インバウンド対応を行っていく中でとても大切なことの一つが、きちんとデータを集めることです。
中でもどの地域からの観光客なのかという数を把握しておくことがポイントとなります。
今回は、様々な統計の数字とランキングを紹介します。
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観光客数に関係した様々なランキング
都心部では、定番観光スポットに行くと、外国人の姿を見ることが多くなりました。日本を訪れる観光客が増えてきていることは感覚だけでなく事実です。観光庁も2020年には訪日観光客4,000万人を目指す、という目標を掲げています。
訪日外国人はどの国から来る人が多いのか、また日本のどこを訪れ、何にお金を使ってくれているのかについてそれぞれ見ていきましょう。
1. 訪日外客数の地域別ランキング
訪日外客数が約3,119万人となった2018年、訪日観光客数の地域別ランキングは以下の通りです。順位 | 国 | 人数 |
1位 |
アジア |
26,757,917人 |
2位 | 北アメリカ | 1,939,719人 |
3位 | ヨーロッパ | 1,720,064人 |
4位 | オセアニア | 630,527人 |
5位 | 南アメリカ | 104,804人 |
6位 | アフリカ | 38,151人 |
7位 | その他 | 674人 |
中国を中心としたアジアが1番多いことがわかります。
2. 国別の消費額ランキング(中国・アメリカ)
2017年の費目別1人当たりの旅行消費額について、アジア地域を代表して中国、北アメリカを代表してアメリカのデータを見ていきます。- 中国
費目 | 費用 | 比率 |
買い物代 | ¥112,104 |
49.85% |
宿泊料金 |
¥47,854 |
21.28% |
飲食費 |
¥39,984 |
17.78% |
交通費 | ¥16,834 |
7.48% |
娯楽サービス費 |
¥7,998 |
3.56% |
- アメリカ
費目 | 費用 | 比率 |
宿泊料金 |
¥82,286 |
42.96% |
飲食費 |
¥50,630 |
26.43% |
交通費 | ¥ 27,318 |
14.26% |
買い物代 | ¥23,406 |
12.22% |
娯楽サービス費 | ¥7,865 |
4.1% |
2つのデータからは、国によって消費額の費目別の割合が大きく異なることがわかります。中国は消費額の半分以上を買い物代にあてていることがわかります。
一方アメリカでは、平均約76,000円を宿泊費にあてており、これは一人当たりの旅行消費額全体の約42%に相当します。反対に、買い物代は約28,000円で、全体のたった12%です。
インバウンド市場でターゲットとする国、地域ではどのような項目に予算を割いているのかについての理解が、インバウンド集客のための施策を立てる際には役に立つでしょう。
3. 訪日旅行の際に訪れる都市ランキング
次に訪日外国人が、訪日旅行の際に訪れる都市を紹介します。
出典:観光庁 訪日外国人消費動向調査「2018年年間値の推計」※確報値
順位 | 都道府県 | 比率 |
1位 | 東京都 | 45.6182% |
2位 | 大阪府 |
36.6257% |
3位 | 千葉県 |
35.6482% |
4位 | 京都府 |
25.7666% |
5位 | 福岡県 |
10.3762% |
6位 | 奈良県 | 8.9475% |
7位 | 北海道 | 7.861% |
8位 | 愛知県 |
7.8444% |
9位 | 神奈川県 |
7.5163% |
10位 |
沖縄県 |
6.7658% |
東京、大阪、京都といった一大観光地が上位にランクインしています。
千葉県は成田空港があるため、数字が大きくなっていると考えられます。4位の京都府は25.9%の訪日外国人が訪れていますが、5位の福岡では9.8%とかなり小さくなります。
以下のページで詳しく解説しています。
訪日中国人観光客に人気の都道府県ランキング
訪日中国人観光客は、日本のインバウンド市場で人数、消費額ともに最も大きな比率を占めています。訪日中国人観光客に人気の目的地は主に東京や大阪といった大都市ですが、近年リピーターの増加や、地方空港と中国核都市を結ぶ直行便の増加、体験の希少性を求める旅行者のトレンドを背景に、日本全国の各都市に対する関心も高まっています。2019年の訪日外国人数は全国籍3,188万人で、そのうち訪日中国人数は959万4,300万人を記録しました。訪日外国人市場全体で、950万人を超えたのは初めてのことです。また中...
