鳥取県のインバウンド事例 | 訪日韓国人が多い鳥取、日韓関係悪化の影響は?

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鳥取県には、インバウンド観光客に人気の鳥取砂丘や米子温泉、ゲゲゲの鬼太郎で有名な水木しげるロード、人気アニメ名探偵コナンの聖地などの観光資源があります。

鳥取県は楽天トラベルの「2018年 訪日旅行人気上昇都道府県ランキング」において人気上昇第1位にランクインするなど集客を着実に伸ばしており、まだまだインバウンドにおける成長が見込める地域です。

この記事では鳥取県のインバウンド需要や韓国との関係、インバウンド事例について解説します。


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2018年の鳥取県のインバウンド需要はどうだった?

鳥取県は、訪日外国人にも人気のアニメの「聖地巡礼」スポットとしても知られます。「ゲゲゲの鬼太郎」作者の水木しげる氏、「名探偵コナン」作者の青山剛昌氏の故郷であり、両氏の作品を活用して地域振興を自治体主導で進めるなど、インバウンド対応に県政を上げて取り組み始めています。

まずは、2018年のインバウンドデータをもとに鳥取県のインバウンド需要をみていきます。

鳥取県のインバウンド基本情報

鳥取県のインバウンド基本情報としては、2018年において、訪問者数は12万6,452人で全国第38位、平均宿泊日数は3.8泊、1人1回あたり旅行消費単価は3万5,056円で全国28位となっています。

しかし、鳥取県のJapan.Free Wi-Fi登録施設は699施設で全国第47位、観光案内所設置数は10施設で全国第44位、免税店は128店舗で全国43位と受け入れ体制整備が遅れている状況にあります。

韓国人観光客の占める割合が多い

鳥取に訪れる外国人観光客は、韓国43.56%、香港19.53%、台湾13.55%、中国9.15%の順となっています。

日本全体としては中国人観光客が多い中で、鳥取での外国人観光客の割合は、韓国人の占める割合が高いことが特徴になります。

▲鳥取県に来ている訪日外国人の割合:訪日ラボ「鳥取県のインバウンド需要」
▲鳥取県に来ている訪日外国人の割合:訪日ラボ「鳥取県のインバウンド需要」

鳥取県を訪問する外国人観光客で消費している金額が一番高いのは香港で、次に韓国、中国と続きます。

▲鳥取県でインバウンド消費している金額の割合:訪日ラボ「鳥取県のインバウンド需要」
▲鳥取県でインバウンド消費している金額の割合:訪日ラボ「鳥取県のインバウンド需要」

また、視点をかえて、鳥取県を訪れる訪日外国人数が多い国籍TOP5のなかで、1人あたり消費額を比較して見てみます。このなかでは、やはり中国人観光客が消費額が最も多く、買い物費に多く支出している様子が見られます。

▲鳥取県に来ている訪日外国人TOP5のインバウンド消費金額:訪日ラボ「鳥取県のインバウンド需要」
▲鳥取県に来ている訪日外国人TOP5のインバウンド消費金額:訪日ラボ「鳥取県のインバウンド需要」

鳥取県のインバウンド需要

訪日外国人の訪問率や訪問数を見ても、現状インバウンド需要はそれほど高くないと言える鳥取県。


なぜ鳥取県には韓国人が多い?

2018年から2019年前半にかけて、日本と韓国を結ぶLCCの数は拡大傾向にありました。そのため、韓国人観光客が手軽に日本旅行を楽しめるような環境になっていました。

東京から大阪を結ぶ観光ルート「ゴールデンルート」や、地理的に近い九州地方の人気が高いものの、鳥取県の知名度は徐々に上がりつつあります。

では韓国人観光客の受入れに成果を上げている鳥取県の取組手法や今後の課題について見てみましょう。

1. LCCの増便など交通インフラの整備

鳥取県では、交通インフラの強化に力を入れています。例えば、米子空港のLCCの便数の増強です。それまで、韓国LCC格安航空会社)が週5便就航していたところ、航空会社より週3便に減らしたいとの要請がありました。これに対し、県政を上げての粘り強い交渉の末に、週6便と以前よりも多くのLCC便が渡航するようになり、韓国からの交通アクセスが更に改善されました。

