並びたくない中国人が大歓迎!アリババは「フリギー(飛猪:Fliggy)」で旅先買い物商機を狙う:日本企業は家電大手が先手を打つ

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可処分所得の増える中国では「旅行」が人気で、豚のアイコンが目印の「飞猪(飛猪:Fliggy)」は英語名をFliggy(フリギー)というサービスが注目を集めています。

フリギーは、ECプラットフォームのタオバオやTmall、またQRコード決済の「Alipay」で有名な中国を代表するIT企業の一つ「アリババグループ」が展開しているサービスです。

2019年3月には、旅行前に「旅行中のお買い物」ができてしまう新サービスFliggy Buy(フリギーゴー)」がスタートしました。(現在のサービス名は「出境購」)

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アリババグループの「Fliggy(飛猪:フリギー)」がECサービスを追加

アリババグループが展開するOTAFliggy(フリギー)」は、ウェブサイトとスマホアプリでサービスを提供しています。

▲[飞猪]:編集部キャプチャ
▲[Fliggy(フリギー)飞猪]:編集部キャプチャ

アリババグループとは?

1999年に中国で創立したアリババグループには、BtoBの電子商取引プラットフォーム「アリババ」、CtoCの「タオバオ」、BtoCの「Tmall」、ネット決済サービスの「Alipay」などがあり、今では世界でも知られた巨大企業です。本社は上海から新幹線で30分強に位置する浙江省杭州市にあります。

創始者はジャック・マーで、大学受験の失敗や英語教師の経験など、中国の起業家としては異色の経歴でもあり、その言動には中国国内外のメディアが注目しています。

2014年9月にはニューヨーク証券取引所に上場しています。ソフトバンクは創業初期から出資しており、現在PayPayAlipayのQRコードが共有である点にもこうした関係性が現れていると言えるでしょう。

PayPayが目指す「スーパーアプリ」とは

ソフトバンクは2019年11月5日に、最新の四半期決算の説明会を開催し、その中で「スマホ決済」のサービスで注目を集める子会社「PayPay」の状況についても発表しています。スマホ決済サービスPayPayの累計登録者数は5日時点で1,920万人を突破しています。また、PayPayの「スーパーアプリ」化を目指す方針についても言及がありました。スーパーアプリは、人々の生活を大きく変えるものとして世界で注目の高まっている概念です。インバウンド業界でもスーパーアプリとどのようにサービスを連携させられ...

Fliggy(フリギー)登録ユーザー層、過半数が30歳以下!観光地PRにも活用

アリババグループのOTAであるフリギーの登録ユーザーの半分以上は90年以降に生まれた若い世代となっています。

航空券や鉄道チケット、宿泊先の予約だけでなく、ツアーやアトラクションなど旅先で体験できるコンテンツの予約もできます。

予約以外にも世界各国の観光地情報や、インフルエンサーによるライブ配信、新たな魅力ある観光地のPRなどにも活用されています。

FliggyBuy(フリギーゴー、現サービス名:出境購)とは?

フリギーの新サービスとして、2019年3月に「Fliggy Buy(フリギーゴー)」が始まりました。中国語では「飞猪购(飛猪購)」フェイジューゴウという音になりますが、日本語では「ショッピング」を意味する「ゴー」はそのままカタカナ表記、発音します。その後、名称を「出境購」(チュージンゴウ)に変更したようで、現在のアプリにはこちらのメニューが並んでいます。

旅行をする前にオンラインで予約・決済を済ませ、旅行中に指定の日時・店舗で商品を受け取れます。訪日客はオンラインで決済が完了し、店舗では商品の受け取りをするだけです。

店舗にとっては、顧客のパスポートを確認して商品を渡すのみで売上が上がるため、オペレーションの難易度も下がります。訪日客にとっては、店舗で希望の商品を探したり会計待ちの列に並ぶ手間がかからず、ショッピングの煩雑さを軽減できる点が評価されているようです。

▲[左がフリギーのアプリを立ち上げた画面。「出境購」メニューを選択すると右の画面に遷移する]:編集部キャプチャ
▲[左がフリギーのアプリを立ち上げた画面。「出境購」メニューを選択すると右の画面に遷移する]:編集部キャプチャ