ランキングの読み解き方、わかること3点
LCC飛行機の普及によって日本への訪日旅客数が増えたことは、ニュースでもよく取り上げられています。LCC路線でもアジアの目的地をつなぐものが多く、その影響もありアジアからの観光客は目立って多くなっています。注目すべきは、先に紹介したように国籍によってお金の使い方が違うという点です。国民性や経済成長といった要素が、観光で重要視するポイントに影響を与えています。
中国での買い物消費の大きさの理由、また日本の観光スポットの人気の理由について説明します。
1. 国籍によってお金を落とすところが違う
今回はアメリカと中国のデータのみの比較ですが、それぞれお金を掛けるところが違います。中国の爆買い熱は、流行語となった2015年に比べるとややクールダウンのきらいがありますが、依然として日本商品の人気は絶えず、買い物にお金を使う中国人は多いようです。
日本で販売されている製品に対する需要は変わらずあり、自国で販売し利益を狙ういわゆる転売屋たちの購入も訪日中国人の買い物代を押し上げていると考えられます。
アメリカの場合は旅行消費支出のうち宿泊費が高くなっています。滞在中の宿泊先での時間を大切にしているという仮説が立てられるでしょう。
人気「龍角散」神薬が中国上陸、インバウンドへの影響は!?
株式会社龍角散は8月14日、中国海南省ボアオで開催された健康産業フォーラム「西普会」にて、中国OTC医薬品トップメーカーの華潤三九とパートナーシップを締結すると発表しました。 今後中国本土で新たな販売ルートを構築していく龍角散の戦略や、
ソーシャルバイヤーとは|代理購入・市場規模・中国市場へのアプローチとして必要な4つの理由を解説
ソーシャルバイヤーとは、一般消費者が必要としている海外商品を代理で購入し、購入手数料を上乗せして販売することで利益を上げる「代理購入者」を指します。ソーシャルバイヤーの代表例として、中国人の転売でしょう。中国市場において、様々な日本ブランドの製品は多くのニーズがあります。そのため、このソーシャルバイヤーの存在が中国市場と日本製品の橋渡しになると期待されています。この記事では、ソーシャルバイヤーについて、またソーシャルバイヤーがインバウンド市場で注目される理由・日本製品の販売に貢献する理由を...
2. 定番の観光スポットが人気、空港も影響
日本の観光スポットとして定番である東京・大阪・京都・千葉辺りは、どの国籍の訪日外国人観光客からも人気があり訪れる人が多いようです。千葉や大阪にはテーマパークがあり、東京・大阪・千葉には国際空港があることも訪問率の高さを説明してくれそうです。関西国際空港のある大阪では、特に買い物をする中国人客が多くなっています。
京都は歴史的建造物が多く、日本の文化を感じられる場所として世界中の旅行者にも知名度の高い場所です。現在の京都は、驚くほど訪日外国人が多くなっています。
2019年訪日外国人客の動向予測|コト消費・課題・とるべき対策3つ・2020年の見通し
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3. アジアからの旅行客が急増中
西欧諸国などと比べ比較的日本と近いアジアはLCC飛行機が普及しており、安い料金で飛行機を利用できるためアジアからの便が多く、訪日旅客数でも1位となっています。今までのトレンドであった中国人や台湾人、韓国人などに加え、ベトナムなどの東南アジアからの観光客が増えていることも数字が増える後押しをしているようです。
とりわけ、ベトナムからの訪日外客数の伸び率が前年比26%増となりました。全体数で言えば中国や韓国といった東アジアより少ないものの、ASEAN諸国からの訪日観光客の動向は重要性を増していくと考えられます。
訪日外国人の増加にいかに対応すべきか?
観光庁は、2020年には4000万人の訪日外国人観光客の来日を目指し、訪日外国人旅行者が観光を満喫できるような環境整備に力を入れ始めました。
来年の東京オリンピックの開催もあり、今後も更なる訪日外国人観光客の増加の可能性を考慮し、できることからしていなければなりません。そのために必要な3つの対応とはどんなことでしょう。
1. 多言語対応
来年開催される東京オリンピックの影響も加わり、訪日外国人は今後も増え続けるでしょう。
それに伴って強化していかなければならないのが多言語対応です。観光で訪日した外国人で、日本語が流暢に話せる人は珍しく、全くわからない人の方が多いというのが現状です。
モノ消費が収まりつつあるこれからは、サービスやアクティビティなどのコトに注目が集まる時代です。そのため、英語や中国語を使ったコミュニケーションやサービスが大切になり、多言語を話せるスタッフの常駐といった、以前よりも高度な多言語化が必要になるでしょう。
多言語対応とは?インバウンド対策で求められる言語・対応方法・おすすめツールを紹介
多言語対応はインバウンド対策として重要視されています。しかし、語学は短期間で習得できるものではなく、多言語を操れるスタッフを雇うにも、時間と労力がかかってしまいます。 日本にはさまざまな国から訪日外国人がやってきますが、多言語対応でメインとなる言語は英語と中国語です。この2か国語に対応できれば、かなり多くの訪日外国人観光客とコミュニケーションがとれるようになるといえます。 「多言語対応」でどの言語に対応すべきか、また多言語対応を行う手段、おすすめの翻訳サイト・ツールついて紹介します。 ...
