国慶節は中国では春節(旧正月)に次ぐ大型連休であり、この時期に多くの中国人が国内外を旅行します。
2019年の国慶節の連休に旅行する中国人の総数は8億人で、そのうち750万人が中国国外への旅行をするとの推計がありました。
今年は新型コロナウイルスの影響で、中国人による海外旅行が消失した一方、最長8連休の長い休暇やリベンジ消費心理の働きかけにより、国内旅行が活況を迎えています。
この記事では、2020年国慶節連休における中国人の旅行トレンド予想について整理します。
インバウンド対策にお困りですか?
「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!
訪日ラボに相談してみる
インバウンドの最新情報をお届け!訪日ラボのメールマガジンに登録する(無料)
2020年最後のゴールデンウィーク
国慶節は、昨年まで休暇を利用して帰省し家族と過ごす人が多いシーズンでした。また、その中には国内・海外旅行へ出かける人も急増しており、訪日旅行が盛んに行われるシーズンでもありました。
中国の大手オンライン旅行会社「携程」(Trip.comグループ:2019年10月まで、中国国内では「Ctrip」の名称で展開)の事前調査によると、2019年の国慶節における中国人の人気旅行先では、日本が1位に選ばれていました。
2020年の国慶節は、中国4大伝統祭りの1つである中秋節と重なるため、10月1日(木)~8日(木)の8連休となり、2020年最長の大型連休と呼ばれています。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、今年の国慶節に訪日中国人観光客の回復を期待することはできません。
一方、中国人の旅行に対する意欲は依然として高まっており、訪日中国人の80%以上が利用している中国最大級の口コミサイト「馬蜂窩(マーフォンウォ/马蜂窝)」旅行研究センターによれば、今年の国慶節連休は例年より長いため、中国の国内旅行、特に長距離の旅行に出かける人が増える見通しです。
さらに、新型コロナウイルスによる長期間の自粛生活と海外渡航制限の反動で、旅行に対する「リベンジ消費」が高まり、中国今年最後のゴールデンウィーク期間中に一気に表面化し、今年初の国内旅行ピークを迎えるとも考えられています。
また、これまで海外旅行のハイシーズンであった国慶節は、今年は新型コロナウイルスの影響で海外旅行ができなくなった消費額の高い旅行者が国内旅行に回帰し、中国国内のラグジュアリートラベル(高級旅行)の市場が活発化すると考えられています。
2020年国慶節は10月1日から8連休/訪日中国人の市場回復、いつに期待?
中国の建国を記念する祝日である国慶節は、毎年大型連休が組まれ、多くの中国人が国内外へ旅行に出かけます。昨年(2019年)は国慶節の人気旅行先として日本が1位となるなど、インバウンド需要の高まりが見受けられました。2020年は新型コロナウイルス流行の影響が心配されますが、依然として訪日旅行への注目度は高い傾向にあります。今回は、2020年の国慶節のスケジュールや国慶節の風習などをふまえ、国慶節に向けたインバウンド対策について解説します。目次2020年の国慶節はいつ?国慶節は中国の建国記念日2...
リベンジ消費とは/中国ではすでに消費拡大!インバウンド対策もアフターコロナに向けて始動
リベンジ消費とは、新型コロナウイルスの感染拡大を防止のための様々な自粛により、かえって消費意欲が高まり、活発な購入活動が見られる現象です。ECサイトの利用や国内旅行者の増加など、リベンジ消費を象徴する動きは中国や韓国で確認されており、消費活動がふたたび盛んになるのではないかと期待されています。「日本インバウンド・メディア・コンソーシアム」が中国のネットユーザーを対象に実施した調査では、新型コロナウイルスの収束後に訪れたい国として日本がトップになるなど、収束を見越したインバウンド対策も重要に...
