2020年のオリンピックを前に、訪日外国人観光客に関する情報が日々メディアから発信されています。東京と大阪は日本の二大都市で訪日外国人観光客も多くなっていますが、同じ日本であっても消費に異なる傾向が表れているなど、注目すべき点が多くあります・
こうした中、海外向けのプロモーションや多言語対応、キャッシュレス化といったインバウンド施策をとる小売店や店舗、メーカーも増えています。
では、本当に集客に効果を発揮する施策とは何なのでしょうか。この記事では、インバウンド対策としてまずチェックしたい4つのポイントと、施策の事例、注目すべき点を解説します。
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拡大するインバウンド市場、まずチェックすべき4項目
年々拡大するインバウンド市場は企業や店舗にとって注目すべきマーケットであり、日本全体の経済成長のためにもさらなる集客を実現するインバウンド対策が必要とされています。以下では、インバウンド対策を行う際にチェックすべき4つの基本的なポイントについて解説します。 1. 情報発信が適切にできている
情報の発信は国内でのプロモーションにおいても重要な事項ですが、インバウンド向けの集客対策としても重要視すべき事項の1つです。
特に近年ではオンラインでの情報発信を効果的に行うことがポイントとなります。多くの訪日外国人が訪日前に利用した情報収集手段としてインターネットを挙げています。 SNS、Webメディア、インフルエンサー、動画などを最大限活用することが集客への近道となるでしょう。
2. 多言語対応ができている
インバウンド集客を考えているのであれば店舗を訪れた外国人客とのコミュニケーションやメニュー、案内における多言語対応に積極的に取り組むべきです。
日本の多くの店舗や商業施設における外国語対応はまだまだ十分とはいえず、訪日外国人の間ではさらなる多言語対応を求める声が見られます。訪日外国人は音声翻訳機や、多言語対応したタブレット機器によるスムーズかつスマートな接客を求めています。
プロモーション施策の多言語化も、顧客層の拡大に貢献するでしょう。
3. 決済アプリの対応ができている
現在、訪日外国人客による消費は大きなマーケットとして注目を集めていますが、国別にみると訪日中国人が最も多くの割合を占めており訪日中国人の誘致に成功することはインバウンド対策における成功を意味しています。
そこで訪日中国人誘致のための対策として重要とされているのがモバイル決済アプリ対応です。中国ではアリペイ、ウィーチャットペイをはじめとした決済アプリを利用するユーザーが非常に多く、これらの決済アプリに対応している店舗であることは、訪日中国人に対して大きなアピールとなります。
また、中国以外の海外諸国においても日本以上にキャッシュレス化へとシフトしている国々は多く、慣れない通貨でやりとりをする必要がなくなるという点はすべての訪日外国人にとってメリットとなります。
4. ニーズの分析がしっかりできている
インバウンド対策にはさまざまなものがありますがそれらを成功させる鍵は訪日外国人のニーズの把握にあります。
統計やデータを参照せずに、日本人の視点から感覚や予想に基づいてインバウンド対策を行うことは、実際に訪日外国人が抱いているニーズとかけ離れた的外れな対策となってしまう可能性もあるため、できる限りデータを活用し訪日外国人の目線から対策を行うことが望ましいでしょう。
特に訪日外国人全体に向けたアンケートの結果や統計からニーズを分析するマクロ的視点と、店舗でターゲット層としている世代、性別、国籍の訪日外国人のみに向けたアンケートの結果や統計からニーズを分析するミクロ的視点を併せ持つことでより細かなニーズ把握が可能になります。
政府、観光庁、各種地方自治体が発表しているインバウンド市場に関するさまざまな統計から適切にデータの分析を行い、効率的に集客につなげられるターゲット層のしぼりこみ、注力すべき対策の選択を行いましょう。
インバウンド施策の事例4件
各種インバウンドデータの活用やニーズの把握と併せて行っておきたいのが実際に他の店舗や施設で行われている対策の把握です。同業種であればもちろんですが、他業種の店舗で行われているインバウンド対策も自店で行う対策の参考にすることが可能です。
ここではホテルや民宿などの宿泊施設に絞ってインバウンド対策の事例について解説します。
1. 多くの情報+写真で印象付ける「澤の屋旅館」英語版ホームページ
東京の谷中に位置する「澤の屋旅館」では英語版ホームページを運用しています。
毎日の空き情報確認や予約フォームはもちろん、料金やアクセス、施設案内、Wi-Fi、自転車レンタルなど、訪日外国人にとって気になる情報や役立つ情報を網羅して提供しています。
また、旅館を紹介するページでは旅館の歴史やスタッフの日常、ゲストとのやりとりについてマンガ形式でコミカルに紹介しており、文字以外の視覚的なコンテンツを追加することで興味をそそる内容となっています。
以前はOTA経由での予約がほとんどであったのに対し、英語版ホームページの運用以降は徐々にWebサイト経由での予約も増えているそうです。
2. 日本語を読めない訪日外国人もストレスフリー「Pepper」導入
全国でホテル事業を展開する「株式会社マイステイズ・ホテル・マネジメント」では、赤坂や浜松町をはじめとする一部店舗で人型ロボット「Pepper」を導入しています。
これまで企業や店舗での導入事例はあったものの、国内のホテルでPepperが導入される事例は今回が初めてで日本語、英語、中国語への多言語対応をねらいとしています。
また、Pepperはマイステイズのコールセンターと連携しているため顧客の質問や要望への即時的な回答が可能になっており、これまでチャットや電話で行なっていた多言語対応をよりスマートかつスムーズに行うことができるようになります。
マイステイズでのPepperの導入が顧客の満足度向上や従業員の負担軽減につながるようであれば、今後さらに多くのホテル、旅館でPepperが導入されていくでしょう。
