「マスク」がニューノーマル観光のお土産になる日:アフターコロナの新ジャンル「ファッションマスク」の可能性

公開日:2020年06月23日

未だに世界で猛威を振るっている新型コロナウイルスですが、日本を含むアジア諸国やヨーロッパでは感染者数の増加に減少傾向も見られます。同時に新型コロナウイルスの後の社会経済体制の方向性として「ニューノーマル」という言葉が広く知られるようになりました。

例えば、新型コロナウイルスのワクチンや治療薬が開発されるまで、今後はマスクの着用が世界各国で必要事項となります。スペインでは公共の場ではマスク着用の義務が法律として定められましたが、これに類似した対応をとる国や地域も見られています。

その一方でリモートワークが一般的になり人々が通勤する機会が減った結果、外出時に着用するようになったマスクには、洋服と同じように「おしゃれに身にまとうもの」あるいは「身に着ける人の個性を表現するもの」としての役割も求められるようになってきているようです。

また、着用時間が長くなることによる肌への負担を減らすような商品も販売されています。

今回の記事では「ファッションマスク」が日本のインバウンド市場に与えるであろう影響を考察します。

関連記事
新型コロナで変わった世界の「マスク」事情

マスクと過ごす「ニューノーマル」素材やデザインを工夫

今年はじめから世界中で蔓延している新型コロナウイルスですが、接触を回避することにより感染リスクを下げることができると、初期より報じられています。「ニューノーマル」という言葉で、今後の生活様式の変化を示唆する国も少なくありません。

新型コロナウイルスはこれからもしばらくの間根絶はされないという予測の元、「ニューノーマル(新常態)」という言葉で、ウイルスのある中で日常を取り戻そうとする動きが各国で見られています。

「ニューノーマル」の指標には、公共の場でのマスクの着用が含まれる場合が少なくありません。新型コロナウイルスのワクチンや治療薬が一般的に販売されるようになるまでは、多くの国でマスクの需要が高まると考えられます。

日本編

日本はもともとマスク着用率の高い国でしたが、今回の新型コロナウイルス感染拡大によりマスクの着用が一般的になった結果、素材や機能性に工夫を凝らしたマスクがあちこちで見られるようになりました。

スポーツ用品メーカーや衣料品大手のユニクロでは、日本の夏の気候に合わせて、快適に過ごせるようなマスクの販売を始めています。ユニクロでは商品を求める人で行列ができ、多くの店舗で在庫がなくなったことが報じられています。

同時に、機能性だけでなくデザインもマスク選びの際の重要な指標となりつつあるようです。日本国内では「ご当地マスク」の名のもとに、各地の織物で作ったマスクの販売が始まっています。

海外編:ヨーロッパ(スペイン)

かつてヨーロッパでは医療関係者以外がマスクをつけることは一般的ではありませんでした。しかし、現在は医療関係者以外の人がマスクをして街を歩く姿は、日常の風景になりました。

こうした状況を受け、日本同様、マスクの機能性とファッション性に多くの人が注目し始めています。

実際に。デザイン性に優れたマスクを求める人も増えています。これまでマスクを日常使いしていなかったヨーロッパでも、ネット通販で様々なデザインのマスクが取り扱われるようになりました。

マスクの販売について報じるウェブメディアの記事
▲[ネット通販で様々なデザインのマスクが購入できるようになったことを伝えるウェブメディア]:編集部キャプチャ


世界的に有名な観光情報誌『Time Out』のスペイン版の5月半ばの更新では、マドリード市内でかわいいマスクを取り扱っているお店の情報が取り上げられています。


▲[マドリード市内のかわいいマスクを扱うお店を紹介する観光情報誌『Time Out』スペイン版] :編集部キャプチャ


子供向けのサイズやデザインのマスクを取り扱うオンラインショップもインターネット上で増えています。

海外編:東アジア、東南アジア

新型コロナウイルスの流行拡大防止に成功しているといわれる台湾では、バイクが移動の主要手段となっている地域も多く、以前より布マスクも広く使われていました。

台湾では現在も公共交通機関でのマスク着用が定められており、域外からの入境を制限しているだけでなく、日常でも厳戒態勢が継続しています。マスク需要は引き続き高いようで、デザイン性の高いマスクがウェブメディアで複数紹介されています。

