2016年新千歳空港での中国人トラブルとは | 欠航続き・成田空港でも・真相・日本の報道・コミュニケーションの重要性

公開日:2019年08月15日

近年、訪日外国人観光客の増加に伴い、全国各地の空港者が増える一方で、訪日外国人観光客によるトラブルも後を絶ちません。2016年12月、新千歳空港では、大雪による航空便の欠航により、中国人乗客が抗議し、警察が出動するまでの大騒動になりました。

中国人観光客によるトラブルということで大きな注目が集まったこの事件ですが、なぜ暴動にまで発展してしまったのでしょうか。その背景には、あまり表沙汰に報道されなかった事実がありました。今回は、新千歳空港などで起きた訪日中国人による暴動の真相に迫ります。

新千歳空港で中国人観光客が大暴れ

2016年12月、新千歳空港で訪日中国人が大暴れした光景が報道されました。この事件は、12月22日から24日にかけて大雪による航空便の欠航が相次いだ時期に発生しています。

この時期、欠航が相次いだことにより、3日間にわたって空港ビル内で滞在を余儀なくされた観光客もいました。空港内では、就寝できるスペースや食料が十分に確保できず、厳しい状況となっていました。待機していた乗客の中には中国人観光客もおり、不満がたまった結果、強い態度での抗議が行われ、暴動として報道されています。

成田空港での”国歌騒動”:2018年1月

中国人観光客の暴動は、新千歳空港のトラブルが初めてではありません。2018年1月24日には成田空港でも類似の事件が起こっています。

この時、格安航空(LCC)ジェットスター・ジャパンの成田発上海浦東行きのフライトは、悪天候により24時間遅延となりました。同便の乗客は、180人のうち175人が中国人であり、そのうちの一人の中国人旅行客が大暴れし、ジェットスター・ジャパンの女性スタッフ1人が転倒しケガを負ってしまいました。

警察官がこの中国人の身柄を拘束しようとしたところ、周囲の中国人が国歌を斉唱し抗議の意思を示すということが起こりました。

騒動の原因には、航空会社側の中国語対応が行き届いておらず誤解が生まれたとも言われています。その一方で、一部乗客の格安航空会社(LCC)のサービスについて十分に理解していなかったことも指摘されています。

新千歳空港で本当は何が起きていた?

2016年12月の新千歳空港で起きた中国人観光客による暴動ですが、日本のメディアでは「中国人が新千歳空港で暴れた」という騒動自体は報道されたものの、暴動の原因究明まではされていません。

同事件については北海道大学公共政策大学院専任講師・西本紫乃氏による「『新千歳空港で暴れた中国人乗客』騒動の真相」というレポートに詳しく分析されています。

西本氏によると、騒動の原因となったのは搭乗便である航空会社の対応、中国総領事館の対応、新千歳空港ターミナルの責任者らの乗客への乗客配慮に欠けたサービスがあるそうです。

発端は大雪による航空便の欠航

新千歳空港で起きた騒動は、中国国際航空CA170便の12月22日と23日、それぞれ13:50発予定であった2便が大雪による悪天候によって欠航となった際に起こりました。騒ぎを起こしたのは23日発に搭乗する予定の中国人です。

22日13:50発のフライトは同日夜に欠航を決定した後、チェックイン再開をアナウンスするも、23日朝になってもチェックインは実際には再開されませんでした。乗客は翌朝のチェックインに備えてターミナル内で一夜を過ごしていましたチェックインが始まらないとあり、引き続き空港内で待機することになりました。

23日午後には、同じく22日に欠航便となった上海行きや台北行きなど他航空会社のフライトが次々に出発しており、なかなか航空便を飛ばさない中国国際航空の対応にCA170便の乗客たちの不満が募りました。

航空会社の不十分な対応、研修生が抗議し連鎖反応起こす

さらに翌日となる24日の深夜2時から早朝4時にかけて、日本人の空港管理者と警察官複数名が、待機を続けるCA170便の乗客たちを制限区域内から退去させました。

再び朝6時からチェックインのため、長蛇の列に並ぶことを余儀なくされながらも、24日夕方頃にようやくチェックインと安全検査、出国手続きを済ませて搭乗口までたどり着きます。22日の欠航便は24日20時過ぎに出発したものの、23日の欠航便の乗客は搭乗口での待機が続きました。

同日21時ごろ、CA170便23日欠航便が再び欠航になる旨が伝えられると、乗客は搭乗エリアに残されたまま、同エリアが23時に閉鎖されるという中国語の説明がないまま航空会社の職員から退去を求められます。

ここに至って乗客の不満が噴出します。日本人スタッフが転倒するなどして、航空会社側が警察へ通報するまでに至ります。

報道によると、乗客の中には中国人研修生38人の女性グループがいました。そのうち3人が駆け付けた警官と激しく衝突し、その場から連れて行かれます。

その状況に対し、遂に昨夜から航空会社や日本側の対応に不満を募らせた中国人乗客らが騒動に加担し、大暴動へと発展しました。後に連行された中国人について、在日中国大使館は、公正な方法で問題を処理するように警察に要請したとされます。

合計3日間、空港で待機

中国国際航空CA170便23日13:50発のフライトは、24日21時ごろに欠航を決定した後、在日中国大使館による対応が始まりました。

一部の中国人客は航空会社が案内するホテルに滞在し、残り約100人はエリア付近にとどまりましたが、大使館や領事館の手配による食事が提供されました。空港に足止めされていた乗客は、当初23日の出発予定から2日遅れの26日早朝、他の便に搭乗して帰国しました。実に3日間にわたる待機となりました。

「中国人はマナーが悪い」という日本人の固定観念

中国人観光客が増加することでインバウンド市場が受ける恩恵は計り知れません。一方で、中国人観光客の路上喫煙や公衆の場での大声での会話が観光公害として指摘されています。

しかしこうした指摘がされる背景には、日本のメディアによる「中国人はマナーが悪い」という点にクローズアップした報道があると言えるでしょう。

こういったマナー違反と呼ばれる行為は、中国人の年配層によるものが多く、特に旅慣れない団体客が主だと考えられます。彼らはいわゆるネット世代ではないため、日本文化についてそれほど理解を深めていません。また中国のテレビやWebサイトで知ることのできる日本の情報には限りがあります。

日本を訪れる中国人観光客のうち、20代から30代の若者世代も多くなっています。彼らの情報収集源は、SNSなどの実際に日本へ行った人たちの口コミなどです。文化の違いを、ネットから吸収し、なるべく外国での文化の違いに適応するように心がける傾向にあります。

「日本のマナーを守らないから、中国人はマナーが悪い」と短絡的にとらえてしまう視点は、日本人の固定観念とも言えるでしょう。

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インバウンド市場が拡大する中、誤解のないコミュニケーションを実現するため、中国語はじめとする多言語対応インバウンド受け入れにおける重要なポイントです。

中国人観光客には、初めての旅行客だけでなく、日本好きのリピーターも増えています。中国人観光客の日本に対する理解も深まりつつあります。「中国人はこうだ」という固定観念を捨て、最新の市場動向にキャッチアップして、適切なコミュニケーションを図っていくことが大切です。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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