EC大国韓国にAmazonが進出できなかった理由/人気EC「Coupang」や関税が関係

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韓国では化粧品やファッション用品などのEC利用が活発ですが、世界を代表するEC企業であるAmazonが展開できていない地域でもあります。

Amazonといえば日本では知らない人はいないECサイトです。世界的にも「GAFA」と呼ばれる巨大企業の一社でもあり、その先進的な取り組みは人々の生活を激変させつつあります。

2019年は反日感情が噴出している韓国ですが、民間の日本に対する好感情は決して消滅しておらず、中国同様今後も注目の市場となっていくと考えられます。

インバウンド市場では、ECは「旅アト」の需要を受け止める場として注目が集まっています。 今回は韓国のEC事情について紹介します。

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韓国で人気のECサイトは?

韓国は国を挙げてITインフラの充実を図っており、中でもECの成長は近年目覚ましいものがあります。11月1日から22日には「コリアセールフェスタ」と呼ばれる韓国最大の観光・ショッピングイベントが開催されます。

今年のイベントでは、インターネット通販業界での参加が昨年の約3倍に増えているそうです。また、「コリアセールスフェスタ」は今年から政府主導から民間主導になったことが伝えられています。

中国のECセール「独身の日」(11月11日)や同じく米国のECセールである「ブラックフライデー」(11月29日)の盛り上がりを意識して、期間も参加企業数も増えています。本イベントには大手百貨店も参加しています。

韓国では年間で17兆円ECによる取引があると言われています。日本の2016年のネット通販の市場規模が15.1兆円ですが、韓国はこの金額を上回っており、かなりの金額がECで取引されています。

韓国ナンバーワンEC「G-Market」

韓国EC市場でユーザー数が多く広く認知されているのは「G-Market」です。月間訪問者数2,200万人を誇る韓国ナンバーワンECサイトです。

形式はモール型のECで、化粧品、ファッション、旅行のアクティビティ予約(Wi-Fiレンタルなど)など、様々な商材を扱っています。

「11番街」と「T-Mon」

G-Market に次ぐ、韓国を代表するECモールの一つは「11 番街」です。月間訪問者数は 2,120 万人のモール型ECサイトです。

韓国EC市場の三番手はT-Monです。G-Marketや11番街と比べるとユーザー数が少なく、2016年のデータで月間670万程度ですが、伸びている韓国ECサイトです。

独自配送システムの「Coupang」

また、独自の配送システムを構築した「Coupang」も注目のECプレイヤーです。

2010年に創業、14年には3億ドルの売り上げを達成していることに加え、2018年にはソフトバンクから10億ドルの出資を受けています。

倉庫や流通網、3,600人以上の配達員を揃えるクーパンは、平均2〜3日はかかる配達を1日足らずで届けることに成功していると言います。

また韓国メディアは、韓国小売り大手であるロッテと新世界が、本年2019年よりEC事業を新たな成長の柱とする方針を打ち出したことを伝えています。

カテゴリー特化のECサイトにも存在感

上記のようなモール型のECサイトがある一方で、アパレルやコスメなど一つのカテゴリーに特化したECショップの取引も活性化しているといいます。

特に、アパレルを中心とする専門通販の割合が多くなっているそうです。

「DARKVICTORY」のように韓国国内に限らず海外展開に取り組むことで成長を図る企業も増えてきています。

【2018年最新版】韓国EC市場の基礎知識・徹底解説!:3大ECモールから日本企業の進出ハードルまで総ざらい

皆さんこんにちは、株式会社LIFE PEPPERの厚海です。本日は韓国のEC市場に関する情報をお送りしていきたいと思います。皆さん、韓国のECに興味はあっても、実際にどのような市場なのか?どのようなことになっているのかは意外と知らない方が多いのではないかと思います。それでは、韓国EC市場について私と勉強していきましょう!目次韓国ECの基本知識韓国ECの基本知識その①:韓国のEC市場規模韓国ECの基本知識その②:韓国のECの種類韓国の最大級のECモールTOP3韓国No.1ECモール「G-Ma...

共同購入&期間限定価格のソーシャルコマース

韓国では「ソーシャルコマース」と呼ばれるECの利用も盛んです。商品を購入したいECユーザーがFacebookやTwitterなどのSNSで呼びかけ、共同購入する形式です。

販売期間を限定することで、より購買意欲を高める効果が狙われています。

韓国にAmazonがない3つの理由

このようにEC市場が盛り上がる韓国ですが、実は世界的EC企業であるAmazonが進出していません。2015年には上陸を予定しているとの報道も流れていましたが、結果として進出にはいたりませんでした。

様々な理由が背景にはあるようですが、その理由は大きく3つに分類できます。

1. 配送スピード

Amazonが強みとする「配送スピード」の点で、すでに韓国で展開していた「Coupang」に対抗できる見込みがなかったことが一つの大きな理由のようです。

Coupangは倉庫や流通網、3,600人以上の配達員を抱え、平均2〜3日はかかる配達を1日足らずで届けているといいます。

2. 輸入製品に関税制度で規制

 韓国では、輸出を重要視しており、輸入製品に関して関税制度で規制を強化しているため、こうした条件もAmazonの競争力を奪っているとの指摘もあります。

3. 韓国にはAmazonがないけれど、Amazonで買い物ができる

Amazonは現時点では韓国に進出していませんが、実は韓国人はAmazonを利用しているとのデータもあります。

アメリカのAmazonは韓国語にも対応しており、配送先にアメリカ国外も選べるため、韓国在住の韓国人は好きな時にAmazonを利用でき、結果としてそもそも展開の必要がなくなってしまったとの見方もできそうです。

中国ではAmazonが撤退 

独自のインターネット環境を構築している中国でも、Amazonは苦戦しています。

2019年4月18日には、Amazonは中国におけるオンラインショッピング事業の撤退を発表しました。

Amazonは、2004年に中国のオンラインショッピングサイトであったJoyo.comを買収し、彼らの中国EC市場におけるノウハウで勝ち抜くことを計画していました。しかし結果として、中国企業との闘いには勝利できなかったようです。

現地消費者が求める価格帯や品質に合致する商品やサービスを提供できなかったことが一因という指摘もあります。

中国企業は決断から実行までの時間が短く、このスピードにAmazonがついていけなかったことがその根本にはあるかもしれません。2018年前半の中国EC市場(BtoC)におけるAmazonのシェアは1.2%未満にとどまっていました。

まとめ

時間を節約したい消費者にとって、ECは欠かすことのできない消費チャンネルです。 インバウンド市場においては、ECサイトは今後も引き続き、旅アト消費のための重要なプラットフォームとなっていくと考えられます。

日本市場ではかなり巨大企業の見えるAmazonでも、他国の市場では同様に優位性を保っているわけではありません。現地における市場展開の際には、各国、地域の特徴をしっかりと把握して臨むべきでしょう。


<参照>

livedoor NEWS:来月の韓国大型セールはよりお得 参加企業も過去最多

ForbesJAPAN:韓国の国産ECサイトは、いかにアマゾンの進出を阻止したか?

日本経済新聞:アマゾン、中国向けネット通販事業撤退へ

Gigazine:Amazonはなぜ中国市場から撤退することになったのか?

NNA ASIA:ロッテと新世界、EC事業に本腰

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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