医療消耗品メーカーとして有名な台湾の「中衛」も、早くから明るいデザインのマスクを販売しています。


【世界のウィズコロナ】台湾・夏の国内観光、最大7,200円の宿泊補助で「離島」が人気:マスク・罰金・検温の「新しい日常」

新型コロナウイルスの感染者数は世界で700万人を突破し、日本でも1万7,000人以上が感染しています。東京では連日10人以上の新規感染者が報告されており、未だに緊張した状態が続いています。そんな中、台湾では6月7日時点で56日にわたり国内における新規感染者が報告されておらず、国内における新型コロナウイルスの流行の抑え込みに成功したともいえる状況が続いています。台湾では、政府による緊急事態宣言も発令されておらず、会社や学校はパンデミックの最中でも通常通りに運営されていました。これには、社会の...


中国では、新型コロナウイルスの流行初期にはマスクが不足し、果物の皮や下着をマスク代わりに使う様子がSNSで話題にされていましたが、現在では供給が需要に追いついているようです。布マスクは新鮮さを持って受け止められることもあるようです。

また、マスクそのものをファッションの一部として取り入れる意識よりも、マスク着用に合わせたメイクが注目を集めているようです。

中国で市場拡大中「ライブコマース」って?「コンテンツ」がモノを売る時代に、マスク半顔メイクがヒットした理由

タレントやインフルエンサーがライブ動画を配信し、視聴者はリアルタイムに質問やコメントをしながら商品を購入できるという新しいECの形、「ライブコマース」の市場が近年注目されています。日本でも今後成長が期待される「ライブコマース」ですが、中国の事例を元にその背景と今後の展望を解説します。目次ライブコマースとは?巨大な中国のライブコマース市場「タオバオライブ」1.5兆円規模の取引能動的な買い物から受動的な買い物へ閲覧たったの6秒「モノを探さない、説明文を読まない」でも買い物はしたい「認知獲得」だ...


インドネシアでは見る人を笑わせてしまうようなマスクも売られています。

「マスク」がニューノーマル観光のお土産になる日

現在スペインでは、スペイン国旗がデザインされたマスクが人気を博しています。


スペインの国旗がデザインされた黒地のマスク
▲[スペインの通販サイトで販売される国旗がデザインされたマスク]:編集部キャプチャ


この先、各国で観光客の入国が解禁された折には、これまでの「その国らしい」プリントが施されたTシャツやトレーナーといった衣類同様、こうした国旗等をデザインしたマスクがお土産の定番となるかもしれません。

前述の日本のご当地マスクはその先駆けとも位置付けることもできるでしょう。ひらがなや漢字がプリントされた衣類を着用して東京を歩く訪日観光客は珍しくありません。これから衣類同様実用性が高まると考えられるマスクに、「日本らしい」デザインが施されることは間違いありません。

また伝統的、典型的日本のイメージではなくとも、観光地らしさは観光客への大きな訴求ポイントとなるでしょう。東京の水族館ではオリジナルデザインのマスクを施設スタッフが着用し、今後販売を予定しているそうです。

日本の衣料品は、もともと人気が高かった!

