ムスリムと呼ばれるイスラム教信者は、世界人口の約23%を占める16億人(2010年時点)と言われています。
この数は今後も増えると予想され、14億人を抱える中国を超えるマーケットとして注目されています。
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国も進める「ムスリムインバウンド」対応の現状
観光庁もムスリムインバウンド向けの対策を進めており、様々な取組を行っています。現在、官公庁がどのような取り組みを行っているかご紹介します。
ムスリム国でのプロモーションが進行中&観光庁のサイトに資料も
現在は、近年訪日旅行者が増加している東南アジアのマレーシアやインドネシアからの誘客プロモーションに注力しています。観光庁の外郭組織である日本政府観光局(JNTO)の現地事務所をマレーシアやインドネシアに設立し、現地旅行関係者とのネットワークを強化しながら訪日客誘致に取り組んでいます。今後は、中東諸国のポテンシャルも検討しながら、市場調査とマーケット拡大を目指しています。
ムスリムの受け入れ対策について知るには、観光庁が配布している「ムスリムおもてなしガイドブック」が便利です。食事制限やお祈りについてなどのムスリムに関する基礎的な知識から、ムスリム旅行者の現状、さらに、受入のためにどのような対策をすればよいかなど、わかりやすくまとめられています。
イスラム圏からの旅行客は今後も増える!
ムスリムの多い東南アジアや中東国家では今後、人口増加や経済成長も見込まれイスラム圏からの旅行者も増えると予想されています。近年のムスリム旅行者の傾向
観光庁が先行してマレーシア・インドネシアなどのムスリムの多い東南アジアにてプロモーションを行っている関係で、近年は、マレーシア・インドネシアからの観光客が増えています。これらムスリムの旅行客が「日本でやりたいこと」と挙げているのは「着物を着たい」「新幹線に乗りたい」「日本文化を体験したい」など、モノ消費よりコト消費のほうがメインのようです。
イスラム圏の国が規制緩和
中東のイスラム圏は東南アジアに比べイスラム教が厳格で、国が国民の行動を法律で取り締まっていることも多くあります。サウジアラビアでは今まで成人女性が旅行をする際、“男性の「後見人」が必要”とされていました。その法律が撤廃され、女性も自由に旅行ができるようになったのです。国にもよりますが、こういった流れは今後も拡大すると予想されます。
イスラム教の旅行者に快適な時間を提供するために
このように今後、中国以上の可能性を秘めたムスリムマーケットですが、お客様として受け入れる際にどのような対応をすればよいのか、3つの観点から解説します。1. 食事のケア
イスラム教旅行者に対しては、ハラール食と呼ばれる食事への配慮が欠かせません。
基本的に、豚肉や豚由来の成分を口にすることはできません。アルコールもNGで、みりんなどの調味料に含まれるアルコールもよくないとされています。
牛肉や鶏肉は食べられますが、こちらもハラールの方法で処理された肉以外を口にすることは避けるべきとされています。
調理器具や食器もハラール食専用のものを使うことが推奨されています。
中には、旅行中は厳格に守らないという旅行者もいますが、信仰の度合いなどは人それぞれですので、個々の要望をうかがい、柔軟な対応が望まれます。
2. お祈り場所の提供
イスラム教の教えでは、1日5回決められた時間に礼拝をおこなうこと定められています。タイミングとしては、夜明け前、昼、午後、日没時、そして夜です。それぞれ5分程度で、場所及び日の出・日の入りの時間により毎日異なります。お祈り方法は、清潔な場所で、体を清めてからメッカの方向(キブラ)に向かって行います。
日本では、お祈りのできる施設が少ないといわれ、その対応が急がれています。
宿泊施設であれば自室でできるので問題ありませんが、空港やテーマパーク、商業施設など、お客様が長時間滞在する施設は、専用の礼拝室を設けるとよいでしょう。
拝礼の際に使うマットやキブラの方向を示すコンパスなどの貸し出しがあれば、尚よいでしょう。
3. 情報発信
訪日外国人旅行客の中には、ムスリム向けのサービスを提供しているかどうかを旅行会社に聞いたり、インターネットで調べるたりする場面が多くあります。ハラール食の提供の有無、豚肉やアルコールの使用の有無がわかるメニュー表示がある、お祈りできる設備があるなど、Webサイトに記載をしておくと利用者も安心して旅行を楽しむことができるでしょう。
最近では、自治体や観光協会でムスリム向けの地域情報を発信しているサイトを制作していることも多く、そういったサイトがないか確認してみると良いでしょう。
快適なムスリム旅行で日本を好きになってもらうためには
イスラム教信仰の厳格度は個人個人で違うので対応が難しく感じるかもしれませんが、主に「食事」「お祈りの場所」をケアできれば、あとは旅行者自身で選択してくれます。大切なのは、選択してもらうためのオプションを準備しておくことです。
ムスリム旅行者を受け入れるためには、まず、イスラム教とはどのような宗教なのかを「知る」ことが大切です。
<参考>
国土交通省観光庁:ムスリム対応に関する取り組みについて
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