新型コロナウイルス「指定感染病」「検疫感染症」に閣議決定:強制入院や就業制限が可能に・2003年以降5例目・日本国内を対象

公開日:2020年01月28日

世界で感染が広がっている新型コロナウイルスを「指定感染病」にすることが、本日28日、閣議決定されました。 また同時に、水際対策の強化につながる、「検疫感染症」に指定するための政令も決定されています。

それぞれの政令の意味、また今回の新型肺炎に対してこのような決定が下された意義について整理します。

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「指定感染症」とは?今までと何が変わるのか?

「指定感染症」とはなんなのか、指定されることによって今までと何が変わるのか解説します。

過去の「指定感染症」

聞き慣れない「指定感染症」という言葉に事態の深刻さを強く感じる人もいるのではないでしょうか。

これまで、下記の感染症が「指定感染症」として決定されています。

  • SARS(2003年)
  • H5N1型鳥インフルエンザ(2006年)
  • H7N9型鳥インフルエンザ(2013年)
  • MARS(2014年)

新型コロナウイルスはMARS以来、5年ぶりの「指定感染症」に決定された事例で、史上5例目です。

「指定感染症」で何が変わるのか?

「指定感染症」の決定により、都道府県知事は日本国内にいる人を対象に、指定感染症に罹患した人物に対し法律に基づき強制的な措置をとることができるようになります。

強制的な措置とは、

  • 強制入院
  • 就業制限
  • 医師は保健所への報告義務化
  • 接触者の把握・追跡

この政令なしには、新型コロナウイルス感染症患者または疑いのある人に対する就業制限や入院などを強制することはできません。これまで日本で発症が確認された患者については、すべて本人の協力のもとで医療機関の受診や入院といった対応が行われていました。

しかし今後は、医師が入院などの措置が必要と判断した場合には、強制的に入院、隔離措置が可能となります。また、入院した場合の入院費用は、公費で賄われます

今まで医師の協力で行われていた保健所への報告が義務化することで、より正確な全体把握が可能となるでしょう。

さらに感染症患者と長時間の接触などがあり、感染している恐れのある接触者について、その把握や健康状態の確認に法的拘束力が発生します。今まではあくまで本人の同意に基づく協力を原則に勧められてきましたが、感染拡大の阻止を目的に、法律に基づく対応がとられます。

「指定感染症」の有効期間は1年間

「指定感染症」の有効期間は1年(その後1年の延長が可能)の暫定措置です。

暫定措置期間が満了した場合、必要に応じて1~5類の感染症に分類されます。1類がもっとも危険度が高い感染症です。

過去に「指定感染症」に指定されたSARSや鳥インフルエンザなどは、現在2類に分類されています。

「検疫感染症」とは?どんな対策がとられるのか?

「検疫感染症」とは主に水際対策を行うために作成された政令です。

「検疫感染症」の対象となるのは国内に常在しない感染症です。病原体が国内に侵入することを防止するため、法的拘束力をもった措置がとられることになります。

  • 検疫所による質問、診察、検査
  • 消毒
  • 入国拒否

政令の決定までは、空港等の入国審査前にサーモグラフィーで発熱の確認をしつつ、体調不良などは自己申告の呼びかけに止まっていました。

今後は検疫所による質問や感染が疑わしい人に対して診察、検査が可能となります。また、もしも感染者が確認された場合には、感染患者が利用した場所に対する消毒が行われます。

入国拒否はしない方針

WHO(世界保健機構)は今月23日、新型コロナウイルスをめぐる国際的な公衆衛生上の緊急事態の宣言を見送っていましたが、26日夜に公表した日報で、ウイルスのリスクについて「中国では非常に高い、周辺地域では高い、世界的にも高い」とし、世界的なリスクを誤って「中程度」と表記していたと説明しています。

本日28日、コロナウイルス対策推進本部会議で、武漢からのツアー客を乗せたバスを運転していた60代男性(奈良在住)が、新型コロナウイルスに感染したと発表しました。

この事例は、日本国内で人から人へ感染した可能性があるとのことです。

体調不良、コロナウイルスの感染が疑わしい場合の対応

ホテルや飲食店などでは多くの外国人観光客の利用があり、中には体調不良を訴える人がいる可能性があります。インバウンド事業者は冷静な判断と対応が求められます。

  1. 保健所または病院に連絡し指示を仰ぐ
  2. 保健所の指示で医療機関への受診が必要な場合は、医療機関へ移動
  3. 消毒などの対応

新型コロナウイルスは初期症状が風邪などと同じでわかりにくく、またあらわれる症状も様々です。自己判断は難しく、まずは保健所や病院などに連絡し、指示を仰ぎましょう。

病院は免疫力の下がった患者が多くおり、もしも新型コロナウイルスにかかっていた場合、感染を拡大してしまう可能性があります。病院側も対応に準備が必要ですので、まずは電話で連絡をとることが望ましいと考えられます。

感染経路は明確にわかっていませんが、風邪などと同様に飛沫感染や接触感染が疑われています。施設内でも不特定多数の人の手が触れやすいドアノブなどの消毒を徹底することで感染のリスクが下げられると考えられます。

また多くの人は訪れる施設では、施設利用者や従業員に対し積極的にアルコール消毒などの協力を促すと良いでしょう。

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適切な対処と配慮とは

新型コロナウイルスの脅威を評価し、日本でもリスクをコントロールするための体制が整えられました。「指定感染症」「検疫感染症」の閣議決定により、感染拡大阻止の措置が全国で行われます。

ネット上では様々な情報が流れ、憶測が不安を呼んでいる状況が続いています。最新情報を取り入れることは大切ですが、正しい情報と正しい知識を身に付けることが重要です。

感染のリスクを恐れるあまり、不確定な根拠から感染源に見当をつけ、その存在を排除するような呼びかけや態度には、個人でも組織でも十分注意するべきでしょう。

<参照>

厚生労働省:指定感染症及び検疫感染症について

厚生労働省:中華人民共和国湖北省武漢市における新型コロナウイルス関連肺炎について(令和2年1月27日版)

AFPNews:新型ウイルス、世界リスクを誤評価 WHO「高」に訂正

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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