中国市場開拓の注意点や課題は?ソーシャルバイヤー・EC最新動向・モバイル決済・事例も紹介

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日本のインバウンド市場では訪日中国人は増加していますが、中国人の旅行市場自体も大きく成長しています。インバウンド市場だけを見れば「爆買い」収束とも言われますが、中国市場はなお成長を続けています。

中国市場の動向についての知識は、適切なインバウンド対策に活かすことができます。

この記事では、中国市場の動向や日本の対応事例などを解説していきます。

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中国市場の動向は?

2018年の訪日外客数を見ると、中国市場は首位で838万人を記録しています。2014年の訪日中国人数は240万人だったので、わずか5年で3.5倍まで急伸していることがわかります。

2015年には中国人の猛烈な購入を指す「爆買い」が流行語となりました。当時、訪日中国人観光客は電化製品や理美容品、医薬品などを大量に購入しており、その様は話題となりました。

以下の記事では、2018年の訪日外客数について詳しく解説しています。

【国別】2019年訪日外国人観光客数の予測|効果的なインバウンド対応のポイントとは?

日本政府観光局(

「爆買い」の動向:電子商取引法によりソーシャルバイヤー減少

2015年、多くの訪日中国人観光客が爆買いをしていた拝啓には、日本製品が中国国内でもブームだったことと関係しています。中国国内ではECを利用した日本製品の購入も盛んで、訪日旅行以外でも日本製品を購入するルートが多く存在しました。

例えば、中国の大手ECサイト「天猫(Tmall)」では、越境ECプラットフォームを利用した日本製品の正規販売が行われています。その他、SNSなどを利用した、いわゆるソーシャルバイヤーと呼ばれる代理の購入による販売も並行して存在していました。

ソーシャルバイヤーに対しては、中国政府は2019年1月、中国で電子商取引法(電商法)の施行を通じ、管理体制を強めています。同法によって、電子商務経営者(事業主)は、営業許可など行政への申請や、納税義務付けられました。

これにより、転売目的で代理購入していた多くのソーシャルバイヤーが撤退し、百貨店の2019年1月の売上高は前年同月比減になるなど、小売業界も影響を受けました。ただし、依然として理美容品や医薬品などの大量購入は続いています。

以下の記事では、中国の電子商取引法について詳しく解説しています。

中国「爆買い規制法」で転売屋の7割が撤退、「電子商取引法」施行のソーシャルバイヤーへの影響調査

近年、ディスカウントストアやドラッグストアでは、棚にある商品をごっそり買っていく中国人客の姿をしばしば目にします。彼らの多くは、内外価格差を利用して、日本で安く買い、中国で売りさばく転売業者「

また、以下の記事では爆買いの動向について詳しく解説しています。

爆買いとは

「爆買い」とは、主に訪日中国人による一度に大量の商品を購入する行為をいう俗語です。2015年には流行語大賞を受賞するほどの社会現象となりましたが、昨今は以前と比べ下火になったとの論調もあり「爆買いは終わった」といわれることもあります。 一方で最近でも、ドラッグストアや小売店に足を運べば、そこにはやはり日用品や医薬品を購入する訪日中国人の姿があります。しかし、広く訪日外国人観光客の消費傾向が「モノ消費」から「コト消費」へと変化していることも事実です。 この記事では、果たして爆買いは本当に...

モノ消費からコト消費へ

2015年は爆買いに象徴されるように、「モノ消費」の全盛期でした。当時の旅行スタイルは、団体旅行が主流であり、ゴールデンルートと呼ばれる日本の観光名所を巡り、買物をするといった企画が人気でした。

しかし、2016年下半期以降、訪日中国人観光客のリピーター増加などにより、団体旅行から個人旅行といった、旅行スタイルの裾野が広がりをみせ、より日本文化を体験できる「コト消費」が人気を博しています。

そのため、従来のゴールデンルートで周遊していた主要都市だけでなく、現在では地方にまで足を運ぶ訪日中国人観光客の姿が見受けられます。

日本企業の中国進出動向:進出意欲未だ続く

2011年2月、内閣府が発表した2010年の国内総生産(GDP)において、日本は5兆4740億ドル(約455兆円)で中国の5兆8790億ドル(約489兆円)を下回り、世界経済第2位の座を初めて中国に譲り渡しました。

中国市場の急伸が見受けられるなか、持続的成長を目指す日本企業にとって中国市場は無視できない存在であり、中国進出に踏み切る企業は後を絶たちません。

日本貿易振興機構(JETRO)による2018年の調査によると、輸出拡大意欲が下げ止まったものの中国を最重要先とする回答が増加し、中国・米国に向けた海外進出拡大意欲は上向きました。日本企業による中国への進出意欲は未だ続いていると言えます。

小売業はEC化・キャッシュレス化が進む

旅行スタイルの変化や爆買い規制などの煽りを受け、日本製品をECサイトで購入するケースが増加し、小売業は越境ECへとシフトしています。

また、中国は日本に比べ、モバイル決済などによるキャッシュレス化が進んでいます。ここでは、中国のECやモバイル決済について解説します。

正規の越境ECは拡大

2019年1月、中国政府は電子商取引法を施行し、転売などソーシャルバイヤーによる規制を厳しく取り締まると同時に、越境ECで購入できる上限額を増やしました。

税関経由の正規越境EC拡大の意図として税収が得られるのは勿論のこと、販売ルートを大手に集約することで、市場に出回る購買データの取得を期待しているものと見られます。

