神戸市中央区の新神戸オリエンタル劇場は7月4日、アニメやゲームが原作の舞台「2.5次元ミュージカル」の全国唯一の専用劇場として、新たにオープンしました。
日本のアニメは海外での人気も根強く、インバウンド向けの新たな観光コンテンツとして注目を浴びることが予想されます。
訪日外国人観光客の取り込みに苦戦している神戸の新たなインバウンド対策として期待される、本劇場における取り組みについて紹介します。
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「2.5次元」専用劇場で神戸のインバウンド誘客加速なるか
東京五輪に向けた再開発に伴い、東京の専門劇場が昨年末に閉館したのを機に、新幹線の停車駅である新神戸駅直結の「新神戸オリエンタル劇場」が新たな専用劇場として注目されました。
昭和63年に開業した本劇場は、利用客の増加を目指して2.5次元の専用劇場に改装し、座席数を140席増やした結果、現在は全808席を備えます。
人気作品「テニスの王子様」の舞台を開催した際は、グッズを求めるファンが詰めかけ、座席数の5倍近くの約3,000人が来場しました。
昨年の来場者数は約4万人でしたが、過去の2.5次元ミュージカル上演による成功体験から、専用劇場になることで10倍の年間40万人の集客も見込んでいます。
神戸では、同じ関西圏の人気観光地である京都や大阪と比べ、インバウンド需要の取り込みに苦戦しているのが現状です。
インバウンドにおけるコト消費需要やオタク文化の人気の高まりを受け、2.5次元ミュージカルの専用劇場オープンにより、神戸のインバウンド誘客の加速が見込めるでしょう。
2.5次元ファンの訪日外国人観光客を惹きつけ、アニメやゲームといったサブカルチャーの聖地として賑わう東京の秋葉原や大阪の日本橋に続く、第3の聖地になることが期待されます。
急成長を遂げている「2.5次元ミュージカル」市場とは
「2.5次元」とは、アニメやゲームの2次元の世界を、3次元である現実世界の人物がなりきって表現するコンテンツです。
「2.5次元ミュージカル」は、漫画やアニメ、ゲームなどを原作とした舞台芸術全般であると、日本2.5次元ミュージカル協会が定義しています。
市場規模が2兆円とも言われるアニメ産業の中でも、特に急激な成長を見せている市場です。
ミュージカルのため女性のファンが多いのが特徴で、2015年に「刀剣乱舞」「テニスの王子様」が登場したことから人気に火がつき、市場規模は100億円を突破しました。
「2.5次元ミュージカル」がビジネスモデルとして認められたことで、新規参入が一気に活発化しています。
一方人気の裏で、劇場が足りないといった問題も発生しています。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催を控えた首都圏の劇場は、老朽化に伴う改修や閉鎖が相次いだことで、慢性的な劇場不足となりました。
2.5次元専用劇場となった新神戸オリエンタル劇場では、優先的に舞台が上映できるといったメリットから、注目度の高まりが予想されるでしょう。
『AiiA 2.5 Theater Kobe CAFE』の併設でインバウンドの「2.5次元」ファンの誘客へ
新神戸オリエンタル劇場では、劇場オープンと同時に、新たな2.5次元の聖地のカフェ『AiiA 2.5 Theater Kobe CAFE』もオープンしました。
本劇場に併設の公式カフェとして、劇場で上演される作品ごとにコラボメニューの販売や非売品のグッズを配布するほか、さまざまな展示や企画を予定しています。
2.5次元ファンの憩いの場として提供することで、関西エリアにおける舞台作品上演の活性化を目指します。
国内のファンはもちろん、特に2.5次元への人気の高まりが顕著な訪日アジア人観光客もターゲットとした、大きなビジネスチャンスと言えるでしょう。
公演を観劇する人以外にも来店が可能で、神戸におけるインバウンドの消費拡大が期待されます。
まとめ:新たな2.5次元ブームで、神戸のインバウンド誘客促進へ!
インバウンド誘客数が伸び悩んでいる神戸ですが、今回の2.5次元ミュージカル専用劇場の誕生により、多くの訪日外国人観光客の2.5次元ファンが訪れ、インバウンド需要ならびに消費拡大が見込まれます。
オーバーツーリズムが進む大阪や京都におけるインバウンドの分散化を後押し、観光公害の解消に向けた1つのきっかけになることも期待できるでしょう。
市場規模が100億円を突破し、インバウンド需要の高まりも期待できる2.5次元ブームから、今後も目が離せません。
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