さらに、県政の努力に刺激されて、九州に本社があるタクシー会社が、韓国の旅行会社と組んで米子市の観光プラン商品を販売し、韓国からの観光客の集客に力を入れています。

そして、鳥取県内のタクシー会社では韓国語で予約できる観光ツアーを販売し、韓国からの集客に努めています。

2. 宣伝PRに韓国のスターやテレビ番組を活用

2018年にはK-POPスターが鳥取県で撮影したテレビ番組が話題となりました。

鳥取県庁と以前から交流していた韓国の事業者から韓国のエンターテイメント会社を紹介してもらい、撮影が実現したといいます。

また、韓国の有名芸能人がエアソウル就航地を旅する韓国ケーブルテレビの旅行番組「飛行機に乗って行こう」の取材陣30名が鳥取県を訪れています。

そして、韓国からの更なる集客の向上のために、エアソウルと提携して、ディスカウントチケット販売促進キャンペーンを実施しました。

韓国人搭乗者数が過去最高に!鳥取県、米子

目次増便により利便性が大幅に向上韓国からのインバウンドを積極的に誘客増便により利便性が大幅に向上鳥取県は、4月5日、エアソウル米子ソウル国際定期便の平成30年度及び平成31年3月利用実績を発表しました。エアソウル米子ソウル国際定期便は、平成30年10月28日、週6便に増便。米子ソウル便の平成13年4月の就航以来、韓国人搭乗者数は、過去最高を記録しました。エアソウル米子ソウル国際定期便韓国からのインバウンドを積極的に誘客エアソウル米子支店の調査によれば、韓国人搭乗者数の平成30年度(4月~3...

3. 日韓関係悪化の影響もチラリ

慰安婦問題や徴用工訴訟問題、自衛隊機へのレーダー照射問題が取りざたされている中で、日本は半導体に必要な3品目の韓国への輸出規制を強化しました。

韓国でも日韓の関係悪化は大きな問題となっていて、訪日観光旅行をボイコットする動きも出ています。

鳥取では県政を上げて、韓国からの観光客の増加を目指してインバウンド対策を行っていますが、日韓関係の悪化に伴い韓国人観光客の減少が目立ってきています

いわゆる「ボイコットジャパン」運動の影響が2019年下半期以降も色濃くでるのではないかと懸念されています。

韓国、日本の輸出規制に反発「訪日旅行ボイコット」か:2020年・4,000万人インバウンドに警鐘

徴用工訴訟問題をはじめ、慰安婦問題や自衛隊機へのレーダー照射問題など様々な問題が取り沙汰されている韓国ですが、日本政府は7月4日、韓国との信頼関係が著しく損なわれたとして、半導体の製造に必要な3品目の輸出規制を強化しました。このニュースは、韓国でも驚きをもって報じられており、対日感情の悪化が韓国社会で更に進むことは想像に難くありません。訪日韓国人の人数は年々増加の傾向を示していますが、今後のインバウンドにはどのような影響が考えられるのでしょうか。目次日本政府は韓国への輸出規制を強化、韓国政...

【韓国の反応】日本旅行を計画していた韓国人「69.3%」キャンセルの衝撃:韓国シンクタンク最新調査で判明

9月12日から9月14日は韓国のお盆、「秋夕(チュソク)」です。 本来ならこの時期に日本旅行に来る韓国人も多いですが、今年は日韓関係の悪化に伴い、双国への旅行者減のニュースが目立ちます。 韓国の文化観光研究院はこれに先立ち、韓国人の日本旅行に関するアンケート調査を実施しました。 [com_category_dl_btn name="インバウンドコンサル(総合)" slug="consulting"] ※Twitterの日本語訳は特に断りのない場合、訪日ラボ編集部による。 ...