3. Alipayで顧客層を広げる「ホテル日航熊本」
ホテルオークラグループ傘下の「ホテル日航熊本」では2018年4月より訪日中国人対策の一環として中国最大規模のユーザー数を有するQRコード決済サービス「Alipay」を導入しました。今回の導入はフロントやレストランでの支払いにアリペイを利用できるようにしたもので、訪日中国人観光客によるホテル、レストランの利用を増やすことを目的としています。
ホテル日航熊本では宿泊者全体のうち約20%を訪日外国人が占めており、その半数が中国や香港からの訪日宿泊客です。これまでも訪日中国人対策には着手しており中国人ユーザーの多いデビットカード「中国銀聯カード」への対応などを行なってきました。
今回のAlipay導入では中国人宿泊客の支払いにおける利便性をさらに高め、より多くの訪日中国人にホテル日航熊本を利用してもらうことをねらいとしています。
4. エリアごとの客層とホテルの特徴を分析
都内を中心にホテルやカプセル・スパを運営する「センチュリオンホテルズインターナショナル」では以前より主観的な宿泊料金設定が課題とされていましたが、課題解決のためにアナリティクスソフトウェア「QlikView」を導入しました。
QlikViewでは従来の定型集計フォームに縛られないフレキシブルなデータ分析が可能で、宿泊施設の管理システムや経理システムと連携させることで各種データをひもづけして有効活用することができます。
また、レビューや口コミなどの顧客データの取り込みも並行して行いデータや数値に基づくニーズ把握、顧客満足度把握を行い宿泊料金設定に活かすねらいです。
センチュリオンホテルズインターナショナルではデータ解析ソフト導入を含む抜本的な改革により今後は積極的にデータを活用し、リピーター獲得や新たなホテル開発に役立てていく方針です。
インバウンド対策に必要なたった2つのこと
インバウンド対策に取り組む際の最大のポイントは情報収集と手段の選定です。
ニーズを把握する上では適切な情報に基づいて分析する必要があり、同じ結果を求める対策といえど適切な手段は企業や店舗によって異なるためです。
以下では、情報収集と手段選定のそれぞれについて具体的に解説します。
情報収集(データ、統計、事例)
情報収集はインバウンド対策の基本であり心強い味方です。インバウンド関連の各種データや統計は、訪日外国人のニーズを把握する上で必ず把握すべき情報でしょう。他社や他店のインバウンド対策も、自社や自店で取り組むべき対策を考える上で貴重なデータとなります。
訪日ラボでは下のような様々な情報を提供しています。
【最新ランキング】2019年夏旅行、訪日外国人に人気のエリア:国別の傾向とその理由を分析
ホテル・旅館の宿泊予約サービス「Relux(リラックス)」を運営する株式会社Loco Partnersは、カスタマーの旅行動向や人気の宿泊施設の傾向を調査する「Reluxトラベルラボ」より、「2019年夏 インバウンド旅行動向調査」の結果を発表しました。2019年夏の訪日外国人観光客に人気のエリアと宿泊施設について、ランキング結果をふまえて見ていきましょう。目次2019年夏の人気エリア、インバウンドニーズは多様化インバウンドの国別人気エリアランキングはお国柄が顕著に!?施設選びのポイントは...
手段の選定
訪日外国人客を取り込むべくインバウンド対策に取り組んでいる企業や店舗は多いですが、着実に結果に結びつけるためには手段の選定を慎重に行う必要があります。
また、業種や客層、求めるターゲット層、顧客ニーズによって集客に効果を発揮するインバウンド対策は異なってくるでしょう。集めたデータや統計を分析し、最も効率的なインバウンド対策を選びましょう。
多言語対応一つとっても、様々な対応方法があります。自社と顧客にあった方法が何かを理解することが必要です。
多言語対応とは?インバウンド対策で求められる言語・対応方法・おすすめツールを紹介
多言語対応はインバウンド対策として重要視されています。しかし、語学は短期間で習得できるものではなく、多言語を操れるスタッフを雇うにも、時間と労力がかかってしまいます。 日本にはさまざまな国から訪日外国人がやってきますが、多言語対応でメインとなる言語は英語と中国語です。この2か国語に対応できれば、かなり多くの訪日外国人観光客とコミュニケーションがとれるようになるといえます。 「多言語対応」でどの言語に対応すべきか、また多言語対応を行う手段、おすすめの翻訳サイト・ツールついて紹介します。 ...
共通するポイントから学び、より効果的なインバウンド施策を
他社や他店における成功事例を模倣するだけでは必ずしもインバウンド集客に結びつけることはできませんが、インバウンド対策を行うにあたって他社や他店と共通した課題があることも事実です。こうした観点に加え、自社の強みや弱みを把握し、ターゲット層を選定、さらにニーズを分析することで、効果的なインバウンド対策を講じることができるでしょう。
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今年も残りわずかとなりましたが、インバウンド需要はまだまだ好調をキープしている状況です。来年の春節や桜シーズンなど、訪日客が集まる時期に向けて対策を練っていきたいという方も多いでしょう。
今回もインバウンド業界最大級メディア「訪日ラボ」副編集長が、10〜11月のインバウンドトレンド情報についてお話ししていきますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
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この記事では、主に11月前半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
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