ニューツーリズムとは?訪日外国人に人気・テーマ別観光の具体例

ニューツーリズムとは、訪問先での人や自然との交流を重要するタイプの旅行です。

訪日外国人にも、体験を重視する傾向が年々強まっており、こうしたタイプの旅行者は特に消費単価が高いこともあり、インバウンド市場全体でも意識すべきトピックとなっています。

今回は「ニューツーリズム」をテーマにしたインバウンド対策について紹介します。

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ニューツーリズムとは?

「多くの人にこの地を訪れてもらいたい」という願いから、新たなインバウンド観光対策を取り入れたいと考えている人のために、まずは「ニューツーリズムとは何か?」から、詳しく説明します。

テーマ性を重視した旅行

ニューツーリズムとは1990年代に生まれた、テーマ性のある新しい旅行スタイルのことです。

これまでの観光旅行は、あちらこちらを見物して回る物見遊山型のスタイルが常でしたが、ニューツーリズムはそうしたスタイルとは異なります。

その地域特有の産業にふれたり、自然や歴史、文化を体験したり、長く同じ場所に滞在することで現地の人との交流を楽しんだりなど、特定のテーマ性を持った旅行のことをニューツーリズムと表現しています。

ニューツーリズムは訪日外国人の新たなニーズに応えるもので、さらなる旅行の楽しみ方を追求するスタイルといえます。

ニューツーリズムの特徴

ニューツーリズムは大人数で複数の観光名所を見て回り、名の知れた旅館やホテルに宿泊する従来の旅行スタイルとは異なり、ある特定のテーマのもとに体験や交流を楽しむ旅行スタイルです。

ツアー旅行が当たり前となった今、旅行に対する観光客のニーズは多様化しており「今までとは違う、深い体験をしたい」という人が増えてきています。

より多くの「日本らしさ」を求める外国からの旅行者にとって、ニューツーリズムの取り組みは親和性の高い旅行の提供につながります。

テーマ別観光による地方誘客事業

観光庁が「ニューツーリズムの振興」に代わって平成28年度(2016年度)から取り組んでいるのが「テーマ別観光による地方誘客事業」です。

この事業は食や文化財、ドラマや映画のロケ地など観光資源を活用している地方公共団体、観光協会旅行社などのネットワークを対象におこなわれます。

具体策としては観光客が持っているニーズを掘り起こすため、満足度をアンケートやモニターツアーなどを実施して調査します。そして調査結果を踏まえてマニュアルを作成したり、情報発信をしたり、体制の強化などの取り組みをサポートします。

テーマ別観光による地方誘客事業の紹介

ニューツーリズムのテーマはたくさんあります。

ここからは、ニューツーリズムをテーマごとに具体的に紹介していきます。

1. アニメツーリズム

アニメツーリズムとは、アニメや漫画の舞台や作品・クリエイターにゆかりのある地域を訪問する旅行のことです。

それらの地域は「聖地」と呼ばれ、作中で見た光景を現実世界の一コマとして鑑賞できることから、ファンの間で人気となっています。

「アニメ聖地」は国内外のアニメファンからの投票を基に選ばれ、例えば北海道苫小牧市は「僕だけがいない街」、埼玉県秩父市は「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」、神奈川県横浜市は「文豪ストレイドッグス」、東京都豊島区は「デュラララ!!」など、聖地を持つ地域が数多く存在しています。

アニメや漫画をきっかけに訪れたファンが、その地域の食や文化にふれ、地域そのもののファンになることも少なくないようです。

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2. サイクルツーリズム

サイクルツーリズムとは、自転車に乗りながら地域の自然や食事、温泉などを楽しむ旅行のことです。

ありとあらゆる観光資源を五感で感じることを目的としており、全国各地でさまざまな取り組みが進んでいます。

例えば和歌山県では、利便性や安全性を考慮しながら山や川、海などが楽しめるサイクリング推奨ルートをつくり、その整備に注力しています。

日本一大きい湖、琵琶湖がある滋賀県では琵琶湖を自転車で一周できるサイクリングコースを指定し、サイクリストの受け入れ態勢の整備を進めています。

また岐阜県にある企業では里山の暮らしを体験できるアクティビティとオーダーメイドのツアーを提供し、そのサービスのひとつとしてサイクリングをしながら地元野菜を購入したり、古民家や農村を訪れたりなど里山の日常体験が得られるツアーを提供しています。

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3. 忍者ツーリズム

忍者ツーリズムとは、日本各地にある忍者ゆかりの地を訪問し、忍者に関する歴史や文化、技術を知り、実際に体験ができる旅行のことです。

忍者は世界から見ても日本の魅力的なコンテンツのひとつとして注目を集めています。

忍者ツーリズムをおこなっている事例として、例えば伊賀市、三重県、三重大学、JALの共同プロジェクト「忍びの里 伊賀」では、日本遺産認定の「忍びの里 伊賀」で「忍びの心・技・体」を体験することができます。

また、かつて忍者が駆け巡ったといわれている山々を走ることで、忍者の正心を学ぶNINJA TRAIL RUNNING RACE(ニンジャ トレイル ランニング レース)などの大会が開催されています。

伊賀焼の里としても知られる三重県伊賀市では、地域の魅力や「本物の忍びの里」を体感できる上質な体験プログラム政策も計画されています。

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4. ONSEN・ガストロノミーツーリズム

ガストロノミーツーリズムとは「郷土料理」と「伝統文化」を合わせて楽しむ旅行のことです。

気候や風土によって異なるその土地特有の食文化、「温泉入浴」などの伝統文化にふれることを目的としています。

新潟市ではガストロノミーツーリズムの一環として、1階がキッチン、2階が食事スペースになったレストランバスを運行しています。観光地を巡る車中で、新潟市周辺で採れた旬の食材を使った食事を楽しむことができます。

