訪日中国人観光客はなぜマナーを守らないのか? マナー改善に中国政府も動き出す

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ここ数年、「爆買い」という言葉の登場とともに、話題になっているのが訪日中国人観光客のマナーの悪さ。周囲にお構いなしで大声で話す、路上でつばを吐く、花見では桜の枝を折る……と、連日のように報道されています。中国人は、訪日外国人観光客の中で最も多く、消費額も多い民族。インバウンドビジネスでは、良い意味でも悪い意味でも無視できない存在になっています。

このような問題は海外でも起きており、中国国内では旅行者のマナー改善を促す動きが現れています。今回は、訪日中国人観光客のマナーが悪いと言われる理由、今後の変化について解説していきましょう。

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最近まで中国人観光客は海外旅行ができなかった

中国人が、観光目的で海外旅行できるようになったのは比較的最近のことです。1983年に香港、マカオの親族を訪問できるようになり、1988年にタイ、1990年にはシンガポールとマレーシア、1992年にフィリピンにいる親族の訪問も解禁されました。

しかし、国外在住の親族が旅費を負担しなくてはならない、政府指定の旅行会社を利用しなくてはならないなどの制約がありました。一般国民は自分のお金で海外旅行することはできるようになったのは、法整備が完了した1997年から。

「解禁」後も続いた制限

それ以降も、政府による制限は続きます。2000年まで団体観光旅行の目的地にできる国は、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、日本、ベトナム、カンボジア、ミャンマー、ブルネイのみ。団体観光ビザを発行してもらえるのは、北京市、上海市、広東省の住民のみ。中国全土の国民が対象となったのは、2005年以降です。

また、日本への個人観光が解禁されたのは2009年7月。当初は「十分な経済力を有する者」という経済力の制限があり、富裕層だけが対象。この要件は徐々に緩和され、現在は中間層でも個人観光が楽しめるようになりました。

 

訪日中国人観光客のマナーが悪いのは海外旅行慣れしていないから

このような背景から、訪日中国人観光客の多くは、自国とは異なる文化を持つ海外には慣れていないということが分かります。たとえば、「路上でつばを吐くなどの日本ではマナー違反になる」と日中間のマナーの違いを紹介する記事が、中国のポータルサイトに掲載されたことがありました。中国のネットユーザーからは、この記事に対して驚きの声があがり、「知らなかった」「そうだったのか」などの反応があったと言われています。

訪日中国人観光客の多くはマナーが悪いというより、異国のマナーを知らないと言ったほうが実態に近いのではないでしょうか。自国にいるときと同じように振る舞っているだけなのです。

中国人のマナーの悪さの原因は、個人主義が強く、周囲との協調をそれほど重視しない国民性にあると指摘する声もあります。しかし、マナーを守らない訪日中国人観光客の中には、まったく悪意のない人もいるはずだというのは間違いないでしょう。

 

中国政府も旅行者のマナー改善に取り組み

訪日中国人観光客が日本のマナーを守らないことにより、さまざまなトラブルが起こっています。

たとえば、愛知県中部国際空港では、トイレの汚れを中国人観光客のせいだと決めつけ、対策を急ぐように依頼するクレームが急増しているとのこと。監視カメラを設置するわけにはいかないトイレでは、実際に誰が汚したのかは分かりません。にもかかわらず、このような苦情が出るのは、「中国人=マナーが悪い」という先入観が植え付けられてしまっているため。

また、北海道観光振興機構が発行した訪日中国人観光客向けのマナーガイドが、中国人に対して無礼であると改訂させられるという事案もありました。「列への割り込みは軽犯罪法違反でダメ」「会計前に商品の包みを開けない食べない」といった書き方が、上から指示をしている印象を与えると観光業界関係者から声があがり、「規範意識が強い日本人は長い行列でもおとなしく並ぶ」「日本製品は信頼できるので中身の確認は必要ない」のような表現に変更されました。訪日中国人観光客を受け入れ、マナー改善を促す日本側にも微妙な配慮が求められているようです。

