なぜ日本は中国「大人のおもちゃ」市場で勝負すべきなのか:1兆円規模の急成長市場に注目

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有名観光地で、訪日中国人の姿を見ない日はほとんどないでしょう。中国人に限らず、インバウンドコト消費」のブームが伝えられて久しいですが、日本での買い物を楽しみにしている人もまだまだたくさんいます。

特に、衛生関連商品での日本製品に対する信頼は変わらず商品の競争力を高めています。インバウンド市場で商品を訴求する場合には、ターゲット層の普段の購買環境などに対する理解や、日本に対するイメージがどのようなものであるのかを把握することが重要です。

実は海外から日本を見た場合、「性産業」の発展も一つの日本を代表するイメージとなっています。アダルトビデオやそれに出演するセクシー女優の知名度は高くなっています。

日本では、セクシー女優に代表されるようなセックスワーカーにまつわる話題にとどまらず、最近では女性を意識したアダルトグッズや性教育といった話題が、大手メディアや百貨店といった場で取りざたされるようになってきました。

こうした日本の性にまつわるトレンドは、中国にはどのように受け止められる可能性があるのでしょうか。今回は、中国における「アダルトグッズ」の販売状況について紹介します。

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中国でのアダルトグッズ販売「成人性用品」

日本の田舎では、自動販売機本体が見えない「無人販売所」を見かけたことのある方もいるのではないでしょうか。この中には性交渉の際に使えたり、疑似的な感覚を体験できるアダルトグッズや、扇情的な写真等のコンテンツを収めた雑誌等媒体が販売されています。

実は中国でも、同じように自動販売機でアダルトグッズを販売しています。道のわきに突如として表れる無機質な目隠しや「成人性用品」と書かれた看板がその目印です。

Twitterに投稿された中国にあるアダルトグッズの自動販売機の画像
▲中国にあるアダルトグッズの自動販売機の画像:Twitterより訪日ラボ編集部スクリーンショット

Twitter:中国にあるアダルトグッズの自動販売機の画像(https://twitter.com/egiwo/status/1195190858292846595)

アダルトグッズは中国語では「成人性用品」と表記されます。10年以上前には「成人保健品」の名前が見られましたが、中国政府による禁止から管理とコントロールへの方針の転換があり、現在では「成人保健」の表記は多くないようです。

この2年ほど、中国ではスマホ決済や顔面認証を活用した「無人店舗」の試営業や広まりが取りざたされてきましたが、日本と同様この分野では早くから無人店舗が存在していたようです。

今年8月に中国で発表されたアダルトグッズ市場に関するレポートでは、中国のアダルトグッズ市場は2017年までに市場発展の時代を終えたことを伝えています。続く2018年以降は各プレイヤーによる競争が進み、消費者の体験の質を高めることが業界の目標となるとまとめられています。

レポートを参照すれば、同業界における政府の規制緩和は、2001年以降、そして2014年~2017年と、段階を踏んで徐々に進んできたと考えられます。中国のアダルトグッズ市場の規模は2015年以降以下のように推移しており、2019年には73.9億アメリカドル(約8028.5億円)、2020年は82.8アメリカドル(約8995.4億円)が予想されています。

▲[2015年から2020年までの中国のアダルトグッズ市場の規模]:同花顺财经2019年8月20日
▲[2015年から2020年までの中国のアダルトグッズ市場の規模]:同花顺财经2019年8月20日

オンラインでの販売が市場発展の鍵?

またオンラインでの購入が一般の小売と比べても非常に高くなっていることより、今後ECのさらなる普及が実現すれば、上記予想よりも大きなマーケットが生まれることも考えられるでしょう。また日本同様、アダルトグッズに抵抗感を持つ層への働きかけ等が小さくない影響を与えるとも言えそうです。

▲[2018年の中国国内におけるアダルトグッズ販売のオンライン・オフライン比率]:同花顺财经2019年8月20日
▲[2018年の中国国内におけるアダルトグッズ販売のオンライン・オフライン比率]:同花顺财经2019年8月20日

「岡本」コンドームがバカ売れ

このようにアダルトグッズについては保守的な傾向もみられる中国ですが、人口抑制を目的とした一人っ子政策を掲げていた関係で、避妊具の販売に関しては非常にオープンです。

ウォルマートのような大規模小売店のレジ付近には必ずコンドームが置かれています。ブランドはイギリスのデュレックスが多くなっていますが、この数年はオカモトの製品も多く見られます。中国の大規模小売店の場合には、上階から入場し生活用品や家電のフロアを一巡りしてからたどり着くエスカレーターから、一階下がった食料品フロアに移動する形が多くなっています。

エスカレーターはフラットな形で、買い物のカートのまま乗れる形状です。このエスカレータの両脇には大きく広告が掲示され、お菓子や日用品などが無造作に山盛りにされています。店内の移動の一瞬も逃さない販売促進の姿勢が見てとれます。

