毎年多くの訪日客を魅了する日本の桜は、いまや日本の重要な観光資源の1つです。実際に、2019年4月の訪日外国人旅行者数は夏休みシーズンを抑え約290万人と、年間で最も多くの訪日客が訪れた月となりました。
しかし2020年は、新型コロナウイルスの影響からインバウンドの花見客の激減が懸念されています。2020年の桜開花予想と日本の桜が人気となっている理由をふまえ、インバウンドの花見動向を解説します。
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2020年桜の開花時期
2020年は暖冬の影響から、平年より大幅に早い桜の開花が予想されています。3月も一時的な寒の戻り以外は気温が高めの日が続くと見られており、花見シーズン到来は早まるといえるでしょう。早咲きで知られる河津桜も今年は開花がさらに早まり、例年より約1週間早い2月12日に「見ごろ宣言」が発表されました。
3月5日にウェザーマップが発表した「さくら開花前線」によると、東京は3月14日、福岡は3月17日、大阪は3月20日、仙台は3月25日、札幌は4月24日の開花と見込まれています。
桜のインバウンド市場のポテンシャル
世界にはそもそも桜のない国も多いほか、桜があっても植え方や種類、楽しみ方は日本と異なるため、日本の桜や花見文化は特別に映るようです。お隣の中国でも、日本のようなブルーシートを敷いて食事や飲酒をしながらの花見は見受けられないため、日本ならではの体験として人気があります。アメリカやスウェーデン、オランダ、ドイツなど、世界各地にも桜が見られる場所はあり、日本式の花見を楽しむなど、日本文化のイベントが合わせて開催されるところも見受けられます。「桜=日本文化の1つ」といったイメージが浸透したことから、日本を訪れて本物の花見を体験したいといった需要があると考えられるでしょう。
桜のインバウンド需要
1996年に設立され、現在、月間約180万人のユーザー*が閲覧している「ジャパンガイド」は、英語圏からのアクセスが上位を占めている訪日観光客向けの情報ポータルサイトです。今回は「桜」をテーマに、各スポットの評価や、ユーザーから寄せられる質問などを見て行きたいと思います。目次前年の夏からお花見計画を立てる訪日観光客もジャパンガイドで人気の桜スポット 外国人が興味を抱く「お花見文化」まとめ:短い桜シーズンを逃さぬよう、余裕を持った事前準備を前年の夏からお花見計画を立てる訪日観光客もまず全体の傾...
日本でインバウンドに人気の花見スポット3選
インバウンドの間で特に人気となっている、日本の花見スポットについて紹介します。
インバウンドに人気のスポット1. 静岡県河津町
例年、毎年2月上~中旬から約1か月の期間「河津桜まつり」を開催している静岡県河津町には、人口約7,500人に対し約100万人の観光客が訪れます。河津桜の開花時期はちょうど中国の春節の時期に当たるため、中華圏からの訪日客が多いのが特徴です。最近ではタイやシンガポール、ベトナムなど東南アジアからの訪日客も増えてきました。英語・繁体字・簡体字・韓国語・タイ語のウェブサイトとパンフレットも整備しているほか、河津観光のホームページでは羽田空港や成田空港からの距離感が地図でわかりやすく示されています。
いまや「河津桜まつり」の来場者の3割が訪日客とのことで、2009年から積極的に行ってきたインバウンド対策の成果がうかがえます。
インバウンドに人気のスポット2. 青森県弘前公園
東北の桜の名所の1つである弘前公園は、インバウンドにも人気のスポットです。約50種類2,600本もの桜が咲き、日本らしい城をバックにした景観のほか、ボートレンタルやライトアップといったさまざまな楽しみ方ができる点が、人気の理由の1つといえます。「弘前さくらまつり」の開催にあわせて、「たびすけ合同会社西谷」は、期間限定の『手ぶらで観桜会』というプランを3万円で訪日客向けに提供しています。
開花時期が多少ずれる桜ですが、本プランでは催行当日のベストスポットへ忍者姿のスタッフが案内し、ここでしか味わえない津軽の郷土料理を楽しんでもらうといった内容です。食事は津軽塗の2段重で提供され、津軽塗の箸や津軽ビードロのお猪口はお土産として持ち帰れるほか、地場産の食材や酒を堪能できるとして、例年10日間で100〜200人の訪日客が参加します。
インバウンドに人気のスポット3. 祇園白川さくらライトアップ
インバウンドに人気の観光地である、京都・祇園を流れる白川沿道では、花見シーズンにライトアップが実施されます。2017年には観桜客のマナーの悪化や混雑などにより一度中止されていましたが、2019年より再開されました。
国の重要伝統的建造物群保存地区の指定を受けている、祇園新橋の歴史ある風景とともに、ソメイヨシノからしだれ桜までさまざまな桜が見られます。周辺通り沿いには約300基の花灯路が設置され、日本ならではの幻想的な風景が楽しめることから、インバウンドからの注目もますます高まるでしょう。
京都の夜桜が楽しめるライトアップスポット! 見所と観光公害について解説
人気観光地の京都には桜を楽しめるスポットも多く、春には国内外から多くの観光客が観桜を目的に京都を訪れます。特に人気があるのは夜桜で、京都府内に点在する桜の名所では開花時期に合わせてライトアップも行われています。しかし、近年では観桜目的の観光客による観光公害も多く発生しており、一部ではライトアップが中止されることもありました。この記事では、京都府内の夜桜を楽しめるスポットと観光公害およびその対策について解説します。関連記事鹿以外も見て…?」奈良県の悲願、脱・日帰り県!京都通は「朝」に「さらに...
