2020年3月24日、安倍首相と国際オリンピック委員会(IOC)バッハ会長の会談で、東京オリンピックの開催延期が確定されました。開会式は2021年7月23日、閉会式が8月8日となります。
インバウンド市場では人数シェア第2位の韓国ですが、2019年の夏以降、日韓の間で政治的緊張が高まり、インバウンド韓国市場は年末にかけて陰りをみせていました。
韓国では2020年の新型コロナウイルスの流行以降、東京オリンピック開催に対する様々な意見が出てきました。
この記事では、オリンピック延期に関して韓国で報道されたニュースや、ネットユーザーの反応について紹介します。
また、オリンピック延期による韓国にとっての経済的損失や、今後韓国がすすめる対策についても解説します。
※訳はすべて、訪日ラボ編集部によるもの
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韓国人の東京オリンピック延期に対する反応
韓国では、4月9日に韓国での新型コロナウイルスの感染者数は累計1万423人になったことが発表されています。
中国での感染拡大が伝えられた年明けから国家的に危機感を持ち、外出時のマスク着用を奨励し、外出自粛など感染防止に力を注いできています。
東京オリンピックの開催については、ウイルスが拡散するのではないかと心配の声が挙げられていました。
韓国国内で普及するウェブメディア、ネットサービスから、オリンピックの延期に対する意見を紹介します。
オリンピック延期に対する反対意見はほとんどない
現地メディアでは以下のように延期を「当然」と伝えるものが見られました。
今回のオリンピックは延期するべきで、当然の決定だった。
参考:https://news.joins.com/article/23738764
加えて韓国最大のコミュニティサイトであるNAVERカフェにおいても、「仕方ない」「正しい判断」と延期を擁護する声が上がっています。
コロナの時代に今年は仕方ない、来年にしよう。
参考:https://cafe.naver.com/sssw/10424370
このままオリンピック開催したら抑えようもなく地球規模に広がって行くはず。正しい判断
https://cafe.naver.com/ilovegm1/1729010
また、これまでオリンピックの射撃競技で金メダル4つを獲得している秦鍾午選手は、東京オリンピック延期に対して以下の通り話しています。
世の中が災難で騒いでる。活動を自粛し、より早期にウィルスを撲滅するのが優先だ。この事態を安易に考えたり長引いたりしたら選手として心理的に不安になる。世界平和のために始まったたオリンピックなのに、開催しては選手がお互いに大きな迷惑をかけるかもしれない。1日でも早く決定されてよかったと思う。
韓国のプロゴルファー高眞榮も、インタビューに以下のように答えています。
選手みんなが感じる虚脱感は大きいが、何より健康を大事にするべきだ。この1年もっと練習して来年優勝を狙う。
対応の遅れを非難する声も
今回の延期決定に対する賛成の意見の一方、対応の遅れを非難する反応もみられました。
現地メディアでは、延期の遅れを責める声がありました。
もう手遅れだ。韓国の事例からみて、日本も同様に非常事態になりそうで心配。
参考:http://www.ohmynews.com/NWS_Web/View/at_pg.aspx?CNTN_CD=A0002625457
また、TwitterやNAVERでも、日本政府やIOCの対応の遅れを疑問視する声が上がっています。
参考:https://blog.naver.com/synabro68/221871112220日本、安倍首相は東京オリンピックの延期や中止による経済的損失を恐れて、オリンピックを強行しようとしていた。しかし、カナダをはじめとする多くの国が不参加を表明し、選手たちの健康や安全を危惧する声により、延期の決定をせざるを得なかった。また、延期後の感染者数の増加や検査の実施数の増加を見る限り、オリンピック開催のために感染者数の操作を行っていた疑惑が浮上している。
訳:東京オリンピック、IOC延期発表。いいニュースとはいえないが、世界のみんなの安全のため。より早めに決定したらよかったのに。
オリンピック延期で韓国企業への経済的ダメージは
専門家は今回のオリンピック延期で日本においてさらなる景気悪化が発生すると予想しています。
2020年に開催される東京オリンピックに向けて、マーケティングに取り組み、事業計画を立ててきた韓国の大手企業もその影響を受けることは避けられないようです。
延期発表で大打撃…韓国の大手企業:サムスン、LG
サムスン(Samsung Electronics/三星電子株式会社)は、韓国を代表する企業の一つです。
東京オリンピックのオフィシャルスポンサー80社の一つで、唯一の韓国企業となっています。
トヨタ、コカコーラ、visaなどの14企業とともに五輪の最上位スポンサーシップのワールドワイドオリンピックパートナーでもあり、オリンピック開催で得られる広報効果は相当大きいとみられています。
同社は、日本国内のスマートフォン市場での占有率がアップルやシャープより低いため、日本の5G時代の開幕と2020東京オリンピックをきっかけとして日本市場への進出を準備してきたところでした。今回の、オリンピックの延期を受け、こうした計画は大幅に狂わされたようです。
韓国の電子分野でサムスンとライバル関係にあるLG(LG Electronics/電子株式会社)も同じような境遇にあります。
LGはOLED(有機物質を使った発光ダイオード)で日本のTV市場への進出を試みており、東京オリンピックでTV需要が増加すると予想していました。
NHKが全競技の生放送を8K(超高画質)で行うと発表したため、2020東京五輪をきっかけに8KTV市場が本格的に振興すると推測していました。
しかし、オリンピックという販売を後押しするはずのイベントが来年にずれてしまい、戦略を大きく修正する必要に迫られています。
選手村に滞在の選手に帰宅措置、韓国人の新型コロナへの不安感
大韓体育会は27日まで、選手村に滞在していた全種目の選手を帰宅させると発表しました。代表選手団は長期間外出制限を受けており、こうした環境要因の疲労が心配されています。
選手村の衛生の確保を目的に、これから3週以降の入村時期や方法は、外部環境を考慮して決定する予定となっているそうです。
東京オリンピック延期に対して、韓国のネット上では肯定的な言葉が確認できました。批判のポイントは、延期の決定が遅すぎるという部分に集まっており、韓国における新型コロナウイルスのへの恐怖心の大きさがうかがえます。
消費者心理は、このように現地報道からもその一端をのぞくことができます。
新型コロナウイルスの収束後の観光市場の復興を踏まえ、観光産業に関係する企業や組織は継続して情報発信していく必要があります。その際、どのような形、どのようなメッセージが受け入れられやすいのかについて、消費者心理を前提に検討するべきでしょう。
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<参照>
聯合ニュース:韓国の新規コロナ感染者が40人未満に 完治7千人に迫る
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