5月 外国人宿泊者数98.6%減/2019年年間値、京都が91.9%増で都道府県別伸び率1位に【宿泊旅行統計】

公開日:2020年07月06日

観光庁は6月30日、宿泊旅行統計調査の2020年5月第1次速報と4月第2次速報、さらに2019年年間値の確定値を発表しました。

宿泊旅行統計調査とは、日本人・外国人の宿泊状況を明らかにし延べ宿泊者数・実宿泊者数、客室稼働率、国籍別の延べ宿泊者数等をデータ化したものです。 調査は月ごとに実施されています。

発表された調査データによると、2020年5月の延べ宿泊者数は781万人泊で、前年同月比84.8%減となりました。また、外国人延べ宿泊者数は前年同月比98.6%減と大幅に減少しています。

2019年年間を通しては、延べ宿泊者数が5億9,592万人泊で前年比10.8%増、外国人延べ宿泊者数が1億1,566万人泊で前年比22.7%増という結果となりました。

この記事では、5月と2019年年間の宿泊旅行統計調査データを参考に、訪日外国人宿泊者の動向や今後のインバウンド傾向について解説します。

《注目ポイント》

  1. 5月外国人延べ宿泊者数は前年同月比98.6%減に、全国籍で大幅減
  2. 都道府県別伸び率1位は京都の91.9%増(2019年年間値)
  3. 英・豪が大幅増、ラグビーW杯の影響か(2019年年間値)

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5月外国人延べ宿泊者数:前年同月比98.6%減に

2020年5月の延べ宿泊者数は781万人泊でした。うち外国人宿泊者数は13.5万人泊となりました。

延べ宿泊者数推移のグラフ
▲[延べ宿泊者数推移]:観光庁宿泊旅行統計調査

前年同月比は全体宿泊者数が84.8%減、外国人宿泊者数は98.6%減という結果となりました。

5月に入っても新型コロナウイルスの世界的なパンデミックの影響は大きく、各国でロックダウンや渡航自粛要請の措置が続けられ、また日本への入国拒否の対象も拡大しました。

前月と比較しても全体宿泊者数が19.6%減、外国人宿泊者数が33.3%減と、大幅な減少がみられた4月からさらなる減少となりました。5月後半に緊急事態宣言が解除されましたが、都道府県をまたいでの移動自粛要請などを受けて、日本人宿泊者数の数値も前月より低下しています。

5月客室稼働率:前年同月比50.4ポイント減に

5月の客室稼働率は全体で12.8%で、前年同月比50.4ポイント減となりました。

施設タイプごとに比較しても、旅館、リゾートホテル、ビジネスホテル、シティホテル、簡易宿泊所のすべてで前年同月および前月(4月)から稼働率がマイナスとなりました。特にシティホテルでの減少率が前年同月比71.0ポイント減と高く、その要因としては訪日外国人観光客の大幅な減少が挙げられます。

5月国籍別外国人延べ宿泊者数:全国籍で大幅な減少

2020年5月
前年同月(2019年5月) 前年同月比

アメリカ

26,450人

682,730人

-96.1%

中国

11,420人

2,348,280人

-99.5%

ベトナム

6,840人

58,220人

-88.3%

韓国

4,880人

1,012,700人

-99.5%

フィリピン

3,680人

115,570 人

-96.8%

上の表は、5月の宿泊者数が多かった上位5位までの国・地域の宿泊者数と、前年同月比をまとめたものです。今回はアメリカ、中国、ベトナム、韓国、フィリピンの順となりました。

アジア・欧米を問わず全体的に大きく減少する結果となり、全国籍(集計されている21区分)で大幅な減少を記録しました。唯一ベトナムが減少率80%台となりましたが、観光庁訪日外国人消費動向調査2019年版によるとベトナムからはビジネス目的での訪日が多く、これがほかの国・地域より減少率が低かった要因と考えられます。

※国籍別外国人延べ宿泊者数は、従業者数10人以上の施設に限った数値です。

2019年外国人延べ宿泊者数:前年比22.7%増に

つづいては、2019年年間を通しての宿泊旅行統計調査データを紹介します。

2019年を通しての延べ宿泊者数は5億9,592万人泊でした。うち外国人宿泊者数は1億1,566万人泊となりました。

2015~2019年の延べ宿泊者数推移を表したグラフ
▲[延べ宿泊者数推移]:観光庁宿泊旅行統計調査

前年比は全体宿泊者数が10.8%増、外国人宿泊者数は22.7%増という結果となりました。

2019年の訪日外客数はJNTOが統計を取り始めた1964年以降最高でした。それにともなって外国人宿泊者数も大幅に増加したといえます。

2019年客室稼働率:前年比1.5ポイント増に

2019年の年間を通しての客室稼働率は全体で62.7%で、前年比1.5ポイント増となりました。

施設タイプ別では、ビジネスホテル(75.8%)、リゾートホテル(58.5%)、旅館(39.6%)が、2010年に調査対象が従業者数9人以下の宿泊施設にも拡充されて以降最高値となりました。

