観光立国日本は「雪」を強調せよ!コンテンツ化の勝者、新潟県十日町市の「豪雪ブランディング」

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訪日外国人観光客を有名観光地から地方へ誘客するには、インバウンドを惹きつける「オンリーワンの魅力」を発信する必要があります。地域での「当たり前」がインバウンドにとっては魅力的に映ることもあるため、地域ならではの観光コンテンツの発掘と磨き上げが重要です。

この記事では新潟県十日町市における「雪」をコンテンツ化したインバウンド対策と、「雪」に対するインバウンド市場別の嗜好の違いをふまえ、地域の魅力をコンテンツ化する上でのヒントを紹介します。



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「豪雪×地域の食」でインバウンドにPR

新潟県十日町市は2018年の訪日外国人観光客数の増加率が2016年比で北関東・信越ブロックで1位になるなど、インバウンドからの注目が高まっているエリアです。

もともと十日町市の伝統食「へぎそば」でインバウンドのさらなる誘客促進を図ろうとしていたところ、農林水産省が進める認定制度「SAVOR JAPAN農泊 食文化海外発信地域)」の推進委員会で、「へぎそばを目的に海外からわざわざ旅行に来るだろうか?」という議論が起きました。

そこでまずは海外から十日町市を訪れる理由をつくるため、「豪雪」をキーワードに、年間を通じて訪れたくなるようなコンテンツ作りに取り組みはじめます。その結果「豪雪地域の暮らしの歴史」「豪雪が造り出した景観」など、豪雪が降っていない時期でも楽しめて「へぎそば」と密接に関係している魅力をもとに、以下のようなコンテンツが生み出されました。

  • 豪雪×暮らしの歴史:「日本最古の国宝や長い冬の仕事アンギン編み」
  • 豪雪×産業:「全国で唯一のきものの一貫生産体制がある工場の見学と体験」
  • 豪雪×食文化:「豪雪地帯で育った山菜、農作物、へぎそばなど貯蔵食」
  • 豪雪×景観「大量の雪解け水が作り出した河岸段丘」

これらのコンテンツや受け入れ体制への反応を調査するため、十日町市では「豪雪体感ツアー」を実施。「ガストロノミック・シップ(食通の船)」と呼ばれるクルーズ船の寄港地を調査をする人や、外国人インフルエンサーを招きました。

参加者からは「十日町は歴史・自然・文化のバランスが見事に取れた町」「着物文化がへぎそばと繋がっている事実は、観光客に理解されやすい素晴らしいストーリー」などの高評価が集まり、十日町市の魅力が伝わるコンテンツであることが証明されました。

「雪」をコンテンツ化したインバウンド誘客事例

他にも「雪」をコンテンツ化したスポットやイベントがインバウンドから人気を集めています。

「雪」をテーマにしたお祭りで有名なさっぽろ雪まつり「小樽雪あかりの路」は、アジア人観光客を中心に話題となっています。運河に浮かぶキャンドルの灯りが水面に映る幻想的かつロマンチックな雰囲気が人気の理由です。

スキーだけでなく、雪とともに日本ならではの特別な体験ができるスポットもあります。

長野県地獄谷野猿公苑は「温泉に浸かる猿が見られる」として、インバウンドに人気の観光名所となりました。「スノーモンキー」をひと目見ようと、連日多くの訪日客が足を運んでいます。また岐阜県白川郷は、茅葺き屋根の古民家と雪景色のコラボレーションの美しさがインバウンドを惹きつけています。

訪日外国人観光客にとっては、スキーなどのウィンタースポーツだけでなく、「日本らしい景観を眺めること」も雪の楽しみ方のひとつとなっています。

アジアと欧米で異なる「雪」に感じる魅力

実はインバウンド市場別に「雪」に感じる魅力は異なります。

アジアからの訪日外国人観光客は、自然や風景の見物や、雪景色の鑑賞への関心が高い傾向にあります。

欧米豪からの訪日外国人観光客は、自然や資源を損なわないよう配慮された観光地への関心の高いようです。欧米諸国の環境意識の高さが表れているといえるでしょう。

一口に「雪」と言っても、インバウンド誘客のターゲット市場次第で魅力的な観光コンテンツが変わってきます。「雪」に関連した観光コンテンツをブランディングする際は、ターゲット市場の嗜好を調査し反映することが重要です。

まとめ:地域に眠る魅力をコンテンツ化し、インバウンドのリピーター獲得へ

インバウンド地方誘客促進には、移動に時間がかかっても足を運びたくなるような、地域ならではの「オンリーワン観光コンテンツ」のブランディングが必要となります。

十日町市の「雪×食文化」や、長野県の「雪×スノーモンキー」、岐阜県の「雪×白川郷」のように、1つのコンテンツと地域の魅力を掛け合わせることで、インバウンドを魅了する新たな観光コンテンツが生まれるでしょう。


<参照>

・JTB INBOUND SOLUTION:オンリーワンとはなんだろうか?「豪雪」をコンテンツにした取組み 新潟県十日町市

・NIKKEI STYLE:お目当ては雪「豪雪国・日本」で外国人が向かう場所

・訪日ラボ:「雪」に感じる魅力 アジアと欧米で全く違うことが明らかに:アンケート調査からわかる訪日外国人にとっての東北 求められる観光地としてのPRとは

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インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。

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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」

2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。

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  • インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
  • 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
  • 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
  • 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
  • インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

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