中国人はなぜ月餅を食べるのか?中秋の名月がインバウンドと関係する理由

中国人はなぜ月餅を食べるのか?中秋の名月がインバウンドと関係する理由

秋の夜長の風物詩には、中秋の名月を愛でる十五夜のお月見があります。中国でも「中秋節(ちゅうしゅうせつ)」と呼ばれる伝統行事があり、家族が集まってお月見を楽しみながら五穀豊穣をお祝いします。今年は9月13日の金曜が中秋節にあたります。

中国の中秋節は、月餅(げっぺい)と呼ばれる、満月に見立てた平らで丸い形をした中国の伝統的な菓子を食べる習慣があります。

今年も中秋節まで約一か月です。今回は、中秋節の由来や風習などをご紹介します。


中秋節とは?

中秋節(ちゅうしゅうせつ)は旧暦8月15日に行われる、中国の伝統行事のひとつです。中国語では、「中秋节zhōngqiūjié(ジョンチウジエ)」といいます。中秋節の過ごし方として、家族が集まってお月見を楽しみながら五穀豊穣をお祝いします。

その際のお供え物として、満月に見立てた月餅(げっぺい)と呼ばれる伝統的な菓子や瓜、果物などがあります。

中秋節は、春節(旧正月)に次いで中国で二番目の伝統的な祭日です。中秋節が、中国の法定祝日として正式に認定されたのは2008年とされ、今年の中秋節は9月13日(金)です。

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伝統行事、中秋の由来は?

中秋節の由来は、中国の皇帝がかつて、8月15日に豊作を祈って音楽を奏で、月に祈りを捧げたことにあります。

中国の情報サイト「百度百科」によると、中秋節のはじまりは、中国の王朝の一つである唐朝(618年~907年)といわれています。この頃は、まだ習俗として定着していませんでしたが、宋朝(960年~1279年)から、お月見が流行し、盛んに祭日として祝うようになりました。

中秋節の風習として、月餅と呼ばれる伝統的な菓子を食べます。中秋節の満月は「団らん」を象徴し、月餅は満月に見立てた円形となっています。月餅はお供えものとして中秋節に食べられていましたが、現在では、中秋節の時期の贈り物としても主流となっています。

中元節との違い

中国には中秋節と似た名称の中元節(ちゅうげんせつ)という伝統行事もあります。旧暦7月15日に行われ、日本でいうお盆の時期にあたります。中元節は、地獄の門が開き、祖先の霊魂が赦される日とされ、霊魂を鎮める日とされています。

中国では、お盆のような風習で中元節以外にも「清明節」がありますが、こちらは6月ごろの節句で、先祖のお墓参りをする日とされています。

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中秋節にまつわる風習

旧暦8月15日の秋頃に行われる中国の伝統行事のひとつである中秋節には、月餅(げっぺい)を食べる風習があります。ここでは、中国の月餅にまつわる風習を詳しくご紹介します。

中秋節は月餅を食べる!

▲[月餅(げっぺい)]
▲[月餅(げっぺい)]
中秋節は、家族が集まってお月見を楽しみながら五穀豊穣をお祝いします。その際に伝統的に準備されてきた食べ物には月餅、カボチャ、タニシ、サツマイモ、ザボン、八宝鴨、板栗鴨があります。

とりわけ、中秋節の満月は「団らん」を象徴し、月餅は満月に見立てた円形となっているため、中秋節には欠かせない伝統的な食べ物として、非常に人気です。

また元朝末期、農民たちが異民族である元王朝に対して決起する際、「決起の日は中秋節」と書かれていた紙をしのばせ、月餅を贈り合ったいわれています。

月餅とはどんな食べ物?

