鈴木外務副大臣は29日、武漢市にいる60代日本人男性が重い肺炎を発症し、入院中であることを明らかにしました。菅官房長官は29日午後の会見で、入院先の病院から陽性反応の疑いが高いが判定結果は確定していないとしています。
厚労省の30日夜の会見によれば、日本国内の感染確認が14名となりました。
そのうち奈良県在住の男性(60代)は武漢市への渡航歴がなく、1月中旬に、武漢市からの中国人観光客ツアー客を乗せたバスを運転していたといい、人から人への感染例の可能性が高いとされています。
新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を受けて、政府はチャーター機を派遣し、中国に滞在する日本人から帰国希望者を順次乗せ、帰国させています。31日朝には日本人149人をのせた第三便が日本に到着し、これで武漢市に在留していた日本人のうち、565名が帰国したことになります。
帰国者の状況と政府の対応に対する反応、今後の見通しについて解説します。
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武漢から565名帰国、中国側検査により一部搭乗できず
武漢市に在留している約710名のうち、帰国を希望する日本国籍の206名が、28日に第一便のチャーター機で帰国しました。
武漢からの出国前に帰国者は全員メディカルチェックを受けていますが、帰国した人のうち4名が咳や発熱、体調不良を訴え、都内の病院へ搬送されています。
またチャーター機到着後に体調不良を訴えた方が1名いたということですが、医療機関で現在も受診をされているとのことです。
いずれの方も新型コロナウイルス(COVID-19)との関連性は明確になっていません。
体調不良などがない場合でも全ての人が、ウイルス検査や体調面のケアのために医療機関の受診をしています。
また、日本政府は緊急援助物資として、以下の救援物資を提供したとのことです。
- マスク 約1万5,000個
- 手袋 5万双
- 防護メガネ 8,000個
- サージカルマスク 2,000枚
- 個人用防護服セット 50セット
第二便、第三便のチャーター機が羽田空港到着
30日朝、チャーター機の第二便が羽田空港に到着しました。
第二便には現地から日本国籍の210名が搭乗し、帰国しました。そのうち26名が到着時に発熱などの症状を訴え、入院しました。
26名のうち、13名は日本到着時に発熱などの症状があったため病院へ搬送、のこりの13名は発熱などの症状はなかったものの、国立国際医療研究センターにてウイルス検査を受けた結果、入院することとなりました。
31日午前にチャーター機の第三便が羽田空港に到着し、現地から149名の日本人が帰国しました。149名の搭乗者も同様にウイルス検査がなされる予定です。
第3便の到着により、チャーター機による帰国者は合計565名となりました。
外務省幹部によると、帰国希望者のうち一部は搭乗前の中国側の検査により、搭乗できなかったといいます。
帰国者と残留している帰国希望者の対応は?
今回帰国した565名は、今後どうなるのでしょうか。また、まだ武漢市に在留している日本人の中にも、帰国を希望している人もいるといいます。
こうした人々への対応について、現時点でわかっている内容をお伝えします。
帰国者の今後の対応
国立国際医療研究センターでのウイルス検査の結果が出るまでの間、帰国者は
- 東京やその近郊に住む人の場合、政府が用意したバスで自宅の最寄り駅まで移送、途中でどこかに立ち寄ることなく自宅に帰り、その後は外出を控え自宅待機
- 家族や勤務先の車によって途中でどこかに立ち寄ることなく自宅に帰り、その後は外出を控えて自宅待機
- 政府が用意したバスで国立国際医療研究センターから千葉県勝浦市内のホテルに移動し、ホテルの部屋で待機
することとなっています。また検査結果でウイルスが陰性だった場合でも、政府は帰国者に対し、帰国後2週間の外出を控え自宅待機を要請しています。
さらに帰国者とその家族へ生活上で注意すべき点を伝え、健康状態の確認を引き続き行うとしています。
残された帰国希望者への対応
31日に行われた記者会見にて官房長官は、現地にて帰国を希望する日本人がまだ約140名のこっていることに言及し、あらゆる手段をもって帰国を希望する日本人全員が早急に帰国できるよう調整を進めていると発表しています。
また、現時点では第四便のチャーター機派遣についての明確な時間や、今後の回数などについては言及せず情勢を見極める考えを示しています。
日本政府の対応に賛否両論
収束の目処が立たず感染拡大が世界的に広がる中、武漢市からチャーター機で日本人が帰国したニュースに、政府の対応に疑問を唱える声が上がっています。
このような意見がある一方で、冷静な判断を求める声も上がっています。
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2月1日、新型コロナウイルス「指定感染症」などにする政令施行:2月7日から前倒しに
現在まで、新型コロナウイルス(COVID-19)は「指定感染症」ではなく、法的根拠をもった対応を行うのは難しい状況でしたが、あす2月1日に「指定感染症」などにする政令が施行されることとなりました。
「指定感染症」になることにより、医療機関へ入院させることや、一定期間就業をさせないといった就業制限の勧告に法的根拠が生まれ、強制力を持つようになります。
当初、政府は先に国内での感染拡大を防ぐため、感染症法の「指定感染症」と検疫法の「検疫感染症」に指定するための政令を閣議決定し、来月7日に施行するとしていました。
しかし、本日31日安倍総理大臣は衆議院予算委員会の集中審議にて、「WHO=世界保健機関が緊急事態を宣言したことを受け、あす2月1日から施行することにした」と発表し、施行日が前倒しされることとなりました。
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新型コロナウイルス、各国ワクチン開発急ぐ
中国の国家衛生健康委員会(NHC)は29日、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染者がSARSを上回る5,974名、亡くなった方は132名と発表しました。
日本では本日までに565名の日本人が帰国し、安堵と共に日本政府の対応に関する不満の声も上がっています。
日本国内でヒトからヒトへ感染した可能性が高い事例が確認された直後であったため、不安がいっそう強まったようです。
新型コロナウイルス(COVID-19)に関する情報は現時点では乏しく、各国でも対応は分かれています。
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そんな中、1月23日に新型コロナウイルス(COVID-19)のワクチン開発を促進するため、CEPI(感染症流行対策イノベーション連合)はInovio社(米国)とクイーンズランド大学(オーストラリア)、Moderna社(米国)、米国国立アレルギー感染症研究所(NIAID)とパートナーシップを締結すると発表しました。
CEPIは厚生労働省が創設に関わり資金提供も行っている機関で、2017年1月ダボス会議において発足した官民連携パートナーシップです。
現在、新型コロナウイルス(COVID-19)に対し有効な治療法は確立されていませんが、世界が協力しワクチンを開発することで事態が終息に向かうことが期待されます。
個人でできることとしては引き続き、手洗いやうがい、咳エチケット、消毒などの基本的衛生管理の徹底ということになります。また、人混みを避けるといった感染予防の心がけも重要でしょう。
<参照>
外務省:チャーター便の武漢到着:支援物資の中国側への引き渡し
外務省:湖北省に在留する方々の帰国のためのチャーター便の武漢出発
内閣官房新型インフルエンザ等対策室:新型コロナウイルスに関連した感染症対策に関する関係閣僚会議
厚生労働省:新型コロナウイルスに対するワクチン開発を進めます
首相官邸:内閣官房長官記者会見
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