免税店大手のラオックス株式会社は、かつて家電量販店として経営難に陥りましたが、中国の蘇寧電器の傘下に入ったことで免税店として業績を回復させました。
家電量販店の他にもインバウンド事業やエンターテイメント事業など、訪日外国人を対象とした多角的な事業を展開しています。
この記事では免税店として成功を収めたラオックスの事業内容やインバウンドでの成功の秘訣と、コロナ禍にともなう現状をご紹介します。
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ラオックスとは?免税店としての復活と多角化された事業内容紹介
ラオックスは2000年代の初頭、2,000億円以上を売り上げる大手家電量販店として名を知られていました。しかしその後、他の家電量販店との競争に敗れ、経営難に陥りました。
再起のきっかけは、2009年に中国最大手の家電量販店を運営する蘇寧電器の傘下になったことです。新しくラオックスの社長に就任した羅怡文氏の方針により、ラオックスは中国人をはじめとする外国人観光客向けの免税店として新たなスタートを切りました。
現在では日本最大級の総合免税店ネットワークを構築し、インバウンド事業、グローバル事業、生活・ファッション事業・エンターテイメント事業の4つを柱とした経営を展開しています。
事業内容1. おもてなしを提供するインバウンド事業
ラオックスのインバウンド事業では、国内最大規模の総合免税店ネットワークと国内向けEC事業を展開しています。
訪日外国人観光客へ価値ある商品と素晴らしい思い出を届けることをコンセプトに、全国に40店舗ある総合免税店で化粧品・日用品・家電・健康食品など豊富な商品を取り扱っています。
また、決済時のスムーズな免税手続きや多言語対応スタッフなど、おもてなしのサービス文化を顧客に提供することを目指しています。
事業内容2. 世界に向けたグローバル事業
グローバル事業の主な事業内容は、越境EC事業、貿易事業を中心としたBtoBビジネス、観光客向け飲食店ナビゲーションアプリの運営です。
中国に限らず世界中のマーケットに目を向け、越境EC事業に力を入れています。
さらに、次世代の販売コマースともいわれる「ライブコマース事業」も発足させ、若い世代のトレンドをいち早くキャッチするなど売り上げの拡大を図ります。
事業内容3. 生活・ファッション事業
生活・ファッション事業では、婦人靴の製造販売、ギフト関連商品の実店舗ならびにオンライン店舗での販売、百貨店の運営が主な事業内容です。
冠婚葬祭やお中元・お歳暮などのフォーマルギフトから、ちょっとした感謝の気持ちを表すためのギフトや自分へのご褒美ギフトなどを多様に取り揃えています。
その他には婦人靴を軸とした最新のファッション雑貨を、実店舗からオンラインまで幅広いチャネルで販売しています。
事業内容4. 誰にでも楽しめるエンターテイメント事業
エンターテイメント事業では、飲食・エンターテイメントといった体験型のサービスを多数展開しています。
日本文化を体験できる文化イベントの運営・管理、商業施設の開発、不動産PMなど、事業内容は多岐に渡ります。
日本文化に触れられるアミューズメント体験など、訪日外国人観光客にも家族連れの日本人にも楽しめるサービスを提供しています。
なぜラオックスが人気免税店になったのか?インバウンド対策の具体内容
ラオックスは以上のように4つの事業を柱として、さまざまなインバウンド事業を成功させています。では、具体的にどのようなインバウンド対策をしているのかをご紹介します。
訪日旅行客ガイドアプリを開発
ラオックス株式会社は、訪日外国人向けの新しい飲食店ガイドアプリ「TTD レストランシステム」のサービスも行っています。
「TTD」とは、旅行において必ず訪れるべき、やるべき、食べるべきことという意味の「Things To Do」の頭文字を取った名称で旅行業界ではTTDの略称で表現することが多く、訪日外国人観光客が日本観光を楽しむためのTTDをサポートするという意味が込められています。
ユーザー向けに旅行の情報を提供するだけでなく、そこから交通チケットを購入したり、レストランの予約からエンターテイメントのチケットを購入したりというアクションを起こしてもらうサービスを目標としています。
このシステムのコンセプトは、訪日外国人観光客と日本の飲食店側の言語における不便さを緩和するだけでなく、飲食店側の業務の効率化も図るというものです。
アプリからのセルフオーダーシステムやウェブサイトから順番待ちができるサービスなどを提供しています。
ラオックス、メニュー翻訳などの新サービス「TTD レストランシステム」をスタート
目次インバウンドの日本観光をもっと楽しく便利に言語の障壁をカバーし、飲食店側の日々の業務効率化にも貢献インバウンドの日本観光をもっと楽しく便利にラオックス株式会社(以下、ラオックス)は、インバウンド向けの飲食店ガイドアプリによる新サービス「TTD(Things To Do)レストランシステム」をスタートします。なお、この新サービスの企画からシステムの開発まで、ラオックスの子会社である「上海弘楽国際旅行有限公司」が実施。ニーズに合わせて、随時バージョンアップしていく計画です。TTD レストラ...
