決済サービス「Worldpay」とは?買収の顛末・5つのサービス・事例2件を紹介

今やオンライン決済は、日常のショッピングや公共料金などの支払いになくてはならないものになっています。

インターネットショッピングサイトや航空会社、通信サービス会社など、オンライン決済を行うさまざまな加盟店がWorldpay(ワールドペイ)のオンライン決済システムを利用しています。また、実店舗でもワールドペイのシステムを導入できます。

クレジットカードなどの明細で、請求元に実際の店舗名ではなく「WORLDPAY」と表示されているのを目にしたことがある方もいるかかもしれません。これは、ワールドペイの加盟店を利用したことを意味しています。

この記事では、どのような企業がワールドペイに加盟しているのか、ワールドペイのサービス内容などをご紹介します。

Worldpay(ワールドペイ)とは?

オンライン決済システムのWorldpay(ワールドペイ)を提供するワールドペイは、世界の140カ国以上にネットワークを持つグローバルなオンライン決済会社です。実店舗やオンライン、スマートフォンでクレジットカードやデビットカード決済が可能なプラットフォームを提供しています。

アメリカ合衆国・シンシナティに本拠があり、ヨーロッパやアジア地域も含めた25の拠点でレポートおよび分析、ATM、財務などとその他の付加価値サービス事業を展開しています。日本法人の日本法人のWorldpay株式会社は、ワールドペイの日本支部です。

イギリスで創業、2018年にRBSが事業買収、株式売却、再び買収合併へ

ワールドペイは、起業家のニック・オグデン(Nick Ogden)がイギリスで興した会社です。元々はオンライン小売業としてスタートしましたが、1993年に電子マネー決済、1994年にオンライン決済を開始し、1997年にはWorldpay Ltd.として設立されました。

2002年にはロイヤルバンク・オブ・スコットランド(RBS)がWorldpayの事業を買収し、RBS Worldpayブランドとして店頭決済を事業とする電子決済部門のStreamlineと経営統合しています。

RBSはその後もヨーロッパやアメリカの決済サービス会社を買収して、RBS Worldpayはグローバルサービスとして拡大していきました。

世界展開をしていたRBS Worldpayですが、2010年に世界金融危機を受けてアメリカの投資会社のAdvent InternationalとベインキャピタルにRBS Worldpayの株式の8割を売却しました。

売却後の社名は、再びワールドペイ(Worldpay Group plc)となりました。2018年にはアメリカの決済サービス企業Vantiv Inc.がワールドペイを買収・合併し、アメリカ・シンシナティに本社を置く新会社のワールドペイ(Worldpay Inc.)が発足しました。

Worldpayのサービス内容

Worldpayはオンライン決済サービスなど、さまざまな事業を展開しています。では、Worldpayは具体的にどのようなサービスを提供しているのか見ていきましょう。

アクワイアリング、マルチ決済ゲートウェイ、マルチカレンシー、APM (Alternative Payment Method:代替決済手段)、不正利用防止の5つをご紹介します。

1. アクワイアリング

アクワイアリングとは加盟店契約業務のことで、クレジットカードの加盟店の募集と管理を行います。2014年、当時日本でこのライセンスを持っているのはほとんどが銀行でしたが、Worldpayは日本で初めて銀行以外でのアクワイヤラ(加盟店契約会社)となりました。

消費者がクレジットカード加盟店で決済をすると、クレジットカード発行会社が消費者の口座から代金を引き落とし、アクワイヤラに支払いが行われ、アクワイヤラからクレジットカード加盟店に入金されるという一連の流れを管理しています。

2. マルチ決済ゲートウェイ

マルチ決済ゲートウェイとは、さまざまな決済業者やポイントプログラムとつながり、加盟店の窓口となるサービスプロバイダとしての機能です。

通常、加盟店は決済事業者と契約を結び、決済事業者はアクワイヤラと契約をしますが、Worldpayはアクワイヤラとゲートウェイの両方の機能を持っていることが最大の特徴です。加盟店はWorldpayと契約することで、決済会社とアクワイヤラという2つの契約を1つにまとめられます。