中国でも現在のような状況は問題視されており、海外旅行時のマナー向上に向けて政府が動いています。マナー改善のためのキャンペーンが行われているほか、「観光客のマナー違反行為評価審査委員会」の設立、マナーの悪い中国人観光客のブラックリスト作成などが行われています。

まとめ:今後、訪日中国人観光客のマナーが良くなっていく可能性も

訪日中国人観光客はマナーが悪いことで有名。それは日本に限ったことではなく、他の国々でもそう思われています。中国政府が行っているマナー改善の取り組みが成功すれば、現在、起きているトラブルは徐々に減っていくことでしょう。

インバウンドビジネスにおいて、高い購買力を持つ中国人は極めて重要な存在です。今後、日本の事業者と訪日中国人観光客がより良い関係を結べるようになることを期待します。

<参照>

訪日中国人観光客インバウンドデータ集

データでわかる訪日中国人観光客

爆買いという流行も後押しし、2015年の中国人訪日外客数は前年の約2倍となる499万人となりました。また、2015年の訪日中国人によるインバウンド消費額は約23万円で前年比10%増程度ですが、訪日外客数増加の後押しをうけ、訪日中国人全体のインバウンド消費額はなんと5,583億円。

訪日中国人観光客の特徴

'爆買い'という流行語が現れるほどに存在感を放っている訪日中国人観光客。日本国内でも大きな注目が集まっており、彼らに関するニュースやコラムを目にする機会は少なくありません。

訪日中国人観光客が中国国内でよく見る人気のWEBサイト一覧・解説

中国はご存じのとおり、facebookやtwitterが閲覧できないほど非常に厳しいネット規制があります。中国国外のWEBサイトの検閲規制がかかっていたり、サーバードメインも現地法人がないと取得できなかったりと、様々な壁が存在します。

訪日中国人観光客が愛用するスマホSNSアプリ事情(1):WeChat(微信)

訪日中国人観光客の増加に伴い、インターネットを活用したインバウンドマーケティングへの関心が高まっています。しかし、中国のネット事情は日本とは大きく異なります。

訪日中国人観光客が愛用するスマホSNSアプリ事情(2):テンセントQQ

訪日中国人観光客が必携としているコミュニケーションツールをWeChat(微信)のほかにひとつだけ挙げるとしたら、それはテンセントQQ( 騰訊QQ、Tencent QQ; 以下、QQと略)だといえるでしょう。

訪日中国人観光客が愛用するスマホSNSアプリ事情(3):Weibo(微博)

訪日中国人観光客が常用するアプリとしてWeChat(微信)とQQを取り上げましたが、Weibo(微博)も忘れてはなりません。「微博」は中国語で“ウェイボー"と読み、ミニブログ、マイクロブログという意味です。

訪日中国人観光客が愛用するスマホSNSアプリ事情(4):人人網(レンレンワン)

訪日中国人観光客が常用するサービスとして、WeChat(微信)、QQ、Weibo(微博)をご紹介してきました。いずれもTwitter(ツイッター)、Facebook(フェイスブック)の良い所どりをしながら機能の充実を図ってきており、若干の不確定要素をはらみながらも、中国の3大SNSとして大きな存在感を誇示しています

訪日中国人観光客が愛用するスマホSNSアプリ事情(番外編1):ネット規制のアプリへの影響&ニュースアプリ篇

昨年(2015年)以来、中国経済を語るうえで重要なキーワードとなっているものに「互聯網(フーリエンワン)+」(インターネットプラス)があります。これは中国国務院(日本の内閣に相当)総理の李克強氏が唱えたコンセプトです。

訪日中国人観光客が愛用するスマホSNSアプリ事情(番外編2):ネットラジオ篇

「読みたい記事」が自在にカスタマイズできる「今日頭条(ジンジートウティアオ)」がニュースアプリの定番となる一方、「聞きたい番組」を自由自在に取捨選択できるネットラジオアプリも人気を集めています。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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