今年の国慶節旅行トレンドを予測
では今年の国慶節連休にどのような旅行トレンドがあるのか、携程が発表した2020年国慶節旅行の予測データから見てみましょう。
人気旅行先:「三亜」や「大西北」などの長期滞在・長距離旅行
携程のレポートは、今年の国慶節連休の旅行日数は去年と比べて1.7日増加するとみており、旅行に伴う移動距離は2.5個の省を増加し、「中国の半分をまたがるような」長期滞在・長距離旅行がニュートレンドとなると予想しています。
人気の旅行先については、9月2日までに携程サイトでもっとも予約された旅行先TOP10として紹介しています。
順位 | 旅行先 | 所在省 |
---|---|---|
1 | 三亜 | 海南省 |
2 | 麗江 | 雲南省 |
3 | 昆明 | 雲南省 |
4 | 蘭州 | 甘粛省 |
5 | 廈門 | 福建省 |
6 | 張家界 | 湖南省 |
7 | 九寨溝 | 四川省 |
8 | ラサ | チベット自治区 |
9 | 貴陽 | 貴州省 |
10 | 成都 | 四川省 |
雲南省や貴州省など従来から人気の旅行地が上位を占めている一方、海外旅行に行けない代わりに、中国国内の穴場のスポットや地域ならではの景色や文化をじっくり体験できる「深度游」スポットが中国人の関心を引き寄せています。
特に海南省の最南端にある「三亜」と、中国の北西に位置する陕西、甘粛、寧夏、青海、新疆と内モンゴルの一部で構成される「大西北」といった遠方の観光地が、国慶節連休のホットスポットになっています。
「三亜」は白い砂浜と青い海、緑の熱帯植物を有し、「中国のハワイ」とも呼ばれるほど有名なビーチリゾートです。
調査によると、コロナ禍で自由に海外に行けない現在では、海外のビーチリゾートに行く予定だった中国人の多くが三亜に目を向けたことがわかりました。
また、今年7月1日より海南省では旅行客の免税購入枠に関する新たな政策が実施され、国内旅行客の免税購入枠を年間10万元(約155万日本円)まで引き上げました。
この政策を受け、国慶節連休を使って、ショッピングを楽しむことを目的に、三亜を旅行先に選ぶ人が増加すると考えられています。
「大西北」は雄大な砂漠や豊かな少数民族文化に恵まれた土地であり、携程のデータによると、サイト内で大西北の検索の人気度が475%増と急激な成長を見せています。
そのうち、甘粛の検索件数の増加率がもっとも顕著で、省都である蘭州が人気旅行先の4位にランクインしました。
砂漠で豪華なテント泊を体験したり、美しい星空が見える宿に泊まったり、ドローンで広大な景観を撮影したりするなど、大西北の独特な自然や文化を感じられる旅行商品に対する需要が増える傾向も見られます。
【中国】年間1.5億人が海外旅行、最新トレンド「深度遊」とは?ニーズが「爆買い」→「体験・学び」に大変化
こんにちは、クロスシー編集部です。 中国での「海外旅行」ブームについてはこれまで何度か紹介してきましたが、今年も中国人が一年で最も日本に来る「夏」がやってきます。 昨年の中国人の海外旅行動向と、今年の夏の旅行傾向について、「
少人数の団体旅行が主流:「私家团」「一单一团」
また、新型コロナウイルスの流行下で、クラスターなどの感染リスクを回避するために、知らない人と大勢で団体旅行に参加するより、家族や友だちとの少人数のプライベートツアーが台頭する傾向が観察されています。
人々の旅行に対する意向の変化を受け、中国では一つの家族が一つのツアーを構成する「一单一团」や、専属の車やガイド付きの「私家团」、また30人以下の団体ツアー「精致小团」といった旅行商品が生まれました。
携程によれば、9月と10月出発予定の団体ツアーでは、「一单一团」と「私家团」の比率が20%を超えており、「精致小团」が40%を上回っています。
こうした少人数の団体旅行を全部で合わせると、全体の2/3に達していることがわかりました。
レンタカー旅行、フリープランの予約が増加
さらに、今年の国慶節連休には、レンタカー旅行とフリープランの利用も増えると予想されています。
中国旅行研究所のデータによると、2019年国慶節にレンタカーで旅行に出かける人が全体の30.57%を占めていました。
今年は新型コロナウイルス感染対策として、人の密集や接触を避けられる移動手段としてレンタカーが中国で注目を浴びており、今年の国慶節にレンタカーで旅行する人の比率がより高くなると予想されています。
携程におけるレンタカーの予約データからも、9月に入ると、レンタカーを予約する人が増加しており、需要の上昇に伴いレンタカーの値段も高くなっています。