観光庁の発表した「訪日外国人の消費動向 2019年 年次報告書」によれば、訪日外国人の衣服の購入率は低くありません。全国籍・地域別(観光・レジャー目的)では、38%もの購入率です。

日常使いが増え、よりファッションとしての側面も強まっていくと考えられるマスクも、衛生用品ではありながら、デザイン性を重視した方向へと消費者の意識も変わっていくことが考えられます。

中国や台湾などインバウンド市場でも存在感のある国や地域では、もともと日本の医薬品や衛生用品への信頼はあつく、こうした背景もあり日本製のマスクは今後注目を集める可能性は大いにあるでしょう。

市場別の訴求ポイント

日本製マスクの売り出し方については、アジア地域からの観光客と欧米からの観光客の2通りに分けて考える必要があります。

訪日外国人の消費動向 2019年 年次報告書」によればアジアからの観光客は医薬品や健康・トイレタリー製品の日本での購入率が高いことがわかります。つまり、アジアからの観光客に対して日本製のマスクを販売するときには、ウイルスの拡散防止等の「マスクの機能性」を強調することが有効な戦略となる可能性があります。

その一方で、民芸品の購入率が高い国もあります。たとえばドイツの民芸品の購入率は21.0%、フランスは35.5%であり、後者は満足度の高さでも衣類に次いで二番目という結果が出ています。

こうしたデータからは、ドイツやフランスからの観光客をターゲットに日本のマスクを開発・販売する際には、「柄や織物などの日本らしさ」を強調することが有効な方法となることが考えられます。

同時に、訪日外国人をターゲットに据えた商品開発では「文化の盗用」に気を配ることを忘れてはいけません。他国の文化の一部を切り取ったデザインは、その文化を軽んじていると受け取られ、非常に厳しい批判の目が向けられます。

「文化の盗用」OKとNGの線引きは?事例から考える

文化の盗用とは、自分が所属する文化圏とは異なる文化の一部を用いて、その文化に所属する当事者の感覚とは乖離したメッセージを展開することを指します。2019年のラグビーワールドカップ日本大会は、海外からも多くの観戦客が訪れ、国内が熱く盛り上がりました。イングランド代表のスポンサー企業が公開した日本大会に臨む選手たちの応援CMが話題になりました。コンテンツでは、文化の盗用とならぬような配慮がなされ、日本へのリスペクトと世界を相手に戦う選手への熱い期待と誇りが表現されています。日本人にはあまりなじ...

【ラグビーW杯】イングランド代表がサムライに!話題の動画から「異文化描写」成功のコツを学ぶ

先月から始まったラグビーワールドカップでは、日本は現在3勝をあげ快進撃を続けています。選手だけでなく、英語の歌詞カードを持ち込んで対戦国の国家を熱唱する日本人など、観客のフェアプレーも話題になっています。応援CMも例外ではありません。イングランド代表のスポンサー企業「O2」が制作したCMは、日本の伝統や歴史を尊重しながら選手たちの闘士を表現した内容になっています。そこには「文化の盗用」にも配慮した、制作陣の熱意がありました。CM制作の背景と、世界中から寄せられた反響を紹介します。目次動画"...


日本のファッション用品の評判とポテンシャルを生かしたマーケティングが必要

相手への気遣いや配慮の大きさを、表情で伝えることの多い日本では、口元のコミュニケーションを補完するようなアイテムが今後開発されていくことも考えられます。目元以外の表情を補完するようなデザインのマスクも販売されるうになるかもしれません。

インバウンド市場における日本のファッション用品に対する評価は、非常に高いものであると考えられます。ファッションマスクをインバウンド観光客のお土産用に売り出す場合には、市場別のマーケティング戦略が必要なだけでなく、世界の消費のスタンダードを踏まえた商品開発が大切です。

<参照>

https://www.elmundo.es/ciencia-y-salud/salud/2020/06/08/5ede109821efa0272a8b45be.html

https://www.laflamencadeborgona.es/producto/mascarilla-bandera-de-espana/

https://mymodernmet.com/es/comprar-cubrebocas-reutilizables/

https://www.timeout.es/madrid/es/tiendas/donde-comprar-mascarillas-bonitas-de-tela-reutilizables

https://mascarillaspersonalizadas.net/mascarillas-de-colores/

https://xn--espaola-7za.net/mascarilla/

観光庁訪日外国人の消費動向 2019年 年次報告書


関連インバウンド記事

 

役にたったら
いいね!してください

この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客のインバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!