居合道×インバウンドの可能性「武道ツーリズム」成功事例 山形県村山市の体験プログラム

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日本が観光立国を目指す中で、「武道ツーリズム」による地域活性化インバウンド誘客の事例が増えています。

武道ツーリズムは、スポーツツーリズムの一形態の「みる」スポーツツーリズムとして、海外各国からの支持を集めています。

武道の一つに居合道があります。

山形県村山市は居合道の創始者である林崎甚助源重信の出生地であり、居合道発祥の地として今なお多くの剣士に親しまれています。同市は今、訪日外国人に向けた「サムライ体験」として、居合道の体験プログラムを展開しています。

この取り組みは、武道と観光とをかけ合わせた「武道ツーリズム」の一例として注目を集めており、インバウンド観光による地域経済の活性化が大いに期待されています。

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居合道とは?

居合道は室町時代末期にその起源をもち、その有用性が故に古来から武芸一般に広く取り入れられてきました。和を極めることを究極の目的とし、技に加えて心も修行することで、人間としての道徳観念を身につけることを重要視しています。

礼儀正しい日本人の精神基盤とも言われ、現在も心の練磨をすべく修行に励む人が絶えません。

居合道の歴史

居合は四半世紀以上の時を経て現在にまで伝わる剣技であり、その歴史は永禄(室町時代末期・1558~1570年)にまで遡ります。創始者の林崎甚助源重信は現在の山形県村山市出身で、同地にある日本一社林崎居合神社合気道発祥の地として知られています。

居合道には流派が多く、従来は個人が演武を披露するだけでした。しかし、1966年の第1回全日本居合道大会で勝敗を判定したことをきっかけに、1969年には「全日本剣道連盟居合」7本が制定されました。さらに1980年には3本が、2000年には2本が追加され、現在、技の目録は全12種類となっています。

居合道の魅力

居合道は日本刀の操縦に由来をもち、死生一如・動静一貫を目指す心身鍛錬の道です。抜刀の一瞬に勝負をかけるその厳しい修行の様から、剣道と表裏一体の関係にあるとも言われ、創始以来「武士道」の観念を育んできました。

古来、「剣の道は人を殺す事を目的とするに非ず、人を活かすものでなければならない」とされ、居合道の究極は人格の養成・和の追求であると今も教えられています。心の練磨集中力の向上優れた人間形成を目指すことが居合道の第一の目的であり、最大の魅力であることは今も昔も変わりません。

居合道の試合

居合道の試合は2名の出場者によって行われ、各人が、全日本剣道連盟居合と各流派の型のうちの計5本を演武します。試合には真剣または模擬刀が用いられ、演武する技はあらかじめ定められています。それぞれの出場者に与えられる演武の時間は6分です。

修業の深さ」「礼儀」「技の正確さ」「心構え」などを審判員が判定し、両者間の勝敗を決します。

居合道が訪日外国人に好評な理由

居合道が訪日外国人に好評な理由武士道精神を育んできた居合道は、まさに日本における伝統的な武道です。その型や精神に触れた外国人の中には、その姿や思考から「サムライ」や「ニンジャ」を思い浮かべる人も少なくないのでしょう。こうした「日本らしさ」を求めて訪日する外国人の間で、居合道への人気が高まっています。

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日本といえばサムライのイメージ

現在を生きる多くの日本人にとって、侍や忍者は身近な存在ではありません。しかし外国人の多くが、侍や忍者と日本との間に密接なイメージを持っています。

海外10か国の計2,000名を対象に行われた日本忍者協議会の調査によると、忍者を認知する外国人の6割以上は忍者の現存を信じています。同調査では、外国における忍者の認知度は98.7%であり、そのうち49.6%もの人が「忍者になりたい」と考えていることも明らかになりました。

スポーツ庁提唱「武道ツーリズム」に世界が注目

国は東京オリンピックを見据え、スポーツと観光をかけ合わせた「スポーツツーリズム」の振興に取り組んでいます。その中でも武道と観光をかけ合わせた「武道ツーリズム」は、「日本でしか体験できないスポーツと文化が融合した希少性の高いツーリズム」と定義されています。

