中国のキャラクターパクリ問題とどう戦う?大人気「ドラえもん」が裁判で著作権侵害認定

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漫画は1969年から連載、アニメは1973年から放映されている日本の国民的アニメ「ドラえもん」は世界中でアニメが放映されるなど、国内外に多くのファンを抱えています。

特にアジア圏での人気が高く、中国、台湾、香港、マカオ、韓国などの国々には小さい頃からドラえもんを観て育ってきた若者が大勢います。そして中国ではこうした人気を受け、「パクリ作品」も生み出され、近年では裁判で争われるといった事態にまで発展しています。

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ドラえもんは中国でも大人気

中国では漫画やアニメなどの出版物も政権による管理を受けていますが、1980年代にはこうした規制をかいくぐり「ドラえもん」のコピー漫画が数多く出版されたといいます。

1990年代になると中国の出版社が正式に小学館と契約を結び、「ドラえもん」の漫画が出版されています。また、1989年には廣東電視台(広東テレビ)で、1991年には中国中央電視台(CCTV)にてアニメが放映され、その後も多くのテレビ局で次々と放映が始まりました。

現在では映画も上映されています。作品そのものへの評価も高く、「STAND BY ME ドラえもん」や「ドラえもん のび太の宝島」などの作品は中国でも大人気となっています。

中国で様々な愛称をつけられた「ドラえもん」

1980年代、まだ正式にライセンスされた漫画が流通していなかった頃、中国国内ではドラえもんに「小叮噹(シャオディンダン、ディンダンは銅鑼の音を表す)」「機器貓(ジーチーマオ、猫型ロボットの意)」といった愛称がつけられていました。

1990年代に正式版の漫画が流通しはじめると、日本と中国でドラえもんの読み方を統一することとなり、中国語でも「哆啦A夢(ドラエモン)」という字が当てられました。

現在では中国だけでなく香港、マカオ、台湾でも同じ読み方がされており、「ドラえもん」という音はアジア共通のものとなっています。

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上海ではドラえもん展も開催、若者から人気

2019年3月15日には、上海で「愛のひみつ道具楽園」が開催され話題を呼びました。館内にはドラえもんのひみつ道具が展示され、巨大なドラえもんも登場し、公式グッズショップも設置されたことで多くの若者が来場しました。

このように現在でもドラえもんの人気は衰えるところを知らず、中国国内では大手IT企業のアリババが経営するECサイトのタオバオ(Taobao)ではドラえもん公式グッズやDVDなどが正規販売されています。

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「ドラえもん」はなぜ中国で人気なのか

「ドラえもん」の放映が始まった1990年代の初め頃、中国国内で制作されたアニメは技術的に日本のアニメに及んでおらず、その物語も勧善懲悪、主人公が正義を貫くようなものが多かったため、主人公に感情移入できるようなアニメは多くありませんでした。

その中で「ドラえもん」は、登場人物誰もが完璧ではなく、ドラえもんですら万能ではないことで、のび太に感情移入する視聴者が多かったという背景があったようです。

中国の抱える社会問題と「ドラえもん」

中国では人口増加を抑えるべく、1979年から2015年まで一人っ子政策が実施され、兄弟姉妹のいない一人っ子が多く誕生しました。彼らの両親は共働きの場合が多く、テレビ番組を観て過ごす子供もいました。

そういった環境の中で「ドラえもん」に触れた一人っ子世代は、ドラえもんと共に成長してきたように感じたり、自分の子供時代を支えてくれた存在として愛着を形成したりしています。

また中国の学校では宿題や受験のプレッシャーが大きく、受かった大学でも日々レポートや試験に追われます。こうして学業で良い成績を収め、ようやく就職できたと思ったら今度は会社内、業界内での競争に巻き込まれ疲弊するという人も少なくありません。

競争に次ぐ競争を駆け抜けてなお心の安らぎを得られない社会に生きる中国人の中には、幼いころ観たドラえもんの世界に慰めを感じるという人もいるようです。

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中国のキャラクターパクリ問題、裁判所は著作権侵害を認定

中国では多くの「パクリ作品」が量産されていますが、ドラえもんも例に漏れず模倣されています。

2012年、福建省の企業が「ドラえもん」そっくりのキャラクターを商標登録しました。これに対し、2016年にはドラえもんのキャラクター使用権を持つ別の企業が商標の無効を求めて提訴しました。

中国の商標審議委員会は商標登録を無効としましたが、これを不服として前者は北京市の知的財産権裁判所へ上訴しました。

このケースでは知的財産権裁判所でも商標の無効が認められましたが、この他にもドラえもんをはじめとする有名な作品のいわゆる「パクリ」商品は、実際のところいまだに数多く存在します。

中国での著作権侵害対策「商標登録だけでは守れない」

通常、オリジナルのキャラクターなどは商標登録をすることでそこから生み出される利益を保護できますが、中国では多くの企業が明らかに著作権を侵害しているにもかかわらず商品を企画、仕入れ、販売するケースも少なくないようです。

中国では近年知的財産権裁判所が設けられるなど、政府は著作権侵害に対しての規制を強化しています。しかし中国のビジネスの現場では、実際のところ模倣を「悪」とは考えない場合もあります。こうした問題の即時解決は難しいと見られています。

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インバウンドでも注意が必要な著作権問題

著作権侵害問題は中国だけでなく世界中で起こっており、もちろん日本国内でも多くの事例が存在します。

例えば秋葉原などの路上をカートで走行する体験を提供する「公道カート」は、任天堂のレースゲーム「マリオカート」に酷似したものであるとして任天堂が提訴していました。この例では裁判所は任天堂の訴えを認めています。

インバウンド業界でも関係することの多い著作権問題は、業界に関わる一人ひとりの意識向上が課題であることと同時に、政府による周知の徹底や規制の強化など国全体での対策が必要でしょう。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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