「Z世代」の旅行スタイルの特徴とは? 通底する価値観・消費傾向・効果的なアプローチ方法を解説

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SNSの発達によって、さまざまな旅行体験が人々の間で共有されるようになっています。

そういった今日の状況において、インバウンドを含むあらゆる分野で存在感を発揮しつつあるのが、Z世代と呼ばれる人々です。

そこで、Z世代とはどういった世代なのかといった基本的なことから、Z世代の旅行の特徴や誘致方法といった、インバウンド事業を企画するうえで重要な情報まで詳しく紹介します。

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Z世代はどんな人たち?

Z世代は現在の10代から20代前半の世代を指し、10年後には経済の主流を握る存在となるため、その消費行動には大きな注目が集まっています。

まずはZ世代の定義、およびZ世代が有する価値観と特徴について解説します。

Z世代とは

Z世代」とは、1990年代後半から2000年に生まれた世代のことを指し、現在の10代から20代前半の世代が該当します。

1960年から1974年に生まれた世代がX世代、1975年から1990年代前半に生まれた世代がY世代といわれており、X世代やY世代に続く世代であることから、Z世代と名付けられました。

Y世代はミレニアル世代とも称されるため、Z世代ポストミレニアル世代と呼ばれることがあります。アメリカではZ世代が総人口の26%を占めており、非常に大きな影響力を持った購買層となっています。

10年後には経済の主流を握る存在となるため、Z世代に注目が集まっています。

Z世代の価値観

Z世代の価値観には、「デジタルネイティブ」として育ったという背景が深く関係しています。

幼い頃よりインターネットに囲まれた環境で育ったため、インスタグラムやTwitterのようなSNSを通じて、自分の近状報告や価値観を発信すること、日常的にオンライン上でコミュニケーションをとることに慣れています。

ソーシャルメディア活用とコンサルティングサービスを提供するループス・コミュニケーションズが、2018年に発表した「「若年層の価値観・ライフスタイルに関する調査」Z世代レポート2018」によると、「自分が気に入れば有名ブランドの商品でなくても良い」という選択肢における16〜21歳の男女該当率は59.6%にのぼっています。

これは、幼少期からSNSを通じて多様な価値観に触れてきたことが理由として挙げられ、自分を周りと合わせるのではなく、自分に合うコミュニティーや価値観を探す傾向があることがわかります。

Z世代の特徴

デジタルネイティブとして育ったZ世代の日常において、SNSは友達や仲間を繋ぐ重要なコミュニケーションツールです。SNSを通じて、特定の人間とプライベートを共有する傾向があります。

多様性を重んじるZ世代は「自分の好きなもの」を大切にしているため、新しい物や高価なブランドものに必ずしも惹かれるとは限りません。最近、Z世代の注目を集めている「チェキ」や「フィルムカメラ」が例として挙げられます。

「新しさ」のような単一の価値を提供する商品では、SNSで日々新しい商品や流行に触れているZ世代のニーズを十分に満たせない場合があります。SNSによるさまざまな交流で培われた多様性が、Z世代の最大の特徴といえるでしょう。

そして、Z世代は社会問題に関心を持っており、とりわけ環境問題に強い関心を抱いています。2019年にデロイトトーマツが実施した「ミレニアル年次調査」によると、Z世代がもっとも関心をはらっている社会課題として、気候変動・環境保護・自然災害があげられています。

Z世代の旅行

Z世代に関する基本的な事柄について紹介してきました。従来の世代とは大きく異なるZ世代の価値観や特徴は、旅行へ行く際にも顕著に表れます。ここでは、「旅マエ」に焦点を当て、Z世代の旅行計画の仕方を解説します。

最新インバウンドマーケティング!旅マエ・旅ナカ・旅アトとは?