4月は欧米+タイ市場のハイシーズン
欧米圏では、4月に4日ほどのイースター休暇があり、前後1〜2週間とあわせて長期休暇を取るケースが増えています。ちょうど日本の花見シーズンと重なるため、4月は欧米圏からのインバウンド需要が大きくなります。2020年は4月10日〜13日とされていますが、国や地域により違いがあるため注意が必要です。
一方アジア圏でも、タイでは毎年4月13日〜15日にかけて、ソンクラーンと呼ばれる旧正月を迎えます。1年で最大の旅行シーズンとされ、近年は日本も人気の旅行先となりました。2019年4月には前年同月比10.9%増、過去最高となる164,800人のタイ人観光客が日本を訪れ、桜シーズンに合わせた訪日旅行の人気度がうかがえます。
イースター休暇とは
欧米圏のインバウンド市場について考えるときに、キリスト教徒にとって重要な聖日の「イースター」についての理解は欠かせません。日本ではあまり話題にならない「イースター」は日本語では「復活祭」を意味します。キリスト教徒の多い欧米人は、前後に休暇をとって1週間程度の長期休暇とするケースが多く、夏休みのバカンスの次に長い休暇である場合も少なくありません。この記事では、2019年・2019年のイースター休暇の日程や世界各国の過ごし方を紹介します。また、イースター休暇と欧米圏インバウンド市場との関係を解...
まとめ:2020年花見シーズンは新型肺炎の動向にも注意
毎年多くの訪日客が訪れる花見シーズンですが、2020年は新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けて、行政から都立公園や河川敷などでの宴会自粛要請が出るなど、例年とは違った光景となることが予想されます。インバウンドの花見シーズンの動向は、新型肺炎の動向にも注意しながら見ていく必要があるでしょう。
日本文化、そして観光資源の1つとしてインバウンドを魅了する日本の桜ですが、祇園白川さくらライトアップが以前中止されたように、マナー喚起も重要な課題です。撮影に夢中になり桜の木の枝を折るという事態も発生していたことから、自然保護の観点からも、観桜のマナーについてインバウンド向けにも発信することが重要です。
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<参照>
・ウェザーマップ:さくら開花予想2020
・朝日新聞DIGITAL:河津桜、1週間早い「見ごろ宣言」ほぼ満開の木も
・JNTO:訪日外客数(2019年12月および年間推計値)
・All About:お花見は世界共通の文化!?海外の桜名所と楽しみ方
・ECzine:「アンケート結果から微修正」を繰り返し、桜祭りが有名に 河津町のインバウンド対策委員長に聞く
・もしもしにっぽん:2,600本の桜がお出迎え!青森県・弘前最大のまつり「弘前さくらまつり」
・NIKKEI STYLE:外国人に3万円の花見 青森の料理や器、手ぶらで満喫
・祇園白川ライトアップ実行委員会:公式ウェブサイト
・Globalize:タイの旧正月「ソンクラーン」はいつ?タイ人観光客のピーク時期を知ろう
・YAHOO! JAPAN:「インバウンド激減危機」は桜の開花時期に本格化?新型肺炎が花見観光に与える打撃
・朝日新聞DIGITAL:お花見宴会の自粛を要請 東京都「長時間飲食はリスク」
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