外国人客を5倍にした「英語表記」海上保安資料館横浜館の大成功が意味すること

インバウンド対策に多言語対応は欠かせません。しかしその必要性を頭で理解していても、実際に導入する方法や具体的に何から始めればいいか戸惑う事業者も少なくないでしょう。

この記事では、多言語対応で外国人観光客が増えた事例と、すぐにでも実践できる多言語対応の方法を紹介します。

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たったそれだけ?英語併記で外国人観光客が5倍になった「海上保安資料館横浜館」

神奈川県にある、海上保安資料館横浜館は今年の2月に館内表示をリニューアルしました。この際、英語表記を追加しており、これがきっかけとなってか外国人観光客が5倍に増えたと言います。

具体的には今まで1日平均2組ほどだった(外国人観光客が)、リニューアル後は10組に増えているそうです。

海上保安資料館横浜館は、2001年に鹿児島県奄美大島沖で沈没した北朝鮮の工作船などを展示している施設です。この事件は、警察機関である海上保安庁が対応したことで、軍事衝突への発展リスクを抑えたとして海外でも知られる事件です。

今までは館内の展示には日本語の解説だけをつけていましたが、リニューアル後は「North Korea Spy Ship Exhibit(北朝鮮工作船展示)」のような英語を併記しています。外国人観光客にも展示内容が分かりやすくなるようになりました。

英語併記にしたことで外国人観光客からの質問が増えたことも報告されています。ただ外国人観光客が増えるだけでなく、事件への関心や理解を得られ、資料館としての存在意義も高まっていると言えるでしょう。

多言語対応の重要性

この事例からは、多言語での表記は外国人観光客の来場を左右するという仮説が見えてきます。

観光庁が2017年に行った「訪日外国人旅行者の受入環境整備における国内の多言語対応に関するアンケート」によると、外国人が日本滞在中に困ったことに「コミュニケーション」という回答がついています。コミュニケーションに関して困ったと挙げている人は回答者全体の26.1%で、訪日客の多くが言葉の壁を感じたと考えられます。

特にコミュニケーションで困った場所として挙げられているのは「飲食店・小売店」です。注文など、スタッフとのコミュニケーションが必要な場において日本語表記のみのメニュー表示などは外国人にとってはハードルが高いことのひとつです。

写真やイラストを載せたり、他言語を併記することで、これらの外国人観光客の潜在的需要を引き出したり、消費につなげることができるでしょう。

外国人が日本滞在中に「困った」こと1位は25%超で「コミュニケーション」/「Wi

観光庁によると2018年の訪日外国人数は史上初めて3,000万人を突破し、訪日外国人観光客数の流入は年々加速しています。多くの人が「日本=おもてなし」と感じることから、ホスピタリティーあふれるきめ細やかなサービスは世界中から高く評価されています。しかし一方で、訪日外国人観光客が旅行中に不満に感じることも少なからずあります。そこで今回は、訪日外国人観光客が日本を訪れた際にどのようなことに困ったのか見ていきましょう。目次訪日外国人が最も困ったのは「コミュニケーション」コミュニケーションで困った...

すぐに実践!多言語対応

では、実際にどのように多言語対応を進めれば良いのでしょうか。

1. よく聞かれるフレーズを覚えて対応

接客業の場合は、使用頻度の高いフレーズを覚えておくと日本語の分からない外国人が来てもある程度は対応が可能です。

実際に質問されることや会話の内容は、日本人のお客様と変わりません。

普段来店するお客様はどのようなことを多く聞かれるのかなどを事前に把握し、準備しておくことでスムーズに対応することが出来るでしょう。

2. 店頭の多言語表記

フレーズを覚えると言っても、限度があります。

そこで、店内表記やWebサイトの表記を多言語対応することで、お店側の負担も訪日外国人の負担も減らすことが出来ます。

特に、現金を持たずにカードで支払いを済ませる外国人にとって、クレジットカードOKの表記は一目見てわかるので安心です。

また、上にも挙げたように飲食店などではメニューの多言語化を図ることで外国人が注文しやすく、スムーズな対応が可能です。

3. どの言語を表記するべきか?訪日外国人の半数は中国語話者

2018年にJNTOが発表した訪日外客数を見ると、訪日外国人の半数以上が中国語を母国語としていることが分かります。

順位 国・地域 人数
1位 中国 838万人
2位 韓国 753万人
3位 台湾 475万人
4位 香港 220万人
5位 アメリカ 152万人

▲「国籍/月別 訪日外客数(2003年~2019年)」 : 日本政府観光局(JNTO)より

実際に多言語対応しているお店でも、英語と一緒に中国語が併記されている印象が強いと感じることが多いのではないでしょうか。

英語はアメリカ・イギリス以外にもヨーロッパ圏からの訪日客にも対応できると考えられます。ただし訪日外国人の割合を見ると中国人も非常に多くなっています。中国語併記をすることで、単純計算では半数以上の外国人観光客に対応できるということになります。

同じ漢字を使う文化圏のため、中国語圏の人に理解できる日本語の単語も存在しますが(例えば博物館、電車、禁止など)、一方で日本語では重要な情報がひらがなである場合もあるため(~してはいけません、等)、英語同様に中国語を併記することはかなり重要と言えるでしょう。

また、韓国からの訪日客も2位ととても多く、全体の4分の1を占めます。英語、中国語に加えて韓国語の併記も多言語対応の需要があると言えます。

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小さな店でも多言語対応の時代

今回は、英語を併記しただけで外国人観光客が5倍になった事例をご紹介しました。

観光庁の調べでは訪日外国人が困っていることとして「コミュニケーション」が多く挙げられています。

流暢に話せなくても、頻度の高いフレーズを暗記したり、店内表記を多言語化することがインバウンド対策には欠かせません。

多言語表記は訪日外国人の来店を後押しするだけでなく、コミュニケーションの壁を取り除いてくれるでしょう。


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客のインバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!