大阪のインバウンド成功事例とは | 黒門市場・千日前道具屋筋商店街の外国人人気の理由・戦略とは

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交通アクセスが良く豊富な観光資源に恵まれた大阪には、多くの外国人観光客が訪れており、関西観光の拠点としています。インバウンド需要の高まりに応えるため早くから多様な対策を展開してきた大阪の、先進的なインバウンド事例を紹介します。

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大阪府のインバウンド動向は?

大阪府は日本で2番目に小さい都道府県ながら、インバウンド分野では東京に次いで大きな規模の自治体です。成長を続ける大阪のインバウンド動向を振り返り、人気の理由を解説します。

大阪府のインバウンド需要は?

大阪府のインバウンド市場は東京に次ぐ規模を誇ります。昨年の訪日外国人観光客訪問率、訪日外国人観光客の訪問者数、訪日外国人観光客宿泊数のいずれもが日本で2番目という集計結果が出ています。

▼詳細はこちら

大阪府のインバウンド需要

大阪府は訪問率、訪問数ともに東京、千葉に次ぐ3位、宿泊者数においては、東京に次ぐ2位となっています。千葉県は成田空港利用が訪問率の高さに寄与しているものと見られることから、実質的なインバウンドランキングでは全国第2位といえるでしょう。

大阪府のインバウンドは急速に増加傾向

大阪府へ訪れるインバウンド客は過去5年のあいだ毎年増加を続けています。2014年には376万人であった来阪外国人客は2018年には1,142万人となり、5年間で3倍以上増えました。前年比110%以上で推移を続けており、留まるところを知らない勢いです。

なかでも中国・香港・台湾からのゲストはリピーター率が高い傾向にあります。

大阪がインバウンド人気を集める理由

大阪がこれほど外国人観光客を惹きつける理由はいくつかあります。

まず、なんといっても利便性の良さです。大阪に位置する関西国際空港には多数のLCCが就航し、11か国31都市を結ぶ航路が用意されています。ちなみに成田空港は18都市、羽田空港は5都市との航路にとどまっており、関西国際空港の利便性が際立ちます。

あわせて観光の目的地としても魅力的であることが挙げられます。

特に多くの外国観光客が訪日の目的とする「食」の分野で大阪は抜きんでているといえます。アメリカのニューヨーク・タイムズ誌は大阪について「京都を日本の精神、東京を日本の心臓とすれば、大阪は日本の飽くなき食欲だ」と紹介するなど、世界的に「食い倒れの街」として名を馳せています。

また大阪市内には大阪城USJ、あべのハルカス、通天閣など多数の観光スポットが集中しているほか、大阪からのアクセスが容易な近隣の関西エリアにも、認知度の高い観光地が多く存在し、関西旅行の拠点として注目を集めています。 

1日に訪れる客の80%が外国人、黒門市場のインバウンド対策事例とは

黒門市場は食い倒れの街・大阪の「食」を代表する商店街です。2018年時点での1日当たりの通行人数は2万9千人と、5年前より1万人以上増加しました。通行人数における外国人の割合は8割にのぼります。

1. アンケート調査による需要把握

インバウンド対応に取り組むため、黒門市場商店街振興組合では2012年より訪日外国人客を対象にアンケートを毎年実施し、ニーズの把握とサービスの改善を重ねてきました。

困ったこととして「ごみを捨てる場所がわからない」「休憩するスペースがない」「トイレが少ない」という声が多く挙げられました。これに対して、市場内で購入した食品の持ち込みが可能な無料休憩所と多言語対応のトイレを整備したり、「メニューが日本語で読めない」という問題を解消するために多言語対応のホームページやガイドブック整備したりするなど、細かな対応を続けています。

「黒門市場を知ったきっかけ」の回答1位はインターネットやブログ、2位に友人知人からの口コミと続きました。ブログや口コミが信頼できる情報として扱われ、集客効果も高いことが見て取れます。 

