宮崎県「神話」で九州最下位脱出なるか?東アジアに賭けるインバウンド施策、3市場の特徴を整理

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オリンピックイヤーでもある今年2020年は、今まで以上にインバウンド誘致に期待が寄せられています。

宮崎県はインバウンド対策として、アジア圏の人々をメインターゲットに様々な施策を行っています。

この記事では、宮崎県が行っているインバウンド対策と事例、ダーゲット国の特徴についてご紹介します。


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宮崎県で行われているインバウンド施策

宮崎では県をあげて、観光促進を目的とした様々なインバウンド施策を行っています。

楽天トラベル」が発表した同サービスにおける2017年9月15日~10月15日の予約人泊数(=予約人数×泊数)のうち、外国語サイト経由での予約について、宮崎県は前年比で約3.1倍を記録しました。この伸び率は、千葉に次ぐ全国2位という快挙です。

その中でも注目度の高い施策を3つご紹介します。

神話の里として人気上昇中

観光市場における宮崎県は、「神話のふるさと みやざき」というブランドイメージの認知度が高まっています。中でも日本神話にゆかりのある「天岩戸神社」「天安河原」などの観光地が人気を集めています。

日本神話を切り口として「神話の源流~はじまりの物語」を企画し、ストーリ仕立てでイベントやプロモーションを行っています。

具体的なインバウント対策としては、英語で神話の内容を説明した「Roots of Japan」や神々の恋の物語を元に神話にゆかりのある観光スポットを紹介する「宮崎恋旅 キャンペーンブック」の繁体字版を製作などが挙げられます。

みやざきサイクルツーリズム推進事業

インバウンド集客を目的として、サイクリングを楽しんでもらうために宮崎県の美しい自然や料理などの観光資源を活かしたサイクルツージルムの確立を目指した取り組みが行われています。

2017年8月には、サイクルツアーパッケージ作成に向けた香港の旅行会社の視察が実施されました。また、同年11月からは県内3地区においてサイクルガイド養成講座が実施されています。

東アジア等インバウンド推進事業

東アジアなどインバウンド推進事業として、国際定期便が就航している韓国、台湾、香港に向けた知名度向上への施策やインバウンド需要が増加傾向にある東南アジア地域向けの観光誘致を推進しています。

外国人向けのクルーズ船の整備やプロモーション活動を強化しています。具体的な事例については、後ほど詳しく解説します。

宮崎県の情報

宮崎県のインバウンド需要は九州で最下位であり、改善の余地があるといえます。2016年には、中国のクルーズ船を誘致することに成功しており、今後のインバウンド施策に期待が寄せられています。

それでは、宮崎県のインバウンド需要や対応状況について、データを用いながら解説していきます。

インバウンド需要

観光庁が発表した統計データによると、2018年の訪問者数は194,138人であり、全国第33位です。

訪日外国人宿泊者数は326,530人泊であり、全国第31位、 訪日外国人の平均宿泊数は3.6泊、インバウンド消費金額は29,316円であり、全国第34位となります。

冒頭で説明したように、各地域の認知度向上によるインバウンド需要の拡大が期待できます。他県と比べると、訪問数や消費額が少ないですが、対応状況はどうなっているのでしょうか。次で解説します。

対応状況

宮崎県におけるインバウンド向けの対応状況を紹介します。Japan.Free Wi-Fi登録施設は1,408施設であり、全国第36位、外国人観光案内所設置数は10施設であり、全国第44位です。

また、施設内案内表示の英語化率は25%-50%、おもてなし認証規格登録事業者の数は147件で、全国第41位、免税店の数は219店舗で、全国第36位となります。

他県と比較すると、宮崎県はインバウンド対策への環境が整っていないといえます。インバウンド環境が整っていない分、環境整備を行った事業者は有利といえるでしょう。まずは、インバウンド需要に対応できる環境整備が重要です。

宮崎県のインバウンド需要

訪日外国人の訪問率、訪問数、さらにはインバウンド宿泊人泊数も九州・沖縄地方では最下位となっている宮崎県。しかしながら、全国でみれば平均並をやや下回る程度のインバウンド需要を持っています。


香港・台湾・韓国がターゲット

南九州地域におけるインバウンド観光客の意識動向調査によると、宮崎を訪問してみたいと回答した外国人は香港、台湾、韓国が多く、特に香港では宮崎の認知度が5割を超えています。