また、アクワイアリングライセンスを持たない決済事業者は、アクワイヤラに決済をまかせているため支払い拒否や未決済処理などの決済データがありません。アクワイヤラライセンスも持つWorldpayは、決済データを利用して加盟店に最適なシステムを提供できるというメリットがあります。

3. マルチカレンシー

マルチカレンシーとは、決済時に当日の為替レートで外貨を表示する機能で、グローバルに事業展開する企業にはとても重要な機能です。

たとえば外国のオンラインショップにおいて日本円で商品を販売すると、請求がいくらになるのかがわからず途中で決済をやめてしまう可能性が高くなります。為替手数料とクレジット会社の換算レートなどを同時に計算して、現地の通貨で提供できる機能はコンバージョンを確実にするためにも必要な機能となっています。

4. APM(代替決済手段)

APM(Alternative Payment Method:代替決算手段)とは、クレジットカード以外のキャッシュレス決済のことです。

プリペイドカード、モバイル決済、電子マネー、仮想通貨など、現金に代わる決済手段がこれにあたります。

日本ではクレジットカードの普及率は高いですが、東南アジア、中東、南米など、クレジットカード以外の決済率が高い国も多くあります。国を問わず消費需要を取り込んでいくには、クレジットカード以外の決済にも対応していく必要があります。

5. 不正利用防止

クレジットカードのスキミングやなりすましなどの不正利用は、海外では深刻な問題となっています。日本企業がグローバル展開を考える際には、この問題への対策が大きな課題です。

Worldpayでは、各クレジットカード会社をはじめIATA(国際航空運送協会)など45のデータベースとつながっており、カード情報を入力した時点でスクリーニングが行われ、不正利用をすぐにキャッチできます。

Worldpayの導入事例2件

Worldpayは日本のさまざまな企業で導入されています。

ここでは、ANAホールディングスを親会社とするLLCのバニラエアと、格安航空券検索の「スカイチケット」を運営するアドベンチャーの導入事例をご紹介します。

1. バニラエア

バニラエアは、国際線ネットワークを拡大していくなかで多くの問題を抱えていました。Worldpayのシステムを導入することにより、これらの問題が一気に解決しました。

  1. プラットフォームの連携でバリューアライアンス加盟航空会社を利用した乗り継ぎの予約や支払いが可能に
  2. マルチカレンシーの導入で海外の顧客にも対応
  3. 多彩な決済が可能になり、新規顧客の獲得に成功
  4. Worldpayの不正検知システムにより、オンライン決済のセキュリティ強化
  5. 決済データをマーケティングやプロモーションに利用することが可能に

2. アドベンチャー社運営「スカイチケット」

サイトの多言語化に対応した格安航空券検索・予約サイトの「スカイチケット」では、Worldpayの導入により、日本円の他に23もの通貨での決済が可能になりました。

この23の通貨での支払いは、クレジットカードだけでなく、モバイル決済にも対応しています。この導入で特に大きな変化が表れると見られているのが中国市場です。

中国ではオンライン決済の半数以上、そしてモバイル決済の8割以上がアリババの子会社が運営するAlipayを利用していると言われています。WorldpayはAlipayにも対応しているため、中国での事業拡大に大きな役割を果たすと期待されています。

今後も進むキャッシュレス化にWorldpayが活躍

日本でも「~ペイ」と名付けられた決済システムが次々と誕生しています。世界的にも、キャッシュレス化の流れは止まらないでしょう。さまざまな決済方法に対応することは、今後事業をグローバル展開していくためには必要不可欠です。

現金を用いずに支払いを行う決済システムの導入にあたっては、不正使用防止やセキュリティといった安全の確保が何よりも大切です。加えて、今後国際化の進む社会では、マルチカレンシーや多彩な決済方法のあるシステムを選ぶのが理想です。Worldpayはこうした条件を満たす決済システムと言えるでしょう。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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