先月末10月31日、インバウンド業界を盛り上げるニュースが発表されました。国土交通省は、今年1月からの累計訪日外国人観光客数が、10月30日に2000万人を超えたことを発表しました。このペースで行けば2016年は2500万人弱の訪日外国人観光客数を望め、東京オリンピック・パラリンピックが開かれる2020年に4000万人という目標に向けて着々と増加しつつあります。しかしながら、訪日中国人観光客の伸びが鈍化していたり、為替相場に影響され日本円ベースでの訪日外国人消費額の減少などが騒がれており、...

旅行の決定

デジタルネイティブであるZ世代が旅先を選ぶときにも、SNSは重要な役割を果たしています。

宿泊予約サイトBooking.comが、2019年、日本を含む世界29カ国の16〜24歳計5,452名を対象に実施した調査によると、Z世代が旅先を選ぶ際に最も参考にするのは、インスタグラムとなっています。旅行先の選定や、観光地やレストランの詳細情報を調べる際に、ハッシュタグでの検索機能が用いられています。

同調査では世界、そして日本のZ世代のうち、それぞれ45%、24%が「インフルエンサーや芸能人など、個人的に知らない人からのおすすめ情報を信用する」と回答しており、インフルエンサーや芸能人が載せている写真や情報がZ世代の主要な情報源となっていることがうかがえます。

旅先で重視すること

Z世代は旅先での消費行動や訪問場所などにも特徴があります。

2017年、世界青年学生教育旅行連盟(WYSE Travel Confederation)が世界188カ国5万7,000人以上に実施した調査によると、「旅行にかける費用」として最も支持を集めたのは37%を占めた飲食費でした。

反対に、従来の観光において「贅沢」の象徴であった宿泊先や飛行機のアップグレードは最も人気がなく、それぞれ僅か6%、4%となっており、旅先の様々な体験、特に地域の特産のグルメなど飲食に関する消費を惜しまない傾向が顕著に表れています。

近年注目される「インスタ映え」も、Z世代の旅行では重要な位置を占めます。写真映えする観光地やスポットを訪れて、撮った写真をインスタグラムに載せることも、Z世代の旅行においては大切な目的の一つとなっています。

旅行の予約方法、計画

デジタルネイティブであるZ世代が旅行を計画するうえで、最新メディアとオンライン予約は外すことができません。パソコン、スマートフォン、タブレットから予約をするため、宿泊先の公式サイトからの直接予約や、インターネット上でのみ旅行商品を取り扱うオンライン旅行代理店(OTA)を利用するのが主流となっています。

旅先で情報収集を行う際には、パンフレットよりもスマートフォンを活用することが多いです。世界青年学生教育旅行連盟が実施した同調査では、Z世代の回答者の3/4近くが2017年にスマートフォンから1回以上の旅行予約をしていることから、「Z世代はデジタルネイティブであり、スマートフォンやWiFiがある環境で育ったため、「観光案内所や旅行業者が配布するパンフレットは利用しないだろう」と結論づけています。

そのため、宿泊施設を選ぶとき、Z世代「Wi-Fi 環境」が整っていることを何よりも重視します。Z世代をターゲットにした旅行事業では、「Wi-Fi 環境」を整備することが重要となります。

Z世代への効果的なアプローチ方法とは

最後に、Z世代の注目を集める企業によるメディアの活用方法を紹介します。これまでに紹介してきた、Z世代の「旅マエ」に顕著な行動を踏まえて、満足度向上に向けた取り組みのポイントを紹介します。

メディアの活用

Z世代の注目を集める企業は、インスタグラムを効果的に活用しています。Z世代はインスタグラムのハッシュタグや位置情報機能から旅先の情報を得るため、企業は、Z世代の検索ニーズに合致する写真、コンテンツ、情報を載せる必要があります。

インスタグラムを活用した、キャンペーンやZ世代の関心が高い芸能人やインフルエンサーとのコラボレーション企画の実施も有効です。Booking.comが実施した調査で明らかになっているように、世界のZ世代のうち45%はインフルエンサーの情報を参考にして旅行先を決定するともいわれており、このことからも旅行商品のプロモーションにおけるインフルエンサーの強い影響力がうかがえます。

