとってOTAに登録しておくことがますます重要になってきています。
FITとは?個人旅行が増加
近年、観光客のニーズの多様化により、パッケージツツアーを利用せずに個人で旅行を手配をする人が増加しています。こうした個人手配の海外旅行のことを
OTAに登録するメリット・デメリット
OTA(Online Travel Agent)に登録することは、メリットも多いですが、その反面デメリットもあります。ここでは、OTAに登録するメリットとデメリットについて見てみましょう。
【メリット】
訪日外国人観光客にとって日本の宿泊施設の自社サイトを見て検索予約するのは簡単ではありません。ましてや、多言語対応されていない場合はなおさらです。
海外のOTAに登録すれば宿泊施設の情報も予約も現地語で対応してもらえるので、OTAに登録することで現地での認知度が上がり、海外顧客の集客アップにつながると考えられます。
【デメリット】
デメリットとしては、手数料が高い点が挙げられます。国内のOTAも契約成立時に手数料を徴収しますが、海外のOTAは国内のOTAに比べて相対的に手数料が高くなっています。
また、海外OTAは多くのホテルに幅広く予約が入るように運営されているため、リピーターの囲い込みに繋がりにくいことがデメリットとしてあげられます。
そのため、自社のウェブサイトを多言語化するなどリピーター対応を考えることが必要になります。
Booking.comに掲載する方法
それでは次に実際にBooking.comに登録する方法を見てみましょう。Booking.comを経由した成約において、1件ごとに手数料がかかる、という契約形態をとっています。
以下、登録手順です。
- サイト右上の「宿泊施設を掲載する」
- 「新規施設を登録する」欄に氏名とメールアドレスを入力
- 次にパスワードと電話番号を入力
- 「アパートメント」「ホテル・B&B系」など4種類から宿泊施設のタイプを選ぶ(ここでは「ホテル・B&B系」を選ぶ)
- 「ホテル」「ゲストハウス」「ホステル」など5種類からさらにタイプをしぼる(ここでは「ホテル」を選ぶ)
- 掲載するホテルの数を選ぶ(ここでは「ホテル1件」を選ぶ)
- 管理画面につながるので、宿泊施設の名称、料金、サービス、アメニティ、写真、支払い方法などを手順に沿って入力する
- 準備が整い次第、宿泊施設ページの掲載を開始できる
過去には公正取引委員会の立ち入りも
2019年4月10日、公正取引委員会がBooking.com、Expedia、楽天トラベルの国内関係先に、他の予約サイト及び宿泊施設自社のサイトでサービスをより安く提供しないように求めていた疑いで、立ち入り調査を行いました。
各社には、「同等性条項」と呼ばれる不当な契約を旅館、ホテル等との契約に求め、宿泊施設の自社サイトや他のOTAと同等もしくはそれより安い料金を設定させていた疑いがあります。規模の大きなOTAがこの「同等性条項」を設けると、宿泊施設の自社サイトで安い料金設定ができなくなり、加えて、他のOTAとの価格競争が起きにくい状況になってしまうのです。
立ち入り調査は、このような価格競争が起きにくくなる「同等性条項」が独占禁止法が禁止する「拘束条件付き取引」に当たる可能性がある、ということを理由に行われています。日本以外でも過去に、2015年にドイツ当局がこの「同等性条項」の削除をBooking.comに命じています。またイギリスやフランスの当局も調査に当たったということです。
OTA大手3社に公取委立ち入り”最安値”強要の不当契約の疑いで/今後インバウンドのホテル予約に変化も?
10日午前、楽天トラベル・Booking.com(ブッキングドットコム)・Expedia(エクスペディア)のOTA大手3社が宿泊施設側に不当な条件での契約を求めていた疑いがあるとして、公正取引委員会が立ち入り調査を開始しました。3社に処分が下った場合、今後インバウンドの宿泊施設予約動向に変化が生じることが予想され、それに伴い宿泊施設も施策を打つ必要があると考えられます。以下でみていきましょう。目次OTA大手3社に公正取引委員会立ち入り立ち入りの背景はインバウンドの増加にあった「同等性条項」...
費用対効果を考えて掲載を
訪日外国人観光客向けのインバウンド事業者にとって、いかに効率よく海外の現地のユーザーに情報を発信していくかが、今後ますます重要になります。Booking.com等の海外OTAに情報を掲載すれば、現地の訪日を考えている旅行者は現地語での案内で施設情報やアクセス等の情報を入手でき、そのまま予約までできます。
Booking.comは規模では最大手のOTAであり、訪日外国人観光客向けのサイトとして非常に心強いツールとなるでしょう。
また、リピーターの獲得に向いていないというのも懸念点です。自社のウェブサイトを多言語化して対応する等の対応も合わせて行うと良いでしょう。相対的に費用対効果をよく考えてBooking.com 等の海外OTAを活用する必要があります。
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