本当は怖い美容整形ツーリズム:整形大国・韓国の光と影

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英国エコノミスト誌が調査した2011年の統計によると、人口1,000人当たりの整形手術件数が最も多い国は韓国でした。事実、韓国は整形手術を中心とする医療産業が大いに発達しており、整形手術を目的に韓国へと赴く外国人も多く存在します。

このように、医療行為を受けるために他国を訪問することを、メディカルツーリズム(Medical Tourism/医療観光と言います。メディカルツーリズムの件数は世界中で増加しており、医療費が著しく高騰している米国の住民が相対的に医療費の安いタイなどの諸国に向かう例があります。

今回は、メディカルツーリズムでにわかに潤いを見せている韓国の光と影、そして日本にも押し寄せるメディカルツーリズムの波について解説します。


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整形大国・韓国に集う外国人

多くの芸能人が整形手術を受けており、2011年時点では人口1,000人当たり約13.5件の整形手術が施されている韓国では、諸外国と比較して整形手術がより身近なものとなっています。整形手術を目的に多くの外国人も韓国を訪れており、その中には日本人も含まれています。

2017年には約5万人の外国人が整形のために韓国へ

大韓民国保健福祉部の統計によると、2017年、韓国の医療機関は39万7,882人の外国人患者を受け入れました。うち整形手術を受けた患者は4万8,849人で、外国人患者全体の約12.3%が整形手術を受けたということになります。

韓国で整形手術を受けた日本人の数も6,000人を超過し、その数は2008年の約20倍と劇的に増加しているようです。

日本では韓流ブームにより韓国の芸能人やアイドルが人気を博していることに加え、成田からソウルまでの飛行時間も約2時間45分と比較的気軽に韓国へ向かえるようになっています。観光等を目的に、若年層を中心に多くの日本人が韓国へ渡航していますが、中には整形手術のために足を運ぶ人も少なくないようです。

外国人の整形医療費は合計約2,150億ウォン、6年前の4倍に

2017年に韓国の外国人患者が消費した医療費は約6,399億ウォン(約640億円)で、うち整形手術における医療費は約2,150億ウォン(約215億円)3分の1を占めています。

この額は2012年から約4倍に増大しており、今や整形医療が韓国の一大産業と化していることを示しています。なお、外国人が韓国で整形手術を受ける際の平均消費額は1人当たり約440万ウォン(約44万円)となっています。

韓国行き整形ツーリズムの光と影

このように、韓国では整形手術が盛んに行われ、多くの外国人も整形手術を目的に訪韓していますが、合わせて整形手術にまつわるトラブルも増加しているようです。

ここでは、多くの外国人を惹きつける韓国の魅力と、いくつかの問題視されているトラブルについてそれぞれを見ていきます。

医療費未払い・通訳・異文化対応の「医療ツーリズム3重苦」から抜け出すには

2018年の訪日外客数が3,000万人突破目前となる中、多方面でインバウンドの受け入れ体制の整備が問われています。医療現場においても、急増する訪日客の受け入れに課題を感じているのが現状です。今回は、医療現場におけるインバウンドの受け入れ体制の現状と課題の中から3つの項目に着目し、今後求められる対策について見ていきましょう。インバウンド受け入れ環境整備を資料で詳しくみてみる「翻訳・多言語化」を資料で詳しくみてみる「多言語サイト制作」を資料で詳しくみてみる「多言語化表示サービス」を資料で詳しく...


大きな魅力は、日本よりはるかに安い医療費

統計によると、韓国の医療費は世界第12位と決して破格ではありません。しかし、米国、中国、日本などの医療費が比較的高額な国には、安価な医療費で最先端の医療が受けられる韓国を魅力的だと思う国民が多く存在します。

ある整形外科の費用は、目の整形で100万ウォン(約10万円)から、鼻の整形で200万ウォン(約20万円)から、豊胸手術は1,000万ウォン(約100万円)からとなっています。

これらの費用には検査費、入院費、通訳費などが含まれており、日本では検査や通院の度に費用がかさむことが多いため、総合的に見ると韓国の整形外科の方が安価に整形手術を受けられる場合が多いと判断する人も少なくないようです。

一方では悪徳ブローカーによる詐欺も

このように、金銭面では魅力のある韓国における整形手術ですが、一方では悪徳ブローカーによる被害が後を絶ちません。

ブローカーと繋がっている無資格の偽医師を紹介された、事前に言われた金額と実際に提示された金額が異なった、整形手術後に発生した症状について責任を持ってくれなかったなど、多くの被害が報告されています。

韓国で整形手術を受ける場合、これらの被害に遭わないよう事前情報を多く入手することが重要となります。

日本にも押し寄せるメディカルツーリズムの波

2018年、訪日外国人旅行者数は前年比8.7%増約3,119万人と過去最高に達しました。年々増え続ける訪日外国人と共に注目されているのが、メディカルツーリズムで日本を訪れる外国人です。