中国の伝統菓子である月餅は、品種も非常に多く、各地方によって風味も異なります。とりわけ、「広式」、「京式」、「蘇式」、「潮式」と呼ばれる4つの種類は、中国各地で広く親しまれています。

「広式」は、広東省地方の名物とされ、主に中国南方地方や広東、広西、海南などの地域に親しまれており、薄皮の触感や味が南の人に好まれるとされています。

「京式」は、主に東北地方で親しまれており、ごま油の風味が強く、皮はサクサクとした柔らかい触感が特徴的です。

「蘇式」の月餅は口当たりが軽く、江蘇地区で好まれています。

そして、「潮式」は広東省潮汕地区と呼ばれる地域が発祥で、塩気が全くない甘みのある味が特徴的です。

月餅の餡は、主に小豆餡や黒ゴマ餡、ハスの実の餡や松の実の餡などさまざまです。その他、アイスクリーム月餅、チョコレート月餅など近代的な風味を含んだ月餅も登場しています。

月餅で賄賂が横行した?主流は、電子チケット化?

中秋節の贈り物の定番として、月餅は縁起が良いとされていました。中国の中秋節では、会社側が従業員の福利厚生として、月餅の詰め合わせを贈ったり、月餅の引換券を配布するなど、習慣があります。

一方で、月餅の箱の下にお札を入れて賄賂をしのばせる悪い風潮もあり、2013年からは公費を使って月餅を贈ってはならないという禁止令が出ています。

2011年頃から、月餅の贈り方についても変化が見受けられます。昔は、お店へ行って月餅を購入し、宅配や直接相手に手渡しするなどが一般的でしたが、近年では、月餅チケット(中国語では月饼票、yuebing piao)と呼ばれる電子チケットを発行し、ダウンロードして受け取るといった方法が人気の傾向にあります。

その理由として、店舗に行って吟味をしなくとも、ネット上でさまざまな種類から選ぶことができ、且つ店頭に並ばず購入することができ、受け取る際も受け取り日時を指定できるなど、利便性が高い点が挙げられます。

中秋節と日本のお月見の違いは?

中秋節は、日本と同じく中秋の名月を愛でる十五夜のお月見として、家族が集まってお月見を楽しみながら五穀豊穣をお祝いする伝統行事です。ここでは、日本のお月見との違いをご紹介します。

家族のつながりを重視

中秋節は、「中秋の名月」を愛でる十五夜のお月見として日本にも伝わりました。日本では、家族団らんの日ではなく、月を花とともに愛で豊作の感謝をする日とされています

それに対して、中国ではどこも欠けていない満月を「円満・完璧」の象徴と考えています。

そのため、中国では中秋節を「団らん節」と呼ぶこともあります。中秋節や春節など、中国の伝統行事は家族のつながりを重視する風習が見受けられます。

日本のお月見

日本のお月見は、「中秋の名月」、「十五夜」、「芋名月」と呼ばれています。お月見の日には、酒を酌み交わし、おだんごやお餅、ススキ、サトイモなどをお供えして月を眺めます。

一説では、その由来は遣唐使から伝え聞いた中国風の宴の風情などへの憧れから平安貴族達が真似をして月を眺める晩餐会を催したことにあります。庶民も広く十五夜を楽しむようになったのは、江戸時代に入ってからだといわれています。

次第に、月を眺めるといった意味合いから、月へ豊作の祈願と収穫の感謝をするという意味を持つようになり、現在にまで続くようなお月見の形と変わったと伝えられています。

中秋節の根底にある中国人の家族観

中秋節の文化は、中秋の名月を愛でる十五夜のお月見として、家族が集まってお月見を楽しみながら五穀豊穣をお祝いする伝統行事として、古くから伝わり現在も大切にされています。

中国の中秋節に食べる月餅(げっぺい)は、縁起物として付き合いのある相手に贈るものでもあります。古くはそのものを手渡ししていたものが現代では利便性を高めて電子チケットを送る形になるなど、意義は変わらずとも形式に変化が表れています。

中国人にとって満月は「円満・完璧」の象徴であり、中秋節と月餅は今でも大切にされている習慣です。家族のつながりや一家団らんを重視する価値観は、今も変わらず社会に広く存在しています。中国人を相手にビジネスを考える際には、こうした基本的な価値観の理解が欠かせないでしょう。


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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