2. フリーのWi-Fiの設置

「黒門市場を知ったきっかけ」1位がブログや口コミであったというアンケート結果を受け、市場内の無料休憩所にフリーWi-Fiが導入されました。市場で食べ歩きを楽しむ観光客に撮影したばかりの写真をブログやSNSに投稿してもらうことで、臨場感のある情報を通じた集客を狙います。

無料休憩所は2016年に「黒門インフォメーションセンター」と名前を変えリニューアルオープンしました。英語・中国語スタッフの常駐、両替機の設置、手荷物預かりといったサービスの強化やトイレの増設など、外国人観光客のニーズに応えた拠点となっています。

同センターは2016年のSNS発信地ランキングにおいて「グルメスポット部門」全国5位にランクインするなど盛況を見せています。

3. 英語研修

黒門市場商店街振興組合の事務所では、外国人観光客とのコミュニケーション向上と接客に役立てることを目的に、週に1回程度英会話の授業が行われています。

市場での接客に使える英語に特化し、味の表現や接客時のジェスチャー、道案内に使えるフレーズなどの「習った翌日から使える」授業内容に加え、メニューや店頭POPにもアドバイスを受けられます。

この取り組みは2015年から続けられ、当初からの参加者の英会話レベルは大きく向上しました。 また、レベルが高すぎて参加をためらう見学者の声に応じて「基礎コース」も新設し、現在は幅広いレベルに対応した研修を提供しています。

これらの取り組みが功を奏し、今日の満足度の向上やリピーターの獲得につながっています。

その他の成功事例と今後の戦略

大阪にはその他にも多くの事業者がインバウンド対策に取り組み、成果を上げています。ニッチな顧客層の商店街や老舗百貨店の成功事例とともに、行政のまちづくり戦略も紹介します。

1. 千日前道具屋筋商店街

千日前道具屋筋商店街は、大阪の中心・ミナミに位置し、調理器具・厨房器具の専門店が軒をつらねる全長160mほどの歴史ある商店街です。プロの料理人の求めに応じ、道具の面から大阪の食文化を支えてきました。

日本ならではの食器や金物、厨房機器からユニフォームに至るまで、外国人にとっても興味を引くMade in Japanの多彩な品揃えが魅力であり、多くの外国人で賑わっています。ある高価格帯の包丁専門店では数万~数十万円もする包丁が、なんと1日で20~30本観光客に売れるといいます。

同商店街は国内でもかなり早い時期からアジアに目を向けたインバウンドの先駆者です。平成19年に銀聯カードを導入し、英語・韓国語・中国語版のホームページの開設やフリーWi-Fiの導入などの多くのインバウンド施策に次々と取り組んできました。平成24年には全店舗が免税店化を完了させ、タブレットを利用した多言語による免税手続きを導入しています。

商店街におけるインバウンド対策:訪日外国人観光客誘致は高齢化でシャッター通り化が進む商店街の救世主になるか

2016年9月15日の神戸新聞によると、神戸各地の商店街で、訪日外国人観光客を誘致し、地元の活性化につなげていこうという試みが始まっている模様です。例を挙げると、石畳が延びるおしゃれな街並みで知られる岡本商店街には、女性向けの洋菓子店や、美容院が多くあります。そうした強みを生かし、「少しお金持ちの40代の訪日台湾人女性観光客」をターゲットに、商店街の訪日台湾人観光客向けプロモーションビデオを制作しています。プロモーションビデオは、中国圏の旧正月である「春節」に向け、来年初めごろにYouTu...


2. 阪急阪神百貨店

阪急阪神百貨店では海外向けに多方面の対策を講じています。 特徴的なPR施策として、開店前の百貨店にインバウンド関係者を招待し店内を案内する「百貨店ツアー」があります。大阪観光局や旅行会社など外国人との接点を持つ人に百貨店の魅力を知ってもらい、誘致につなげる企画です。

来店客の利便性向上にも力を入れています。2018年にはキャッシュレス決済を強化し、「Origami Pay」や「LINE Pay」を導入しました。 

品揃えの面でも、これまで人気が高いといわれてきた「化粧品」「ジュエリー」に加え、最近購入傾向が高まっている「日本の消費者が良いと思うもの」に注目し、日本で人気があるアジア商材なども積極的に販売しています。

「机上のインバウンドはうまくいかない」売上を5年で12倍に伸ばした阪急阪神百貨店のインバウンド対策の秘訣とは?