Fliggyと日本企業と連携開始

中国では日常的にタオバオやAlipayが使われており、訪日中国人市場の攻略にもアリババグループのサービスを導入しない理由を見つける方が難しいかもしれません。

すでにフリギーゴーやフリギーとの提携をすすめている日本企業のうち二つのケースを紹介します。

1. ビックカメラ

2019年3月のラオックスに続き、ビックカメラも同年9月にフリギーゴーとの提携が発表されました。まずは有楽町店、新宿東口店、なんば店の3店舗での導入ですが、今後も対象店舗数の拡大を見込んでいます。

ビックカメラによると、店舗には毎月10万人以上の中国人客が来店していると言います。フリギーゴーの導入で利便性を高め、さらなる顧客獲得を目指すとのことです。

▲[ビックカメラの出境購店舗]:編集部キャプチャ
▲[ビックカメラの出境購店舗]:編集部キャプチャ

2. JR西日本

JR西日本は2019年9月からフリギーをはじめ、同じアリババグループのアリペイ、Tmallとの提携を発表しました。

JRグループとアリババグループの提携は2018年7月から始まったJR九州に続き2例目で、現在京都や大阪に集中している中国人客を、日本海や瀬戸内海に送ることを想定しています。フリギーが持つ若者層への訴求力と、ビッグデータを活用したプロモーションプラットフォームを活用して、新たな観光資源の発信を目指しています。

3. 星野リゾート 

2018年9月に星野リゾートはフリギーと提携し、日本の温泉をテーマにした旅行キャンペーンを開催しています。

中国で広がるOMO型スマートトラベルとは

これまでの購買行動は実店舗での購入がメインで、オンラインはその補助的な立場として捉えられていました。しかし今後はオンラインとオフラインが融合した「OMO(Online Merges Offline)型」が広がっていくと考えられています。予約サービスキャッシュレス決済はもちろん、オンラインですべてがつながることで、ターゲットを絞った広告の出稿や、旅行窓口の一本化など、消費者がより快適に旅行できる仕組みを組み立てることも可能になります。

キャッシュレスの普及

中国ではキャッシュレス決済がすでに定着しており、現金が使えないという場面もしばしばあるようです。日本で中国人観光客を迎え入れる際には、彼らの「キャッシュレス習慣」を理解し、早急に対応を進める必要があるでしょう。

キャッシュレス化のメリットは、現金を扱う手間が省かれることだけではありません。カード等に紐づけられた顧客情報を手に入れることができ、どのような消費行動をとっているのかを読み解くことができるようになります。観光の分野でも旅行者の行動パターンをデータ化することが重要です。

観光業のデジタライゼーション

フリギーは宿泊施設や航空券の予約サービスから始まりましたが徐々に領域を拡大しています。アリババの各種サービスでの消費ユーザーは2019年10月で7億とされています。こうしたアリババのサービスと連携している点がフリギーにとって大きな強みとなっています。

予約はもちろん、旅行先を決める段階でのコンテンツ提供、購入したい商品の事前予約・支払い、そして、旅行後口コミ投稿も、すべてフリギー内で完結させることができます。

企業に対してはオリジナルツアーの企画・販売やプロモーションにも活用でき、これまで実店舗等「オフライン」の補助的な立場だった「オンライン」がますます拡大し、両者が融合した「OMO型」とされるサービスが観光業にも広がっていくと考えられます。 

中国人にとって快適な観光を知る

中国では新しいデジタルサービスに対する心理的抵抗は日本よりずっと小さくなっており、旅行にまつわる様々な消費でもデジタル化が進んでいます。

旅行中の買い物も事前にオンライン決済できる「フリギーゴー」のサービスなどが利用されており、「旅行中はただ体験を楽しむだけ」というスタイルが注目されています。

フリギーだけに限らず、実際にターゲット市場の人々が使っているアプリ等のサービスインバウンド市場開拓の戦略を練る際の参考になります。どういった体験が中国人旅行者にとって新鮮に感じられるのか、あるいは不必要な手続きと感じられてしまうのかを見極めることで、中国市場の需要を取り込めるようなサービスや製品を生み出すことができるでしょう。

<参照>

メルミライ:中国で「決済革命」の次は「OMO」だ

アリババ公式サイト:中国トップクラスの旅行サービスプラットフォームFliggy(フリギー)

Digital PR Platform:旅マエに海外商品を閲覧・購入できる「フリギー購」サービスを開始

GloTechTrends:Fliggyが提供する旅前免税ショッピング予約システム「FliggyBuy(フリギー購)」にビックカメラが参加!

JR西日本:JR西日本とアリババグループの提携について

http://www.techweb.com.cn/internet/2019-10-17/2758943.shtml

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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