メディカルツーリズムの市場は2020年には約5,500億円に成長すると見込まれており、医療業界だけでなく訪日外国人に関わる業界全てにとって、メディカルツーリズムの発展は重要なものとなり得るでしょう。

医療ツーリズム(メディカルツーリズム)とは?注目を集める背景・日本の現状・メリット・問題点・事例

「医療ツーリズム(メディカルツーリズム)」は、医療を受けることを目的に海外へ渡航する、医療と観光を組み合わせた旅行のことです。 近年、この医療ツーリズムは訪日旅行の一形態として、中東などアジア圏からの観光客が日本を訪れる動機として注目を集めています。 しかし、日本は現状、海外に比べて医療ツーリズム対策が遅れていると言わざるをえません。そこで、この記事では、実際に医療ツーリズム向けのインバウンド事例や導入のメリット、効果を解説します。 インバウンド対策にお困りですか?「訪日ラボ」のイン...

2020年にはメディカルツーリズム目的の訪日外国人が年間43万人に

2020年、メディカルツーリズム目的の訪日外国人年間43万人と見込まれており、その内訳は日本の高品質な検診を求める富裕層、最先端医療を求める患者、低価格な医療を求める米国など医療費高騰国の患者などに分けられます。

彼らはそれぞれ目的とする医療が異なるため、医療業界全体で外国人患者の受け入れを前提とした動きが求められています。

医療ツーリズムが日本経済を支える?注目の理由・医療ビザ・経済効果・課題

より高度な治療を受けるために海外を訪れることを「医療ツーリズム」と呼びます。日本ではあまり馴染みのない言葉かもしれませんが、「メディカルツーリズム」とも呼ばれ、世界では一つの産業として確立されています。昨年ごろから日本のインバウンド観光業界でもムーブメントとして認識されるようになった一方で、どちらかと言えば中国人観光客による保険制度の悪用や医療費未払い問題など、ネガティブな文脈で語られるケースが多く感じられます。そこで今回は、 医療ツーリズムが注目されている理由やメリット、デメリットなどに...


医療業界でも進む外国人受け入れの動き

メディカルツーリズムの台頭に呼応して医療業界も受け入れに向けて動き出しており、2009年に経済産業省がサービスツーリズム(高度検診医療分野)研究会」、厚生労働省が医療ツーリズムプロジェクトチーム」観光庁インバウンド医療観光に関する研究会」をそれぞれ設置したことにより、本格的な動きが始まりました。

2009年からは医療の質を審査するJCI(Joint Commission International)の認定を受けた医療機関が増加し、2019年現在では全国28の医療機関が認定済みとなっています。

また、2011年には医療滞在ビザの発給が始まり、現在では最長1年までの滞在が可能となりました。2016年には1,307件の医療ビザが発給されています。

同年には外国人患者の受け入れ体制が整っている医療機関を認定するJMIP(Japan Medical Service Accreditation for International Patients)も始動し、2016年には外国人患者の受け入れ実績がある医療機関を認証するJIH(Japan International Hospitals)も始動しました。

その後、観光庁により外国人対応が可能な医療機関がリスト化されるなど、メディカルツーリズムの受け入れに向けた動きは年々加速しており、2020年の43万人受け入れを目指して今後も各機関が連携し体制を整えていくものと見られています。

中国人は「日本の医療」をどのように爆買いするのか?政府も注力する医療ツーリズムを解説

中国人の訪日観光客と言えば、家電製品などを大量購入する「爆買い」のの姿を思い浮かべる人も多いでしょう。しかしこうした爆買いの傾向は以前より目立たなくなってきており、次なるブームとして、スキーやスノーボードといったスノースポーツに巨額を投じる「爆滑り」や、研修や子供の学びに焦点を当てた「爆学」といったトピックが話題にされています。こうした流れの一つとして、現在中国人による大きな市場形成の可能性に注目が集まっているのが「医療」です。医療機関の受診と、治療や健康促進、整形を目的とした「医療ツーリ...


メディカルツーリズムの訪日外国人に目を向けたインバウンド対策

メディカルツーリズムでは、患者本人が医療機関に入院し医療を受けるだけでなく、受診の前後に観光を楽しんだり、患者の家族や知人が見舞いに訪れることも考えられます。

そのため、医療機関の多言語化だけでなく医療機関周辺地域の多言語化や観光ランドマークの確立などを通して、街全体で訪日外国人を受け入れられる体制を作ることが重要となります。

メディカルツーリズムの訪日外国人43万人受け入れを目指す2020年を前に、現時点で行えるインバウンド対策についてもう一度見直してみると良いでしょう。


<参照>

Record China:https://www.recordchina.co.jp/b184978-s0-c30-d0062.html

GLOBAL NOTE:https://www.globalnote.jp/post-10286.html

ウーマンズラボ:https://womanslabo.com/tips-20190515-1

中央日報:https://japanese.joins.com/JArticle/167791

中央日報:https://japanese.joins.com/JArticle/200965

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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