今後はこれら3つの国からの観光客がターゲットになると考えられるでしょう。それでは、各国の観光客の特徴をみていきましょう。

香港の旅行者の特徴

宮崎県を訪問した香港の訪日外国人は2018年に44,278人でした。

香港の旅行者の特徴は、「7月と12月がシーズン」「個別手配旅行の多さ」「リピーター率の高さ」の3点です。それぞれ詳しく解説します。

7月と12月で訪日香港人全体の約2割を占めます。7月は香港では夏休みとなるため家族旅行などで訪れる香港人が多いようです。

また12月には、温泉やスキーを目的に訪れる香港人が多い傾向にあります。訪日香港人のほとんどが個別手配旅行または個人向けのツアーでの訪日旅行です。

また、訪日香港人のリピーター率は86%であり、その中でも約15%は日本に10回以上訪れているリピーターです。日本との距離が近いことや平均収入が高いことが要因だと考えられます。

訪日香港人観光客の特徴

香港は中国の特別行政区ですが、インバウンドマーケティングを行ううえでは同国とは別途対応が必要な地域です。歴史的な事情からイギリスの強い影響を受けており、香港人は中国とは異なる習慣、感性を持っているためです。

台湾の旅行者の特徴

2018年に宮崎県を訪れた訪日台湾人は49,361人でした。台湾では日本での流行を把握し、流行りのお店やイベントに目当てに日本に訪れる台湾人も少なくないといいます。

電通チームクールジャパンの調査(2018年)「日本に対する好意度 ランキング トップ10」によると、台湾は親日な国ランキングで同率1位に選ばれました。また「訪日意向 ランキング トップ5」でも5位にランクインしています。

台湾では日本のアイドルやテレビ番組は広く浸透しており、日本に親近感を抱く台湾人が多いといわれています。

訪日台湾人の特徴は、「春季から夏季にかけてがシーズン」「親日」「リピーター率の高さ」の3つです。

4月は清明節、7月以降は夏休みに入るため、この期間が多い要因となります。

2018年における訪日台湾人のリピーター率は約82%です。先ほど解説して香港に次いで2番目にリピーター率の高さを記録しています。距離が近いことや親日な国民性がリピーターを支えているようです。

訪日台湾人観光客の特徴

親日家が多いことで知られる台湾は、中国に次いで世界で2番目に日本観光が盛んな地域です。訪日台湾人観光客はテレビ番組などから日本の最新情報を入手していることが多く、人気のエンターテイメントや話題の商品についてよく知っています。

韓国の旅行者の特徴

2018年に宮崎県を訪れた訪日韓国人は61,706人でした。訪日韓国人の特徴は、「12月〜1月がシーズン」「リピーター率の高さ」「滞在日数の短さ」の3つです。

12月〜1月が訪日韓国人が最も多く訪れる季節で、2018年1月における訪日韓国人は約80万で2018年全体の約1割を占めました。韓国の大学では、12月から2月にかけて長期休暇となり、スキーや温泉を楽しむために日本に訪れると考えられます。

訪日香港人、訪日台湾人と同様、訪日韓国人は高いリピーター率が高いという特徴があり2018年には訪日韓国人の約72%がリピーターでした。ソウルから東京までは2時間でいけることもあり、気軽にくる観光客が多いと考えられます。

訪日韓国人の滞在日数は、全体の約36%が3日以内と、短期間での渡航が多い傾向にあります。週末に気軽に観光する方をはじめ、出張目的で日本に訪れる人も多いようです。

ただし政治関係の悪化により、訪日韓国人が減少するリスクも考慮する必要があります。

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宮崎県の強みを活かした施策を

宮崎のインバウンド需要は九州で最下位であり、今後の増加に期待されています。Free Wi-Fiや観光案内所の数が少なく、インバウンドに向けた環境整備が必要でしょう。

宮崎県にでは、日本神話にゆかりのある神社や美しい自然があり、それらを活用したインバウンド施策が推進されています。

インバウンド向けの環境を整え、各国の旅行者の特徴を押さえたアプローチが重要となります。ターゲットの特徴を把握して、それぞれに響く宮崎県の魅力訴求が待たれます。

<参照>

自治体国際化協会:事例紹介

県広報みやざき:記紀編さん記念事業推進室MTがご紹介!

宮崎県:平成29年度 宮崎県観光主要施策

株式会社日本政策投資銀行:南九州地域におけるインバウンド観光客の意向調査

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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