インバウンドで壊される観光地の景観・生活…どう解消する?オーバーツーリズム対策例3選

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2018年には訪日外国人観光客数が3,000万人を超え、2020年までに4,000万人を目指しさらなるインバウンド客の増加が見込まれる中、日本各地でオーバーツーリズムによる観光公害が問題となっています。

今回は、京都・北海道の美瑛・大阪における3つの例を取り上げ、日本のオーバーツーリズムの実態について見ていきましょう。



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会場での開催に加え、一部講演ではオンライン配信(参加費無料)も実施!さらに、チケットを購入した方限定でアーカイブ配信も予定しています。

ご来場が難しい方や当日ご都合が合わない方も、この機会にぜひご参加ください。

京都の多言語表示の「看板公害」が景観破壊!?

日本の有名観光地の1つである京都では、増え続けるインバウンド客に対するマナー喚起で、ありとあらゆる看板が溢れているのが現状です。

観光名所や神社仏閣においても、順路やトイレの場所を指示する看板から、撮影禁止・慶大禁煙などの注意喚起の看板といった、"看板の氾濫"が景観破壊を引き起こしていると問題になっています。インバウンド対策として用いられる看板の設置ですが、景観保護の観点では課題が残ります。

現在日本各地で進められている多言語対応から、看板も多言語化することでますます看板の数が増え、看板公害が誘発されるといった懸念が高まるでしょう。

総務省では、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催を見越し、スマートフォン翻訳アプリ「VoiceTra」を運用中です。日本語・英語中国語・韓国語ベトナム語など31言語に翻訳ができるアプリになります。翻訳アプリなどの最新テクノロジーの活用は、看板での多言語表示に頼りすぎない多言語対応に有効と言えるでしょう。

北海道美瑛:インバウンド向けの環境破壊対策へ

北海道の人気観光地・美瑛には、美しい農業景観を求めて訪れるインバウンド客の急増により、観光公害が深刻となっています。

2018年は台湾・韓国・中国からの観光客数が前年比20%増と好調だった一方で、写真撮影時のマナー喚起が急務です。インスタ映え写真の撮影に夢中になるあまり、農地へ無断で侵入し畑が踏み荒らされる被害や、狭い農道における観光バスの路上駐車でトラクターが農地に入れないケースなどが深刻な問題となりました。

そこで美瑛の農家は、正しい情報発信から理解を得てマナー改善に繋げるべく、看板作成プロジェクトを実施しています。看板は農業景観に溶け込むようなデザインを基調とし、農地が全て私有地であることがわかるような農地の所有者の氏名の明記や、観光客に向けた感謝のメッセージ等も添えています。

さらにQRコードより、農家からの動画メッセージや本プロジェクトのPRサイト、農家運営のSNSや農産物のECサイト、農業体験プログラムの予約等にアクセスできる仕掛けも用意し、農家と訪日外国人観光客のより良い関係づくりも目指しました。

大阪の「下町」でインバウンド客急増!生活空間に観光客

▲大阪の下町(イメージ)
インバウンドの王道観光に人気の「ゴールデンルート」上に位置する大阪では、下町と言われる大阪市北区の中崎地区において、古き良きレトロな雰囲気が漂う路地裏や、昔ながらの長屋や民家が立ち並び、穴場感溢れる空間がインバウンドの間で話題です。

こうした民家の集まる地域で、訪日外国人観光客の急増からトラブルが発生しています。民家の前の狭い道を占領し、写真撮影をするインバウンド客に地元住民が注意をしたところ、言葉が通じず無視をされてしまうケースや、民家や店舗内の無断撮影などがあります。

ゴミが散乱し回収が追いつかないためにゴミ箱の撤去に踏み切るといった事例も生じており、訪日外国人観光客マナー違反が顕著です。今後は行政が地域と連携し、地元住民のストレス緩和ならびに地域が一丸となって取り組むインバウンドの受け入れ態勢強化が求められるでしょう。

まとめ:適切なマナー喚起から住民の生活の質を保つことが重要

国連世界観光機関のポロリカシュヴィリ事務局長は「世界の観光客は、ここ5年の間に毎年3%から4%の割合で伸びている」と語り、LCCの台頭や途上国の経済発展が世界の「旅行ブーム」に拍車をかけていると指摘しています。

世界中の有名観光地で問題となっているオーバーツーリズムによる観光公害ですが、「持続可能な観光の発展」が現代の国際社会にとって急務であると言えるでしょう。

日本では、QRコードや翻訳アプリといったテクノロジーを駆使した手段等も効果的に用いながら、行政と地域が連携インバウンドの受け入れ態勢を整えていくことが期待されます。

<参考>

・訪日ラボ:京都の「景観ブチ壊し」の犯人は?訪日外国人向け多言語表示による「看板公害」の実情

・訪日ラボ:大迷惑の「インスタ映え」優先行為、発端はインフルエンサーか?名物のきを切り倒す自衛策まで...クラウドファンディングで対策講じる農家【北海道美瑛】

・産経新聞:大阪の下町が悲鳴 インバウンド急増が生む観光公害

・NHK NEWS WEB:忍び寄るオーバーツーリズム 日本も危機に?

【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」

インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。

本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。

<本セミナーのポイント>

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  • 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける

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宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】

【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」

2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。

<こんな方におすすめ>

  • インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
  • 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
  • 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
  • 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
  • インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
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【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

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