そのためスポーツ庁は、プロモーション動画の発信やマーケティング調査などをすることで、地域や経済の活性化を図っています。

東京オリンピックで正式種目化された空手をはじめ、武道は「訪日外国人が観たいスポーツ」として人気を誇っており、武道ツーリズムが潜在的なニーズとして注目されています。

日本文化をより深く知りたいという訪日外国人をターゲットに、武道体験をきっかけとして食や伝統工芸などにも触れてもらう機会を作ることで、初期投資を押さえた地方創生が可能とされています。

しかし、交通の便が悪い地域での観光事業では、観光客に足を運ばせるほどの独自性ある魅力が求められます。また、礼に始まり礼に終わる武道の精神と観光ビジネスを両立することへの心理的抵抗を減らすため、地域における合意形成も大きな課題の一つです

居合道発祥の地、山形県村山市の居合道体験プログラム

居合道発祥の地、山形県村山市の居合道体験プログラム山形県村山市は居合道の発祥地です。

同市は居合道の体験プログラムを提供することで、日本文化や武士道精神に興味をもつ外国人を呼び込み、インバウンドによる地域活性化を図っています。

「居合道発祥の地」という独自性と観光をかけ合わせた、まさに武道ツーリズムの一例が展開されています。

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プログラム紹介

村山市の居合道体験は、山形県村山市にある林崎居合振武館で行われます。体験プログラムは、同館の近くにある日本一社林崎居合神社に参拝するところから開始します。

体験参加者は居合道の歴史や精神について学ぶほか、有段者による居合道を間近で体感したうえで体験に臨みます。作法や日本刀の扱い方をはじめ、居合道の型を学んでいきます。

「村山市居合道体験」の魅力

同プログラム最大の魅力は、林崎居合神社で居合道が体験できることです。同神社は居合道の創始者である林崎甚助重信公が修行し、後に「抜刀術」を編み出した場所です。今もなお居合道の聖地とされ、毎年全国から大勢の剣士が訪れています。

また、夢想神伝流の師範と抜刀術の師範による丁寧な指導も、魅力の一つです。身体的負担が少ないため老若男女を問わず参加でき、「刀礼作法」と呼ばれる居合道の礼儀作法から型まで、居合道の技と精神を学ぶことが可能性です。

道着から刀まで全て揃えられているため特に持ち物はなく、体験内容も初心者向けなので誰でも簡単に参加できます。着替えに便利な面ファスナー付きの袴や模擬刀なども用意され、手軽な参加に向けた工夫が凝らされています。

プログラム実施に至るまでの紆余曲折

同体験プログラムは、「合気道発祥の地」という独自の資源をインバウンドに生かす、まさに武道ツーリズムの一例だと言えます。

体験プログラムの講師には、地元の林崎居合道伝承会の幹部に加え、抜刀道家の阿部吉宏氏を招いています。外部から講師を招くことや、伝統的な武道を見せ物のように仕立て上げる「試し斬り」の導入などへの異論もありましたが、2年にわたる検討の末に地域内での合意形成に成功しました。

武道と観光ビジネスとの両立については、合気道の型や精神の基本を教えることによって成立するとみなされています。海外を含めて多くの人にその魅力が伝わるよう、そして地域の活性化が促進するよう、展開されたプログラムへの期待が高まっています。

本格的な体験プログラム作りが、居合道×インバウンドのポイントに

居合道は室町時代末期に創始されて以来、武士道の観念を育んできました。技に磨きをかけるだけでなく、心を鎮め精神を集中させるその修業は、礼儀を重んじる日本人の精神基盤を作ってきたと言っても過言ではありません。

武道が「訪日外国人が観たいスポーツ」として人気を誇っていることも相まって、日本らしさを求めて訪日する外国人にとって、居合道はまさに日本文化の象徴です。それ故、四半世紀にもわたる居合道の長い歴史について知るだけではなく、実際に剣を手にして体験したいと思う観光客は一定数見込まれます。

村山市は居合道所縁の土地として今なお親しまれており、その独自性ある特徴を大いに活かすことで、地域経済の活性化を図ります。


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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