さらに、Z世代は社会問題に関連した投稿をしたり、信念を掲げたりしている企業に、より高い関心を持ちます。

アメリカで若者世代のマーケティングを手がけるFuse Marketingが2015年10月に発表した調査によると、Z世代のうち57%は人権や人種、性的指向等の社会的テーマに対して信念を持つブランドを支持し、85%は企業は社会問題について責任を負う義務があるとしています。

しかし、ブランドが信念を掲げることですぐに売上につながる、といったことはありません。先ほど紹介したZ世代の価値観などを参考に、自社ブランドが掲げる信念のなかから、彼らの共感が得られる部分を探っていくことが求められます。

投稿する際には、多様性を尊重するZ世代の価値観を考慮して、多様な人種や体型のモデルを起用するといった工夫も必要となるでしょう。

ユニークな経験の提供

Z世代が旅先で求めるユニークな体験とは、「パーソナライズされた体験」を意味します。つまり、個人が持つ趣味嗜好と合致した体験ということになります。

インスタグラムやSNSでは、各ユーザーの好きな写真やコンテンツがAI機能などを通じて、使えば使うほどカスタマイズされていきます。このように、「自分が好きなもの」を提供してもらうことに慣れているZ世代は、「ただのサービス・特典」では満足しません。

そこで重要となるのが、データを蓄積して顧客の志向を把握すること、データの反映によって、より個人に特化したプランを提供することです。

Z世代は、提供されるサービスのコンテンツがそれぞれの嗜好に合わせて再構成されていくことをよしとします。同様に、入会からしばらく経過した会員を優遇するなど、会員の登録期間の長短などによって、待遇に差が出る仕組みも望んでいます。

データをうまく活用し、Z世代との間に確かな関係を構築し続けることが、旅行企業に対して求められています。

オンライン予約プラットフォームの整備

Z世代に対して、共感やユニークな体験を提供していくためには、オンライン予約プラットフォームの仕組みを整えることが最低限求められます。Z世代において、旅行の主な予約方法がスマートフォンやタブレットからのオンライン予約となっているためです。

予約プラットフォームを整備する際、特におさえておきたいのが、「PMS(Property Management System)」と「サイトコントローラー」です。PMSは宿泊施設の情報管理業務を効率化し、スタッフの負担を軽減するため、より質の高いサービスを提供することが可能となります。

OTAなどの予約サイトを一元的に管理できるサイトコントローラーは、複数の予約サイト間でのダブルブッキングといった、予約の機会が損なわれる可能性を減らすことにつながります。

事業者の立場においても、オンライン予約の仕組みを整えることは、Z世代のデータの収集、予約管理の効率化、スタッフの負担軽減などにつながるため、これまで以上に長期的な事業展望を立てやすくなると予想されます。将来的には、Z世代が主役となる経済において、より一層の発展を遂げていくのに役立つでしょう。

Z世代の価値観を理解した情報の提供を

インバウンド拡大を目指すうえで、今後経済活動の担い手となるZ世代のニーズに対応することは、極めて重要です。従来の高級なホテルやアップグレードされた航空チケットなどの「贅沢」を前面に出したサービスだけでは、Z世代をとり込むことはできません。

「自分の好きなもの」に重きをおく、SNSを活用する、といったZ世代の特徴を把握し、有用な情報の提供といった対策を講じることが必要となります。オンライン予約やWi-Fi環境の整備などの積極的なデジタル化への取り組みも、より一層求められるようになるでしょう。

<参照>

Fuse Marketing:Your Future Consumer’s Views on Social Activism and Cause Marketing and How It Differs from What Millennials Think

ブッキング・ドットコム・ジャパン:「Z世代」と旅行に関しての調査

デロイト・トーマツ:2019年デロイトミレニアル年次調査 社会不和と技術革新によりディスラプトされた世代



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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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