明日2019年10月1日より、消費税が8%から10%に増税されます。消費税増税は、免税店の利用拡大が顕著なインバウンド市場においても、ホットなトピックです。
消費税増税によるインバウンドへの影響についてしっかり把握し、訪日外国人観光客の受け入れ態勢を整備していくことが求められます。
今回は、消費税増税や免税制度の概要を改めて確認し、インバウンドにおける免税の利便性向上に向けた取り組みについて解説します。
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消費税増税の影響は?インバウンドの免税制度紹介
海外旅行者の免税範囲について、携帯品あるいは別送品のうち個人的に使用すると認められるものに限り、対象品目によって詳細に免税範囲が規定されています。具体的には、酒類1本760mlのものが3本まで、たばこは紙巻きたばこのみの場合400本まで、香水は2オンスまで、その他のものは20万円までが免税対象です。
また空港や街中の免税店は、多くの訪日外国人観光客が利用しています。出国予定があり、通常出発便の1ヶ月前から前日までの購入が条件となっており、購入した物は日本からの出国時に空港の引き渡しカウンターで受け取るといった仕組みです。
三井住友銀行の「訪日外国人旅行者(インバウンド)の動向」によると、2018年のインバウンドの買い物場所として、空港の免税店はコンビニとドラッグストアに続き第3位となり、約6割の旅行者が利用していることが明らかになりました。
モノ消費からコト消費まで、旅行消費額の引き上げが急務な訪日中国人観光客
平成30年は訪日外国人観光客の旅行消費額が過去最高を更新しましたが、来年までに旅行消費額8兆円の政府目標達成には、まだまだ課題が多い現状です。
目標額達成に向けては、爆買いがブームとなった訪日中国人観光客の1人当たりの旅行消費額を、3年前の17万円超から20万円まで引き上げるといった対策が必要になります。
現在も平均11万円程度を買い物に使う訪日中国人観光客ですが、コト消費が前年より伸びているため、今後もコト消費と地方誘客の促進が鍵となるでしょう。
そこで政府は消費税増税に伴い、訪日中国人観光客をはじめインバウンドの消費拡大と地方誘客に向けた取り組みを予定しています。事業者の地域の祭りやイベントへの出展における免税店手続きを簡略化するといった、消費税免税制度を拡充する予定です。3大都市圏を除く約1万7千店の地方の免税店を、年内に2万店規模に増やすことを目指しています。
インバウンドにおける免税の利便性向上に向けた取り組み
10月からの消費税増税を控えた今、インバウンドが利用する免税の人気商品を把握し、利便性向上に向けた効果的な取り組みが求められます。日本の消費税について理解を深めてもらうための新たな取り組みについて、合わせて見ていきましょう。
免税店で今話題の人気商品とは?
日本の玄関口である成田空港・羽田空港・関西国際空港・沖縄那覇空港の免税店において、2018年4月から7月期にかけての売り上げは、前年比160%となるなど、インバウンドにおける免税店の利用拡大は顕著です。これまで需要が高かった炊飯器など家電に比べ、現在は化粧品やたばこ、ジャパニーズ・ウイスキーの人気が高まっています。
化粧品は安心安全な日本製品に魅力を感じ、実際にその品質に満足し繰り返し購入するリピーターもいるとのことです。さらに海外の品評会で数々の賞を獲得しているジャパニーズウイスキーも高い人気を誇っており、特にサントリーとニッカのウイスキーが話題となっています。高価なウイスキーは、中国のビジネスマンの間で贈答品として人気があります。
たばこにおいては、近年の世界的な電子たばこブームを受け、日本の免税店でも紙巻きたばこよりも電子たばこのほうが圧倒的に人気です。空港のANA DUTY FREE SHOPでの電子たばこの購入者は中国人と日本人が8割を占めています。
訪日中国人観光客は本体に加えリフィルを買うケースや、リフィルのみを購入するケースなども見受けられ、すでに本体を購入しており訪日するたびにリフィルを購入するといった継続的な利用が顕著です。
インバウンド向けの「増税ガイドブック」を無料で公開
ウェブサイト・アプリ多言語化サービス「WOVN.io」を提供するWovn Technologies株式会社は、10月からの消費税増税に伴い、訪日外国人観光客や日本在住の外国人に向けて、増税や軽減税率のポイントをまとめたガイドブックを作成しました。
現在は日本語に加え、英語と中国語(簡体字・繁体字)の4言語でガイドブックを無料公開しています。インバウンドが利用する店舗にて、多言語での増税に関する情報発信や利便性向上に活用されることが期待できるでしょう。
ガイドブックには、日本における消費税や免税の定義、増税の目的、軽減税率の説明に加え、実際の買い物で役に立つ金額の表示方法や飲食店やスーパーマーケット、デリバリー、果物狩りの際のシミュレーションまで紹介されています。
飲食店のケーススタディでは、店内で食べる場合は10%、持ち帰る場合は8%が適用されることや、それぞれのシチュエーションで使える日本語フレーズも記載されており、より実践的なガイドブックと言えます。
消費税増税、インバウンド向けの対策も重要に
10月からの消費税増税を受け、インバウンドにおいてもさまざまな国からの観光客に影響が出ることが予想されます。
日本に定住しないインバウンドは免税商品の購入ができますが、増税ガイドブックでは、現在増えつつあるベトナム人やタイ人、ロシア人といった市場向けの言語は用意されていません。こうした市場の訪日観光客の場合、免税手続きを詳細に理解していないため、消費税ごと支払いをしている可能性もあります。
こうした訪日観光客が、増税を商品の値上げと感じて物品の購入を控えるということも十分あり得るでしょう。「増税ガイドブック」のように、日本における消費税や増税についてインバウンドにも正しく理解してもらうための取り組みも、受け入れ態勢整備や利便性向上に向けてより重要になってくるのではないでしょうか。
<参照>
・税関:海外旅行者の免税範囲
・三井住友銀行:訪日外国人旅行者(インバウンド)の動向
・産経新聞:訪日客消費4兆5千億円 過去最高も目標は遠く
・Wovn Tequnologies:外国人のための「増税ガイドブック」英語・中国語版を本日より無料公開。
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