店内でのインバウンド対応
店内の接客ではアジア、ヨーロッパ、北米、中南米、アフリカなど各国の主要言語での対応を実現しました。
海外事情に精通したスタッフが商品説明を行い、化粧品はカウンセリング専門のスタッフを配置するなど顧客が快適に買い物ができるような環境を作っています。また、すべてのレジで免税手続きを行うことが可能です。
インバウンドと地域活性化がテーマの大型商業施設「千葉ポートスクエア」
千葉ポートスクエアはラオックスの大型商業施設です。千葉港地区を代表するランドマークとして、1993年にオープンしました。
ショッピング、レストラン、体験型レジャー施設等、様々な施設が集まり、オフィス棟であるポートサイドタワー、顧客満足度の高いカンデオホテルズ 千葉、イベント会場のポートアリーナ、そして複合商業施設であるポートタウンの4つのエリアで構成されています。
インバウンドと地域活性化の融合をテーマに、地元のファミリー層や訪日外国人観光客にメイドインジャパンの商品、サービスや文化、体験を提供しています。
新型コロナウイルスのラオックスへの影響
ラオックスは2020年7月28日に、インバウンド事業の一部地域の12店舗の閉店を公表しました。閉店する店舗は、北海道3店舗、東京1店舗、近畿1店舗、九州1店舗、沖縄1店舗です。
2020年1月末から感染が拡大している新型コロナウイルスの影響により、主要顧客である中国やその他の諸外国からの訪日外国人観光客が入国できず、収入の見込みが立たないため、一層のコスト削減とキャッシュフローの改善が閉店理由としています。
6月26日の取締役会では、250人の希望退職者を募集することを決議するなど苦しい状況が続いています。
秋葉原のラオックス本店は8月、大部分がホビー専門売場へと生まれ変わりました。他店でも、免税店業態から日本人客向けの店舗改装が進められている状況です。
インバウンドの時流に合わせて対応している
ラオックスがインバウンド領域で成功している秘訣は、ひとつの事業にこだわらずに様々な角度からインバウンド対策をしていることです。
インバウンド事業、グローバル事業、生活・ファッション事業・エンターテイメント事業といった4つの事業をインバウンドの時流に合わせて柔軟に対応できる体制は、これからインバウンド対策をする際の参考にしてみてください。
多言語化・コミュニケーションのインバウンド事例集
訪日外国人観光客が急増している今、観光地のみならず日本各地で急ピッチで進められているのが多言語化です。訪日外国人が少なかった当時は、日本語だけで事足りていました。人々のコミュニケーションは日本語だけで十分だったのです。しかし現在はそうも言っていられなくなりました。訪日外国人は増え続け、政府は2020年に訪日客数4000万人という目標を発表しました。言語は、外国人が訪日旅行をする際に最大の障壁ともなりうる問題です。このページでは、各業種における、多言語化・コミュニケーションのインバウンド対策...
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