客室稼働率が80%を超えた都道府県は、シティホテルで6か所、ビジネスホテルで4か所、リゾートホテルで2か所となりました。

東京都では全体の稼働率が79.5%、ビジネスホテルも84.0%と全国で最も高くなりました。

2019年都道府県別外国人延べ宿泊者数:都市部の伸びが顕著に

施設所在地 延べ宿泊者数 前年比
東京都

2,935万650人

+26.5%

大阪府

1,792万6,170人

+18.5%

京都府

1,202万5,050人

+91.9%

北海道

880万5,160人

+5.6%

沖縄県

775万760人

+25.0%

上の表は、2019年年間を通して延べ宿泊者数が多かった上位5位までの都道府県の宿泊者数と、前年比をまとめたものです。 上から東京都、大阪府、京都府、北海道、沖縄県となりました。

東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、愛知県、大阪府、京都府、兵庫県の8都府県を指す三大都市圏とそのほかの地域での外国人延べ宿泊者数の前年比を比較すると、三大都市圏が30.1%増、地方部が12.0%増となり、三大都市圏の数値の伸びが地方部の伸びを超えました

アジア圏の訪日外国人観光客は東京と大阪以外では北海道に宿泊するケースが多く、欧米圏の訪日外国人観光客は東京の次に京都に宿泊するケースが多くみられました。

2019年国籍別外国人延べ宿泊者数:イギリス・オーストラリアが大幅増

延べ宿泊者数 シェア 前年比

中国

2,984万8,200人

29.5%

+34.7%

台湾

1,347万920人

13.3%

+11.3%

韓国

971万5,410人

9.6%

-18.7%

アメリカ

727万8,440人

7.2%

+30.5%

香港

698万2,380人

6.9%

+12.4%

上の表は、2019年年間を通して延べ宿泊者数が多かった上位5位までの国・地域の宿泊者数と、全体に占める割合、前年比をまとめたものです。 上から中国、台湾、韓国、アメリカ、香港となりました。

上位5位には入りませんでしたが、イギリスが前年比72.4%増、オーストラリアが前年比43.9%増と大幅に数値が伸びました。2019年はラグビーワールドカップが開催されたことから、強豪国である2国からの観戦客が多かったことが要因として挙げられます。

観光庁訪日外国人消費動向調査2019年版によると、6日間以内の短期滞在者が全体の過半数を占める一方、イギリスでは14日以上の長期滞在者が3割、オーストラリアでは4割を占めます。これら長期滞在者の割合が高い2国からの訪日外国人観光客数が増加したことが、2019年の外国人延べ宿泊者数の大幅増加にもつながったと考えられます。

入国制限の緩和と強化:6月分以降はどうなる?

7月1日に日本への入国制限がさらに強化され、その対象が129か国・地域に拡大しています。

その一方、6月18日に行われた新型コロナウイルスの政府対策本部で、日本政府はベトナム、タイ、オーストラリア、ニュージーランドの4か国との入国制限緩和に向けた協議を進める方針を決定しました。

これらの国・地域は新型コロナウイルスの感染が収束に向かっており、いち早く経済活動の再開の動きもみられます。

まだまだ入国制限緩和の対象国が少なく、また緩和の対象もビジネス上の必要な往来からとされていることから、6月分も外国人宿泊者数の低迷は続き、7月分以降から徐々に回復の動きがみられると予想されます。

一方日本人観光客は、6月19日に都道府県をまたぐ移動がようやく全国で解禁されたことから、6月分から回復傾向がみられると考えられます。しかし7月3日現在、東京都での感染者数が増えていることなどから、しばらくは感染の拡大を防止しながらの近場での旅行が主流となるでしょう。

外国人観光客・日本人観光客を問わず、アフターコロナにおける観光客の集客のためには、「安心・安全」を示す衛生管理や感染防止策への取り組みが求められます。

まずは今後徐々に回復していくと予想される日本人観光客に「安全・安心」を示し、次にアジア圏に向けた情報発信をすることが、アフターコロナにおけるインバウンド集客の要といえるでしょう。

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<参照>

観光庁宿泊旅行統計調査(令和2年4月・第2次速報、令和2年5月・第1次速報)

観光庁宿泊旅行統計調査(令和元年・年間値(確定値))

観光庁訪日外国人消費動向調査 2019年年次報告書

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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