今年2019年の中国の地方都市では、こうしたスペースにオカモトのコンドームも陳列されていました。食品や肌に触れる商品の場合、中国で日本製品は非常に支持されています。コンドームも同じ観点で中国におけるファンを獲得しているでしょう。

タオバオの検索からオカモトの旗艦店を検索すると、複数の商品で在庫切れが起きていました。ECサイトに出品されていても、正規販売以外は信用しない中国人消費者は少なくありません。今後、訪日旅行における爆買い対象ともなり得るでしょう。

▲[タオバオで「オカモト旗艦店」を検索すると、正規販売商品の多くが品切れになっている]:編集部キャプチャ
▲[タオバオで「オカモト旗艦店」を検索すると、正規販売商品の多くが品切れになっている]:編集部キャプチャ

年間最大のECセール「ダブルイレブン」でも

今月11日には、中国で年間最大のECセールともいえる「ダブルイレブン」が開催されました。11日の購入に向けて数日前から購入予約の受付を開始するため、数日の間、中国のネット上ではECサイトで何を買うかが大きな話題となります。

このセールの仕掛人であるアリババグループの天猫(ティエンマオ、Tmall)の11月11日における売り上げは約4兆1,000億円(約2684.4億元)で、初めて4兆円を突破しました。また、中国のEC業界で天猫(Tmall)を追い上げる京東(JD.com)や、内陸部等の都市でユーザーを拡大しているPinduoduo(ピンドゥオドゥオ)、オフライン施策の優位性が伝えられている蘇寧(スーニン、Suning)など、他のEC大手もこの期間に大きな売上げを出していることが伝えられています。こうした主要ECプラットフォームのダブルイレブンセールの売上げの推計は約6.3兆円(4,101億元)と伝えられています。

こうした中、アダルトグッズも同様に商品の販促を行っています。

▲[アダルトグッズを販売するECサイト。ダブルイレブンに合わせてお買い得商品を打ち出している]:筆者キャプチャ
▲[アダルトグッズを販売するECサイト。ダブルイレブンに合わせてお買い得商品を打ち出している]:筆者キャプチャ

取り扱い商品は、日本のそれとあまり大きく変わらないようです。衣食住に連なる根源的な欲求がそこにあるようにも思えてきます。

また、このEC店舗の色使いなどからは、こうした商品の購入にもともと抵抗感のなかった消費者がターゲットとされていることがわかります。アダルトグッズにはこのほか「情趣用具」といった表現もありますが、こちらの単語でタオバオを検索した場合にも、見る人によってはグロテスクな印象を持つ製品が多くヒットします。

日本ではこうした外観に抵抗感を持つ消費者をターゲットに、主に女性目線でのアダルトグッズの開発に力を入れている企業も存在し、この数年注目を集めています。こうした企業の取り組みは、既存ジャンルに新たな切り口で挑む試みの新鮮さで世間へ大きな印象を与えているだけでなく、実際にそこに需要が存在したことを証明しつつあります。この企業の製品の販売件数は、今年3月には累計30万個を突破したことが発表されています。

※「情趣」は「セクシー」に近い語感の単語

まとめ:中国の「黄色い」市場を攻める

政府の方針もあり、中国では性にまつわる市場はこれまで慎重に開拓されてきたと言えるでしょう。ところが2018年から、政府は徐々に市場を活性化する方針に切り替えているようです。ECでの商品の豊富さもこれを裏付けているようです。

一方で、展開されている商品はまだまだ一部の消費者の需要しか満たせていないことが推察されます。こうした中で、これまでアダルトグッズに関心のなかった女性や男性に訴求できる商品が、市場の様相を大きく変える可能性も大きく残っているようです。

中国の恋愛は、多くの場合女性の意見を尊重して進んでいくと言われています。また、交際期間や結婚後の関係でも、女性の意見が重視される場合が少なくありません。保守的な傾向の強かったアダルトグッズの販売ですが、現在の転換期の流れにうまく乗ることで、新たな市場における優位性を確立することも不可能ではないでしょう。

商品の展開の際には、その社会で先行するイメージとうまく付き合っていくことも重要です。日本では性的な商品をイメージさせる色として「ピンク」がありますが、実は中国では「黄色」です。こうした色に関連したイメージもうまく取り込んでいくべきでしょう。


<参照>

http://baijiahao.baidu.com/s?id=1642386768880603398

https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1911/21/news043.html

https://www.value-press.com/pressrelease/216584

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この記事の筆者

山浦雅香

山浦雅香

訪日ラボ編集部所属。85年東京生まれ茨城育ち。大学で中国語を専攻し北京に留学経験あり。元技能実習生監理団体職員。そのほかメーカー事務、雑誌広告営業、PR、子育て、SNSマーケ、翻訳通訳などを経験。読書とバイオリンが好きです。

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