北関東に位置する群馬県は、「草津温泉」「伊香保温泉」といった天下の名湯と呼ばれる有名な温泉があることで有名です。
温泉以外にも、2014年に世界遺産に登録された「富岡製糸場」をはじめ、日本の歴史を感じられる史跡も存在します。
首都圏からのアクセスが良い群馬県ですが、インバウンドという側面ではどのような事例があり、そしてどのような対策をとっているのでしょうか。
この記事では、群馬県のインバウンド動向、インバウンド事例について解説します。
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群馬県のインバウンド動向
まずは、群馬県のインバウンド動向に関するデータを紹介します。
年間の訪問者数や宿泊数、消費金額から群馬県におけるインバウンドを取り巻く環境、現状と課題についてまとめます。
群馬県におけるインバウンドの現状と課題
観光庁の発表によれば、2018年の1年間で群馬県を訪れた外国人客数は16万7,719人で、全国第36位という結果でした。
訪日外国人宿泊数は28万9,400人で全国第34位と、インバウンド需要は全国と比較すると低めの水準となっています。
一方で、1人あたりのインバウンド消費金額では58,692円で、全国第8位と比較的高めの結果でした。
訪日外国人観光客がよく利用するといわれる外国人観光案内所設置数は県内に8施設、全国第46位という結果でした。
訪日外国人観光客の受け入れ体制では、課題が残されているといえるでしょう。
訪日外国人国別割合
群馬県を訪れる訪日外国人のうち、最も多くを占めるのは台湾からの訪日客で、次いで中国、香港と、アジア圏からの訪日客がよく訪れています。
インバウンド消費金額の割合も同様の傾向がみられ、順位は台湾、香港、中国となっています。
一方、1人1回当たり消費単価では、1位が中国、2位にアメリカ、3位に韓国と続いており、アメリカの消費金額の高さが目立ちます。
多くの訪日台湾人が群馬県を訪れている要因としては、台中市や高雄市などとの友好協力協定による親交や、積極的なプロモーションを行っていることが考えられます。
群馬県のインバウンド需要
群馬県は全国平均からすると訪日外国人の訪問率、訪問数、インバウンド宿泊人泊数共に平均より少々下、といった数値になっていますが、東京を中心とした関東圏においてはインバウンドにおいて出遅れているといえるでしょう。
群馬県は訪日観光客の対策に前向き
群馬県では、訪日外国人観光客誘致の対策に前向きに取り組んでいます。
現時点では訪日外国人観光客の集客に課題を残していますが、将来的にインバウンド需要を地方創生の柱としたい方針がうかがえます。
以下、群馬県の訪日外国人観光客誘致のための対策について解説します。
訪日外国人観光客誘致のため、観光施設募集
群馬県では、同県を訪れる訪日外国人観光客を増加させるために協力しあうパートナー施設を募集しています。
パートナー施設の募集対象となるのは訪日外国人観光客誘致に興味を持つ県内の観光事業者で、旅館やホテルなどの宿泊施設、レジャー施設、小売店、飲食店などが該当します。
登録にあたって費用は無料で、施設名や連絡先、外国人受け入れについての簡単なアンケートを記入した申込書を提出すると登録できます。
パートナー施設として登録すると、群馬県が実施するインバウンド施設向け勉強会への参加や、補助金や統計、各種インバウンド情報が掲載されたメールマガジンを受信できます。
インバウンド施設向け勉強会は年に4回、メールマガジンの配信は毎月行われており、群馬県が積極的に訪日外国人観光客の誘致に力を入れていることがわかります。
インバウンド受入勉強会の開催
パートナー施設に登録している施設の従業員を対象として催されるインバウンド受入勉強会は、インバウンドに関する課題解決やネットワーク形成のための場として利用されています。
2019年9月に開催された勉強会では、観光業界やインバウンド関連業界におけるエキスパートである、じゃらんリサーチセンターの研究員を招いて近年のインバウンド動向、外国人観光客の情報メディアや検討行動、即時実施可能なインバウンド対策についての研修が行われました。
コト消費の一部である体験型コンテンツ、キャッシュレス対応など、最新のトレンドについて精通した人物から話を聞くことができる機会を設けています。
群馬県のDMOとインバウンド対策事例を紹介
DMOとは、観光地や自然、食、歴史、芸能など地域における観光資源に精通した、観光促進を目指す法人を指します。
群馬県内にもさまざまなDMOが設立されており、それぞれが地域に特化した観光促進のための取り組みを進めています。
以下では、群馬県内のDMOとインバウンド対策事例について解説します。
前橋観光コンベンション協会
前橋観光コンベンション協会とは、前橋市および周辺地域における観光促進を目的とした公益財団法人です。
グリーンドーム前橋や群馬県民会館などの施設を活用して会議や大会の誘致のための取り組みをはじめとして、さまざまな取り組みに尽力しています。
取り組みの一例として、前橋観光ガイドの「まちたびまえばし」をインターネット上で配信していることが挙げられます。
オンライン配信という手法は、埼玉県三芳町にて先行導入されていたものをいちはやく取り入れました。
パンフレットを印刷、製本して置いているDMOは少なくありませんが、紙媒体の場合、印刷部数の見積もりを誤ったり、発行後まもなく情報が古くなってしまったりというリスクがあります。インターネット上で公開することによって、コストを抑えて常に最新情報を共有できるようにしています。
みなかみ町観光協会
みなかみ町観光協会とは、みなかみ町の魅力を伝えるための活動に取り組むDMOです。
新聞や雑誌、テレビ、ラジオなど、さまざまなメディアにおいてみなかみ町を取り上げてもらえるよう、広報活動に特に力を入れています。
案内所ではコンシェルジュによる観光案内をしており、ニーズに合わせた観光ルートの提案ができる他、リーズナブルな観光チケットの販売もしています。
また、みなかみ町を訪れた観光客がストレスなく観光を楽しめるよう、手荷物の預かりサービスも展開しています。
訪日外国人は大きな荷物を持つことが多いため、ニーズを汲み取った上での施策といえるでしょう。
群馬県観光物産国際協会
群馬県観光物産国際協会とは、県内における観光物産事業の発展、振興のために活動するDMOです。
特に国際交流の促進に伴う観光物産事業の発展を目指しており、海外に向けたプロモーションに注力しています。
温泉や自然、文化など、県内の観光資源を活用して集客に取り組む「はばたけ群馬観光プラン2016-2019」や多言語対応公式サイト「ググっとぐんま」を運営する群馬県のプロモーション支援にあたっています。
「はばたけ群馬観光プラン」は1987年から続く観光振興計画で、それぞれの時代に合わせ、計画を策定しています。
また、「ググっとぐんま」では中国語や英語、タイ語に対応することで海外向けのプロモーションに取り組んでいます。
県とDMOが協力して群馬を盛り上げる
群馬県では、訪日外国人観光客誘致に対する県レベルでの施策が充実しており、県内では地方ごとにDMOが設立され、県と共同でさまざまなインバウンド対策に取り組んでいます。
現在の群馬県のインバウンド動向は、まだまだ伸びしろを残している状況といえます。受け入れ体制の強化や効果的なプロモーションによって地元の観光資源を活かし、インバウンド需要をさらに飛躍させることが期待されます。
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