鳥取県のインバウンド取組事例

ここからは県政を上げてインバウンド対応を取り始めている鳥取県が、現在取り組んでいるインバウンド対応の実際の取組を見ていきます。

1. H.I.S×鳥取県 インバウンド観光推進に関する協定を締結

鳥取県は拡大が見込める東南アジア地域の訪日観光需要獲得に向けて、2019年5月に、株式会社エイチ・アイ・エスとインバウンド観光振興に関する協定を結びました。

イベントへの共同出展やベトナムの旅行会社を対象とした鳥取ツアー説明会、ベトナム~鳥取間の国際線チャーター便による送客などの事業展開を実施し、今後は東南アジア及び南アジアから鳥取県への外国人観光客の誘客の促進を目指し、鳥取県の観光振興に取り組んでいくことを目的としています。

2. 「食のみやこ鳥取県」の魅力をPR

農林水産部市場開拓局食のみやこ推進課では「食のみやこ鳥取県」の食材や、飲食店での接客のための外国語訳をフレーズ化した「指さしコミュニケーションシート」を作成して、飲食店においてのインバウンド需要受入れ体制の充実を図っています。

「指さしコミュニケーションシート」は英・繋体字・簡体字・韓国語で表現しており、鳥取の食材、そして、調理方法も説明できるようになっています。

「食のみやこ鳥取県推進サポーター」に登録されている県内飲食店およそ340店舗に配布されています。

▲[指さしコミュニケーションシート]:農林水産部市場開拓局食のみやこ推進課より引用
▲[指さしコミュニケーションシート]:農林水産部市場開拓局食のみやこ推進課より引用
▲[指さしコミュニケーションシート]:農林水産部市場開拓局食のみやこ推進課より引用
▲[指さしコミュニケーションシート]:農林水産部市場開拓局食のみやこ推進課より引用

3. 広域連携DMO「一般社団法人 山陰インバウンド機構」

山陰インバウンド機構は知名度の低いエリアにおける認知度向上を目指し、CtoC人材マッチングサービス"Huber"と連携して、外国人観光客向け観光ガイドマッチングサービスを強化しています。

地域の人が案内することによって、点在する観光資源を効率よく周遊でき、二次交通問題の緩和も期待されています。

また、周遊パスポートアプリ「Visit San' in Tourist Pass」を開発しています。

この周遊パスポートは、外国人観光客を対象として、鳥取・島根県内の施設や無料利用や、割引・特典が受けられるものです。

そして、山陰へのダイレクトな訪日経路である国際空港や国際港に加え、地方空港、鉄道網、高速道路など国内の山陰への入り口を「ゲートウェイ」として捉え、すでに訪日している外国人観光客対し、これらのゲートウェイからの訪問を目指すゲートウェイ戦略」を展開するなど、鳥取県はそのほかにも多様なインバウンド対応に取り組んでいます。

これからの鳥取インバウンドの伸びに期待

鳥取県の外国人観光客宿泊者数は2014年には7万9,900人でしたが、2018年には14万7,050人と大幅に宿泊者数を増やしてきています。

これは、県政を上げて、山陰地方へのアクセスを積極的にアピールする「ゲートウェイ戦略」、「TOMODACHIGUIDE」の観光ガイドマッチングサービス、「食のみやこ鳥取県」の食材、飲食店でのインバウンド対応のための「指さしコミュニケーションシート」などのインバウンド需要拡大のための取組が着々と浸透してきている表れでしょう。

韓国人観光客が多い鳥取県では、最近の日韓関係の悪化に伴って、一時的に韓国人観光客数が減少していますが、インバウンド需要対策による外国人観光客の増加は着実に根付いてきており、これからますます期待がかかるところです。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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