また全国の温泉と各地域の郷土料理を活用し、外国からの観光客を呼び込むことを目的に設立された「ONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構」は、自治体が「伝統文化」や「食文化」を観光客が楽しめるプログラムを作成、認定しています。

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インバウンド市場に向けニューツーリズムを推進する際に気を付けたいこと

「ニューツーリズム」とは旅行先に住んでいる人々や地域そのものとの触れ合いを重視した、新たな旅行スタイルのことです。

訪日外国人のニーズは年々多様化しています。ニューツーリズムではこうした旅行者のニーズに応えられる可能性があります。

それだけでなく、地域活性化にも貢献します。

ニューツーリズムによる訪日外国人の誘客に際しては、旅行商品の企画・造成段階で注意すべきポイントと、旅行商品化に向けた現地の体制づくりでのポイントがあります。

観光資源を見つけ出す:日常の一部でも魅力がある

地元の人々にとっては日常の一部として当たり前のことやものでも、訪日外国人から見ると「素晴らしい!」「珍しいからもっと見たい」「自分もやってみたい」など、価値を感じることがたくさんあります。

インバウンド対策として地域資源を活用する際にはまず「訪日外国人が価値を感じるものが、今ここにある」という視点からスタートするとスムーズです。

テーマ選びに関しても、固定概念を取り払う必要があります。日本ではまだまだ浸透していないテーマが外国人には違和感なく受け入れられることがあるからです。

反対に、日本人にはお馴染みで新鮮さがないように見えるテーマでも訪日外国人には十分に楽しんでもらえることもあります。

体験プログラムの考案:外国人観光客の目線で

外国人観光客のニーズは今や多種多様です。初めて日本を訪れた人、何度も日本を訪れているリピーターといった違いもありますが、一般的な観光地以外の場所を見てみたいという外国人観光客は少なくありません。

そこに住んでいる人々の生活や文化を実際に体験し、地域の人たちと会話をして交流を楽しみたいという人など「滞在交流型」観光を求める旅行者も増えてきています。

言葉が通じなくても体験や体を動かすアクションを通じて理解が深まるというメリットがあります。

旅行商品の構成

テーマ設定のある旅行商品をつくる場合は、体験プログラムだけでなく集客力の高い地域や、観光スポット見学などの工程を盛り込むことで、旅行者の満足度を高めることができます。

視覚、聴覚、触覚、味覚など五感をフルに使えるようなコースを意識して行程を作成します。

ツアーの場合は、集合場所を分かりやすい、道のりも容易に理解できる場所に指定することも実は大切です。

また天候によって見学や体験プログラムの実施ができない場合もあるため、代替プログラムや予備コースの準備をしっかり整えておく必要があります。

訪日外国人のサポート体制を万全に

インバウンド対策として旅行商品化を考える場合、まずは予約の受付や事前対応を検討します。

外国人は食事の習慣や入浴の仕方が日本とは異なる場合が多くなります。そうした文化に対し、適切な配慮をするために「何が必要で、どのような対策をしておけばいいのか」を知るための情報収集をおこないます。

また外国人にとって、日本の気候をどのように感じるかも人それぞれです。現地の気象条件や温度差に対応できる防寒対策などを考えておきます。

滞在型だからこそ、常に快適に過ごしてもらうために、受け入れ側でできる準備を怠らないようにします。

また外国人観光客はインターネットやメールを経由で予約する場合がほとんどです。スムーズに問題なく予約が完了できるよう、返信内容を事前にいくつかテンプレートで用意するといった対策も有効でしょう。

参加者の好みに合わせ、食事を選んで食べられるようにするのもおすすめです。食の習慣も国によってさまざまなので、あらかじめ複数の食事プランを用意し、ある程度柔軟に対応できるよう準備をしておきます。

現地ガイド(通訳ガイド)

外国人旅行者へのガイドは、現地のことだけでなく名所の歴史的背景を解説できるなど、歴史文化に対する一般的な知識も求められます。

また、その土地独特の文化理解や自然の解説などをおこなうため、人材育成の整備や構築が必要となります。

外国語を話せるだけでなく、日本についての背景知識がない相手に対し分かりやすく伝える工夫も必要です。基本的には地元住民といった地域に精通した人材を育成することからスタートします。

地域内の連携・協力体制の構築

外国人旅行者が旅行先で不便と感じることのひとつにクレジットカードの利用環境が整っていないということがあります。

母国では日常の買い物をすべてクレジットカードだけで済ませている人もいるため、カードが使えないと不満を抱く人もいます。

宿泊施設だけでなく、周囲の飲食施設や土産店でもクレジットカードが利用できるよう、地域全体の連携が必要になります。

台湾人に人気のお土産は?振り向かせるコツは「割引」「決済方法」「台湾華語」がカギ

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地方ならではの魅力発掘、インバウンド誘客につなげる

インバウンド向けニューツーリズムの成功は、中長期的に持続することで見えてきます。

ターゲットとする市場を定め、プランを計画し、プランを実行し、結果が出てからさらに改善するというプロセスを踏むにはある程度の年月がかかるためです。

そのため、インバウンド向けニューツーリズムを企画して実際に収益を得るまでには一定の時間がかかるという認識は、関係するインバウンド事業者には共有しておく必要もあるでしょう。

また、ニューツーリズムを確立させるためには、観光資源があることだけでは十分ではなく、多言語対応や情報発信といった訪日外国人の受け入れ体制の強化も両輪で進めていかなくてはなりません。

日本人の視点では意識しなければ中々気づくことのできないような、訪日外国人が魅力に感じる部分や不便に感じる部分に敏感になることで、効果的なインバウンド対策が可能となるでしょう。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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