京都市観光協会は、2020年3月分の市内宿泊施設のデータを発表しました。
近年京都市では、訪日外国人を含む観光客の集中による混雑などのオーバーツーリズムが問題となっていました。これまでも観光客へのマナー周知・啓発事業等、積極的な対策を打っています。
現在では、日本全国で新型コロナウイルスの影響で観光客が大きく減少し、様々な業界が打撃を受けています。宿泊施設の宿泊客数や客室稼働率にも顕著に表れています。
データと、2020年5月の京都府の宿泊施設をとりまく状況について整理します。
《注目ポイント》
- 外国人延べ宿泊客数は前年同月比89.5%減、特に東アジアの減少が著しい
- 客室稼働率は繁忙期にもかかわらず過去最低値に
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【京都市観光協会データ】外国人延べ宿泊客数は89.5%減(前年同月比)
京都市観光協会データ月報(2020年3月)によると、京都市の外国人延べ宿泊客数は前年同月比89.5%減でした。また、日本人延べ宿泊客数も前年同月比45.5%と半数以上減少しており、日本人・外国人合わせた総延べ宿泊客数は前年同月比66.3%減となっています。
中でも東アジアの訪日観光客の減少が98%減と著しく、中国(前年同月比 98.4%減)、台湾(同 98.7%減)、韓国(同 97.4% 減)、香港(同 94.8%減)と、未だかつてない減少となりました。
これは、新型コロナウイルスの影響で3月から中国、韓国をはじめとした国・地域に対する本格的な入国制限が行われていた影響でしょう。
また、客室稼働率は30.3%と過去最低値に、客室収益指数も77.3%減と宿泊施設へのダメージは非常に大きなものになっています。緊急事態宣言が発令された4月は国内旅行も少なくなっており、より厳しい状況となることが予想されます。
ただし、緊急事態宣言が発令されるまでは日本人の観光客が増加するという現象もみられました。中国人観光客が減ったことで、人混みを気にせず落ち着いて京都を楽しめると考えた人が多かったようで、こうした動きが4月のデータにどう影響するのか注視すべきでしょう。
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京都はオーバーツーリズムから一転、国内観光需要の回復に焦点
近年京都市では訪日外国人の増加とともに、オーバーツーリズムが問題となっており、交通機関の異常な混雑、ポイ捨て、騒音など、地元住民の生活に悪影響を与える事態にまで陥っていました。
2019年11月に京都市が発表した「『市民生活との調和を最重要視した持続可能な観光都市』の実現に向けた基本指針と具体的方策について」(中間とりまとめ)の資料では、観光政策の深化や転換が示されていました。
同資料では、混雑、宿泊施設の急増、観光客のマナー違反への対応についても言及されています。
ところが、新型コロナウイルスの流行によって、状況は一変しています。京都府は4月16日から緊急事態宣言の対象となり、飲食店や宿泊施設、観光地は休業や営業時間の短縮を求められています。
翌月5月16日からホテルや旅館の休業要請は全面的に解除となったものの、都道府県をまたぐ移動の自粛要請が続くため、経費を上回る売り上げは見込めず、営業再開は難しいと考える事業者もいるようです。
データからもわかるように訪日外国人客が減少している現在、まずは国内における新型コロナウイルスの収束のタイミングを見極め、日本人観光客を呼び戻すところから始める必要があります。
また日本人観光客の客足が戻った際には、混雑の緩和や観光客同士の間隔が確保されるような取り組みが求められていくと考えられます。
訪日外国人観光客、国内からの観光客にかかわらず、人気観光地の京都が展開するオーバーツーリズム対策には注目が集まります。
<参照>
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