2. 海外からの予約対応
日本は海に囲まれていて、どの国から来るにもある程度時間がかかります。「移動時間をかけて日本に行くのだから、短い時間で多くの経験をしたい」と考える訪日外国人は少なくありません。そういったニーズがあるため、日本に来る前に事前に宿泊先や利用するサービスを予約できればアクセスが集中するでしょう。しかし現状は、ホームページや予約画面を多言語化できていない宿泊施設も少なくないです。
東京オリンピックの開催も間近で、海外からの予約にさらに対応していく必要性があります。
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目次インバウンドの快適な予約体験を実現インバウンドの70%の目的は「食」インバウンドの快適な予約体験を実現株式会社TableCheckが提供する、多言語対応の飲食店・レストラン向け予約顧客管理システム「TableSolution(テーブルソリューション)」が、キッコーマン株式会社が手掛ける新店舗「KIKKOMAN LIVE KITCHEN TOKYO(キッコーマン ライブキッチン東京)」に導入されました。「KIKKOMAN LIVE KITCHEN TOKYO」は、「食文化の国際交流」を体...
3. 越境EC対応
インバウンド担当者が今後注目していくべきは、特に中国での越境EC展開でしょう。越境ECはネット通販のうち、海外製品を扱うものを指し、日本製品はじめとする海外製品への関心が高い中国では成長市場となっています。
特定の国の商品に特化したサービスを強みにするサイトもあり、その国のファンとして製品を購入するといった消費者行動が考えられます。
また最近の中国EC市場では、「共同購入」に特化したECである拼多多(Pinduoduo/ピンドゥオドゥオ)の普及拡大や、短時間の動画とEC機能を組み合わせた「ショートムービーコマース」といったジャンルの確立など、新たな動きも見られていまます。
下記の記事で詳しく解説しています。
【2019年最新/保存版】中国EC人気サイトランキング5選
日本の日常でもECの利用が増えてきています。海外でも同様の傾向があり、インバウンド市場でも自社商品の購買チャネルとしてECの利用価値はますます高まっています。海外のECサイトを正しく利用することは、市場を広げ、売り上げを上げていくために重要になってくると考えられます。この記事では訪日旅行に関連した市場の中でもひときわ大きな存在感を持つ「中国」のECサイトについて解説します。目次越境ECとは?「旅アト」との関係は?そもそもECとは?越境ECとは?そのメリットは?越境ECと深い関係にある「旅ア...
増加する観光客数に対応できる様に対策を
訪日外国人による消費は、今や日本経済にとって欠かすことのできない一大市場です。国籍によって日本での滞在目的が違うものの、人気の観光地にたくさんの観光客が訪れています。アジアからの訪日外国人は特に多く、近年ではベトナムから来日する観光客も増えてきています。このような観光客の増加に伴い、観光客に快適に過ごしてもらえるような対策として、特に多言語対応、海外からの予約対応、越境EC対応がポイントになってくるでしょう。
これからも増え続けると考えられる観光客について、その行動傾向などをデータから分析し、適切な対策を講じていくべきでしょう。
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短時間でインバウンドが学べる「訪日ラボ トレンドLIVE!」シリーズの第6弾を今月も開催します!訪日ラボとして取材や情報収集を行う中で、「これだけは把握しておきたい」という情報をまとめてお伝えするセミナーとなっています。
今年も残りわずかとなりましたが、インバウンド需要はまだまだ好調をキープしている状況です。来年の春節や桜シーズンなど、訪日客が集まる時期に向けて対策を練っていきたいという方も多いでしょう。
今回もインバウンド業界最大級メディア「訪日ラボ」副編集長が、10〜11月のインバウンドトレンド情報についてお話ししていきますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
詳しくはこちらをご覧ください。
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【インバウンド情報まとめ 2024年11月前編】UberEats ロボット配達開始、万博需要見すえ大阪で ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。
この記事では、主に11月前半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
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