中国の越境EC市場とは

越境ECとは、インターネット通販サイトを通じた国際的な電子商取引を指します。ECはElectronic Commerceの略で、日本語では電子商取引と訳され、「インターネット通販」や「ネットショップ」を指します。

Webサイトを通じて売買の取引を行うため、店舗を構えず物販が行え、世界を相手に自社のサービスをビジネス展開できる点がメリットです。

中国の研究機関iiMedia Reserchによると、日本製品の購入チャネルとして活躍する中国の越境ECの取引額は、2019年には10兆元(約165兆円)を超えると予測されており、巨大な市場であることがわかります。

以下の記事では、中国のECサイトについて詳しく解説しています。

【2019年最新/保存版】中国EC人気サイトランキング5選

日本の日常でもECの利用が増えてきています。海外でも同様の傾向があり、インバウンド市場でも自社商品の購買チャネルとしてECの利用価値はますます高まっています。海外のECサイトを正しく利用することは、市場を広げ、売り上げを上げていくために重要になってくると考えられます。この記事では訪日旅行に関連した市場の中でもひときわ大きな存在感を持つ「中国」のECサイトについて解説します。目次越境ECとは?「旅アト」との関係は?そもそもECとは?越境ECとは?そのメリットは?越境ECと深い関係にある「旅ア...

中国ではモバイル決済が浸透・クレジットカードは銀聯カード

中国ではキャッシュレス決済が主流となっており、大きく2つの決済方法に分かれます。

ひとつは、中国の決済方法で最も広く使用されているクレジットカード・デビットカードの「銀聯(ぎんれん)カード」です。英語名称は「UnionPay」です。銀聯カードは、世界でも第2位のシェアです(1位はVisa)。

もうひとつは、近年中国で急伸しているモバイル決済です。スマートフォンと自身の銀行口座が紐づけされており、QRコードを携帯端末で読み取ることで、直接口座から引き落しされたり、チャージから決済する仕組みです。

中国モバイル決済サービスは、アリババの「Alipay」、テンセントの「WeChat Pay」の2つで9割以上のシェアを獲得しています。 中国でモバイル決済が浸透した背景として、現金を持ち歩く必要がない利便性が受け入れられたこと、ポイント・割引キャンペーンの実施や、店頭への導入が簡易だったことなどが挙げられます。

中国向けマーケティングとインバウンド対策

中国のキャッシュレス化が進むなか、訪日中国人観光客に対して、日本企業はどのように対策していくべきでしょうか。ここでは、中国に向けたプロモーションやモバイル決済を導入したインバウンド事例をご紹介します。

EC化・キャッシュレス化

中国EC市場は122.6兆円(2018年)で、世界市場でもダントツの1位を記録しています。2018年の越境EC市場では、「网易考拉(ワンイーカオラ)」、「天猫国際(Tmall Global)」、「海囤全球(JD Worldwide)」などが業界トップとして代表的です。

中国ではキャッシュレス化が進んでおり、銀聯カードモバイル決済が主流です。日本では、銀聯カードAlipayWeChat Payなどのモバイル決済に対応している店舗は増えてきています。ただし今後より訪日中国人観光客が増えていくことを考えると、今の今はまだそこまで訪日客が多くない地方でも将来的には対応が必要となるでしょう。

中国独自SNSでの情報発信

中国に向けてマーケティングをする際には、中国独自のインターネット事情を把握することが必要です。

中国では、日本で馴染み深いYouTubeやFacebookが利用できません。これは金盾(グレートファイヤーウォール)と呼ばれる中国政府の検閲システムによって統制されているためです。

代わりに中国では独自のサービスが発達しています。 たとえば、LINEの代わりとして微信(Wechat)、Twitterの代わりとして微博Weibo)などが挙げられます。

訪日中国人に向けた情報発信では、中国語対応だけでなく、こうした中国のインターネット事情を踏まえて対応していく必要があります。

事例:QRコードでお賽銭も!日光のモバイル決済対応

中国ではキャッシュレス化が進み、モバイル決済が主流であることを紹介しましたが、日本国内でも訪日中国人観光客向けにモバイル決済を導入する観光地が見受けられるようになってきました。

世界遺産日光東照宮の隣に位置する日光二荒山神社もそのひとつです。通常のお賽銭箱の隣に赤い看板のQRコードを設け、モバイル決済でお賽銭を収めることができます。AlipayWeChatPay、PayPayに対応しています(2019年7月現在)。

また、日光市の観光スポットでは案内板のデジタル化が進んでいます。案内板に設置されたQRコードを読み取ると、観光地の見どころを多言語で見ることができます。

その他日光山輪王寺や日光東照宮では、電子マネーや交通系ICカード対応の自動券売機を導入するなど、利便性を図っています。

EC化・キャッシュレス化を行って訪日中国人観光客の満足度向上へ

旅マエ旅アトも含めて訪日中国人の満足度を高めるためには、中国独自SNS対応・キャッシュレス化・EC展開が必要と言えるでしょう。

日光の事例のように、ターゲット層が多く利用しているサービスを導入するなどインバウンド対策を図り、訪日中国人観光客の利便性を高めることが、集客の拡大やリピーターの獲得につながります。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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