米マスターカードが発表している世界の海外旅行市場に関するレポート「Mastercard Destination Cities Index」によれば、大阪は2009年から2016年にかけて、世界で最も海外旅行者数の年平均増加率が大きかった都市であったと述べています。具体的には大阪で2009年から2016年にかけて年平均+24.0%で外国人観光客が増加し続けています。そんな大阪で訪日外国人観光客から絶大な人気を得ているのが劇場型百貨店である「阪急うめだ本店」です。今回は株式会社阪急阪神百貨店、...


3. 大阪都市魅力創造戦略2020

大阪府と大阪市は共通の目標として「大阪都市魅力創造戦略2020」を策定しました。世界的な創造都市、国際エンターテイメント都市へ加速し、2020年に向けて大阪を世界へアピールすることを目指します。

この戦略は、大きく2つの戦略目標で構成されています。ひとつは「内外から人、モノ、投資等を呼び込む『強い大阪』の実現」、もうひとつが「世界に存在感を示す『大阪』の実現」です。さらに分野ごとに目指すべき都市像を設定し、具体的な施策を展開します。

観光・都市魅力の分野では4つの都市像が設定され、それぞれの課題がプロジェクトに落とし込まれています。

重点取り組み事項として、ハード面ではWi-Fi設置の拡充、観光公衆トイレの整備促進や宿泊施設における「おもてなし」環境の整備促進といった施策を推進しています。あわせて、観光ボランティアの育成や多言語対応の強化、留学生受け入れ・定着支援事業などの事業を通じ人的資源の育成を進めます。 

大阪のインバウンド成功事例を参考にインバウンド対策に取り組もう

大阪は東京に次ぐインバウンド成功都市としての結果を出しています。成功の土台としてはLCCの発着数や関西観光の拠点という地理的な要素だけでなく、受入れ側の各観光スポットにおける徹底的なインバウンド目線での取り組みが欠かせない要素であったといえます。

成功事例はどれも示唆に富み、取り組みの参考となるでしょう。府・市・民間が一丸となり、国際観光都市として更なる発展を目指す大阪の「これから」に大きな期待が寄せられています。


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【セミナーレポート】「桜シーズン」に向けたインバウンド施策のポイント


2023年は2,500万人の外国人旅行者が訪れた日本のインバウンド市場。コロナ前の2019年に迫る勢いの回復をみせており、2024年の訪日外国人数は3,000万人を上回るとの予想もあります。

日本を訪れる外国人旅行者の間で、特に人気が高いアクティビティが「桜の鑑賞」です。桜の開花時期に合わせて日本を訪れる外国人も多く、日本の重要な観光資源の一つとなっています。

そこで訪日ラボでは、「『桜シーズン』に向けたインバウンド施策のポイント」と題したセミナーを開催しました。
登壇者としては、インバウンドの動向に詳しい訪日ラボ インバウンド事業部長 川西哲平に加え、台湾に本社を置くビッグデータカンパニーVpon JAPAN株式会社営業本部 会田健介氏をお呼びし、「桜」に関するインバウンドデータをもとに、訪日外国人旅行者の最新動向と、「桜のシーズン」に集客を向上させるためのポイントを解説しました。

本セミナーは大好評につきアーカイブ配信を行っておりますので、ぜひご覧ください。

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【インバウンド情報まとめ 2024年3月】2023年年間宿泊者数 1位は韓国 他

訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。

この記事では、2024年3月版レポートから、2月〜3月のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。

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インバウンド情報まとめ 2024年3月

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

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