現在は、海南省などの人気旅行地ではすでに品薄になりつつあり、車種としては高級車やSUVがもっとも人気を得ています。
また、航空券や乗車券などの往復の交通とホテルや旅行の宿泊のみをセットにした「フリープラン」も人気の旅行商品となっています。
携程のデータによれば、海南や四川、雲南などの人気目的地では、今年の9月に国慶節連休期間のフリープランの予約数が前年同期比100%増加しています。
国慶節の旅行トレンドからインバウンド誘致対策を
今年の国慶節は、例年より長い連休や新型コロナウイルスがもたらした消費者心理の変化により、国内旅行が活発となり、「長期滞在・長距離」「少人数ツアー」「レンタカー」がキーワードとして挙げられています。
現時点では、訪日中国人観光客に対する渡航制限が続いているなか、今年の国慶節は客足の戻りはあまり期待できない見通しです。
ただし、中国人の間では、アフターコロナの海外旅行先として日本への注目度が高く、日本インバウンドメディア・コンソーシアム(JIMC)が発表した中国人の訪日旅行に対する意識調査によると、海外旅行先の人気ランキングでの結果では、日本が1位となっています。
また、欧米と比べると、中国国内の感染状況が落ち着きつつありますので、訪日中国人観光客の客足の回復が早いとの予測もありました。
今年の国慶節の動向をキャッチしつつ、積極的に正しい情報を海外へ発信し、訪日中国人観光客の回復を見据えたプロモーション、旅行商品の磨き上げに備える必要があるでしょう。
中国人の訪日旅行熱「コロナ後の旅行先ランキング」でも上位に:時期やその心理は?
中国の現地調査によると、3月時点での「海外旅行で行きたい目的地」の人気度で、日本はタイに次ぎ第2位となりました。春節前には1位となっていた日本ですが、2位への転落が起こっています。一方で、4月の別の調査によれば、日本は2位のタイを引き離して圧倒的1位となっています。今回は、2つの調査結果と、データの活用の際に注意すべき点、新型コロナの流行収束後に向けて中国人観光客を呼び戻すためのヒントを紹介します。目次中国「コロナ回復期」人気旅行先ランキング人気旅行先「1位:日本」別の調査結果もデータの読...
インバウンド対策にお困りですか?
「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!
訪日ラボに相談してみる
<参考>
潇湘晨报:国庆将迎来“报复性”出游?携程:“十一”有望迎来今年首个旅游高峰
China.com:携程发布“2020国庆旅行指北”:“大西北”搜索热度暴增475%
中国SNS「RED(小紅書)」最新情報セミナー:訪日ラボ社内勉強会の内容を特別に公開します【訪日ラボ トレンドLIVE! Vol.6】
短時間でインバウンドが学べる「訪日ラボ トレンドLIVE!」シリーズの第6弾を今月も開催します!訪日ラボとして取材や情報収集を行う中で、「これだけは把握しておきたい」という情報をまとめてお伝えするセミナーとなっています。
今年も残りわずかとなりましたが、インバウンド需要はまだまだ好調をキープしている状況です。来年の春節や桜シーズンなど、訪日客が集まる時期に向けて対策を練っていきたいという方も多いでしょう。
今回もインバウンド業界最大級メディア「訪日ラボ」副編集長が、10〜11月のインバウンドトレンド情報についてお話ししていきますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
詳しくはこちらをご覧ください。
→中国SNS「RED(小紅書)」最新情報セミナー:訪日ラボ社内勉強会の内容を特別に公開します【訪日ラボ トレンドLIVE! Vol.6】
【インバウンド情報まとめ 2024年11月前編】UberEats ロボット配達開始、万博需要見すえ大阪で ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。
この記事では、主に11月前半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→UberEats ロボット配達開始、万博需要見すえ大阪で:インバウンド情報まとめ【2024年11月前編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」
スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!