過去最高1,231万人を記録できた理由は?2019年来阪外客数は前年比7.8%増/今後の課題と2020年の展望も解説【大阪観光局:2019年年間来阪外客数について】

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大阪観光局は6月1日、2019年に大阪府を訪れた訪日外国人数についてのデータを発表しました。来阪外客数は前年比7.8%増と、全国水準の2.2%増を大きく上回っています。

インバウンド市場別の傾向としては、欧米豪が増加しわずかに東アジアが減少傾向にあることがわかりました。欧米豪の増加には、6月のG20大阪サミットや9〜10月のラグビーワールドカップの開催などが影響したと考えられます。

今回は、2019年の来阪外客数のデータを分析し、長期的な課題である宿泊施設不足の解消や2020年の展望について解説します。

《注目ポイント》

  1. 前年比7.8%増、全国の水準(2.2%増)上回る
  2. 欧米豪増加、東アジアわずかに減少傾向
  3. 宿泊施設不足が長期的な課題か

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来阪外客数は1,231万人で過去最高、前年比7.8%増の高水準

▲[2019年来阪外客数の推移]:大阪観光局
▲[2019年来阪外客数の推移]:大阪観光局

2019年の年間来阪外客数は1,231万人と、過去最高を記録しました。前年比では7.8%増と大きな伸びがみられ、全国水準の2.2%増も大幅に上回りました。

来阪外客数の伸びにつながった要因として、3月のブリティッシュ・エアウェイズによるロンドンー大阪線の直行便就航、6月のG20大阪サミットの開催、9月から10月のラグビーワールドカップの開催などが考えられます。

JNTO発表、2019年の訪日外国人数は過去最高 !ラグビーなどの影響:一方韓国市場は減速【グラフで見るインバウンド】

2020年1月17日、日本政府観光局(JNTO)は訪日外国人数の2019年12月および年間推計値を発表しました。2019年の訪日外客数は、前年比2.2%増の3,188万2,000人と発表されました。JNTOが統計を取り始めた1964年以降の最高値です。一方、12月は韓国市場の減速により前年同月比4.0%減の252万6,000人となりました。今回は、市場ごとの特徴をふまえ、2019年の訪日外客数の動向を解説していきます。▲2019年12月 訪日外客数(JNTO推計値):[JNTOプレスリリー...

全体的に欧米豪増加、東アジア減少傾向

▲[2019年来阪観光客数の推移]:大阪観光局
▲[2019年来阪観光客数の推移]:大阪観光局

国・地域別の来阪外客数では、全国と同様に中国・韓国・台湾・香港・アメリカの順に多い結果となりました。

前年比は、韓国・マレーシア以外のすべての調査対象国・地域で増加しており、特に欧米豪で伸び率が高い傾向にあります。特に前年比の伸び率が高かった国としては、イギリス・ベトナム・フィリピンなどが挙げられます。イギリスは2倍以上、ベトナム・フィリピンは4割程度増加しました。

韓国は前年比67%と、全国の74%よりも低い水準となりました。これは日韓関係の悪化によるものと考えられます。

2017年からの推移を見ると、中国を除く東アジア圏はわずかに減少傾向にある一方で、欧米豪は軒並み増加傾向にあることがわかります。

その理由として、リピーター率の高い台湾・香港では、大阪を含むゴールデンルートを一通り巡り終え、地方へと足をのばす観光客が増えたことが考えられます。

観光庁訪日外国人消費動向調査によると、台湾・香港からの訪日外国人観光客は、全国籍平均と比較して東京都・千葉県・大阪府・京都府・奈良県など人気の観光地への訪問率が低いということです。一方、台湾では富山県・長野県・沖縄県、香港では福岡県、熊本県、大分県など地方部への訪問率が全国籍平均より高いことがわかっています。

欧米豪の来阪外客数の増加には、G20大阪サミットやラグビーワールドカップの開催などが影響した可能性があります。今後はIRの整備や大阪万博の開催により、さらなる欧米豪の増加が期待されます。

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今後の課題と2020年の展望:まずは日本人誘客の方針

現在は新型コロナウイルスの世界的な流行にともない、訪日外国人観光客が激減しています。一方国内では5月25日をもって全国で緊急事態宣言が解除されたことで、まずは国内の観光需要が徐々に回復していくことが期待されます。

ここでは、大阪府が観光客を再び受け入れる際に課題となる宿泊施設の確保と、2020年の展望について解説します。

今後の課題は宿泊施設の確保

観光庁の宿泊旅行統計調査によると、大阪府の2019年の宿泊施設稼働率79.5%でした。これは全国2位の数値で、全国平均の62.1%と比べてもかなり高いことがわかります。

大阪は、関西国際空港や新幹線を通じた国内外からのアクセスが便利なほか、インバウンドに人気のゴールデンルートにも入っていることから、他地域に比べ観光客数の伸び率が高いのが特徴です。加えて2025年には大阪万博の開催が予定されており、今後も訪日外国人観光客数は増加していくと予想されます。

すでに宿泊施設の稼働率が約8割に達している大阪は、このような状況下ではいずれ受け入れ可能人数の限界を超えてしまうことが懸念されます。

そこで2020年には新たに30軒以上のホテルの開業が予定されるなど、こうした長期的な宿泊施設需要の高まりに対応すべく準備が進められています。

2020年の展望:まずは国内で誘客

大阪府では宿泊施設の確保が長期的な課題である一方で、コロナ禍で訪日外国人観光客が激減した現状では、ホテルの開業が裏目に出る可能性も否定できません。緊急事態宣言にともなう外出自粛期間は約1か月半に渡り、ホテル業界のみならず大阪府の経済全体が打撃を受けています。

そこで大阪観光局は、一刻も早い観光需要の回復に向けた「がんばろう日本!We are OSAKAプロジェクト」を計画しています。大阪をはじめ関西への観光客誘客促進を図るキャンペーンとして、まずは日本人観光客の誘客を進める意向です。

政府は6月1日、タイ・ベトナム・オーストラリア・ニュージーランドの4か国に対する入国制限緩和に向けた交渉の開始を発表しました。しかし、はじめはビジネス用途での入国者を対象とし、段階的に対象を拡大していくことが見込まれるため、観光客の受け入れはまだ先となる見通しです。

そのため、大阪観光局の方針通り、まずは国内の旅行需要の回復に向けて日本人旅行客の誘客促進に注力し、コロナ禍の難局を乗り切ることが、その後のインバウンドを含む観光業の復興に大きく寄与するといえるでしょう。

<参照>

大阪観光局:2019年年間来阪客数について

大阪観光局:がんばろう日本!We are Osakaプロジェクト

観光庁:訪日外国人消費動向調査 「2019年年間値の推計」※確報値

観光庁:宿泊旅行統計調査 平成31年1月~令和元年12月分(年の速報値)

JNTO:訪日外客統計 2019年12月暫定値

日本経済新聞:入国制限緩和、月内に交渉開始 タイなど4カ国と

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コロナ禍の収束後、インバウンド需要が順調に回復を続ける中、唯一回復が大きく遅れていた中国市場。

一方、ここ数か月の間は訪日中国人客数が順調に回復してきており、訪日旅行消費額も2024年1〜3月期では台湾を抜き、1位となったことがわかっています。

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3月訪日外国人数「300万人」突破 / 2月の世界航空需要、コロナ前から完全回復【インバウンド情報まとめ 2024年4月】

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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