訪日ラボでは、過去10回にわたり令和3年版観光白書について解説してきました。
今回は、その総復習編として、各記事のうち特に注目すべき内容をまとめています。詳しい内容や事例については、各記事で詳しく紹介しています。
観光白書の全体像を見通すことにより、日本の観光業、また関連業界全てにおいて今後の見通しを示す指針になると考えられます。
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1. 世界の観光の動向、日本の観光の動向(2019年、2020年)
この記事では、コロナ禍以前の日本の観光業界がおかれていた状況について各指標を元に振り返りました。
2019年までは、外国人旅行者受入数ランキングで日本は世界で12位、アジアで3位、国際観光収入ランキングでは世界で7位となり成長期のさなかにありました。
訪日外国人旅行者数も2019年までは7年連続で過去最高を更新し、日本国内のホテル・旅館等における延べ宿泊者数は2019年で3億480万人泊となっていました。
ただしコロナ禍の影響によりその状況が一変します。2020年の国際観光客数は2019年と比較し約10億人減少し、訪日外国人旅行者数も2020年2月以降激減しています。
第1回記事では、上記のトピックに加えMICEについての現状や国内旅行の状況、現状から見える課題についても紹介しています。
第1回記事:【2021年観光白書徹底解説】1. 世界の観光の動向、日本の観光の動向(2019年、2020年)
2. コロナ禍を受けた各種支援の状況
2020年からのコロナ禍を受け、「宿泊・飲食サービス」での落ち込みがひどくなり、直近の2021年6月では宿泊予約が7割減少と回答する事業者が大多数を占めています。
雇用者数も2020年時点で2019年と比較し12%減少しており、深刻な状況がうかがえます。
この状況を受け、国土交通省を始めとした政府や関連機関が各種支援を実施しました。支援の活用状況は宿泊施設と旅行業で8割超えとなっています。
また引き続き観光庁関連予算には「Go To トラベル事業」と「地域観光事業支援」が計上されており、今後も支援は継続される見込みです。
なお昨年のGo To トラベルの利用人泊数は少なくとも約8,781万人泊、支援額は少なくとも約5,399億円となりました。
一人泊当たり旅行代金は約13,282円、利用価格分布は5,000円以上10,000円未満が全体の約半数を占めています。
第2回記事では、グラフを用いながら詳細に説明しているほか、現在利用可能な補助金についてまとめています。
第2回記事:【2021年観光白書徹底解説】2. コロナを受けた各種支援の状況
3. コロナ禍の影響を受けた観光トレンドの変化
コロナ禍が1年以上続く中、人々の衛生管理に対する意識、旅に関する意識、そしてライフスタイルについても変化が目立つようになりました。
またコロナ禍で、今までの観光公害などの問題を解決しようという動きもでています。
2020年には個人旅行の割合が4.4%増加し、「ワーケーション」「アウトドア」「滞在型観光」「分散型旅行」「オンラインツアー」などが新たに注目されるようになりました。
さらに修学旅行は目的地が「域外」から「域内」へシフトし、遠方や海外への旅行ではなく域内や近場への観光である「マイクロツーリズム」の需要が現在も増加傾向にあります。
第3回記事では各トレンド、ツアーの事例について詳細に紹介しています。新たな観光トレンド、そして人々の意識の変化にどのように対応していけるのかが鍵となりそうです。
第3回記事:【2021年観光白書徹底解説】3. 新型コロナウイルスの影響を受けた観光トレンドの変化
4. 日本の観光面での課題
コロナ禍により大きな打撃を受けた観光業界ですが、日本の観光はコロナ前から消費傾向と雇用形態の2つの面から課題が指摘されていました。
消費傾向の主な課題としては、国内旅行は宿泊日数の短さ、1月ごとの消費額に偏りがあることがあげられます。
インバウンドにおいては多言語対応、キャッシュレス対応などの受入体制強化が大きな課題となっていました。
雇用形態の課題として、宿泊業は「低賃金長時間労働」、雇用の不安定さ、さらにSDGsについて関心が低いことがあげられます。
第4回記事では、観光業界がおかれた厳しい状況について様々な角度から指摘しています。
第4回記事:【2021年観光白書徹底解説】4. 日本の観光面での課題
5. 観光業の体質強化・観光地の再生に向けた取組
第4回記事の課題を解決する取組として、観光庁はじめ政府は様々に取り組んできました。
まずは消費性向について、観光地の面的再生や、持続可能性を意識した取組、そしてDXとMaaSへの取り組みやDMO・観光協会での取組があげられます。
これらは相互に関連しており、ARやVRを使った既存の観光コンテンツの魅力度向上、そしてDMOや観光協会ではインターネットやSNSを使った発信などが行われています。
また雇用形態については、量と質の2面から幅広く人材育成を実施する方針が示されています。トップ人材の教育から義務教育における観光教育までを含んでいます。
これらの取組について、第5回記事で利用可能な補助金、そして事例について紹介しています。
第5回記事:【2021年観光白書徹底解説】5. 観光業の体質強化・観光地の再生に向けた取組
6. 2021年から実施する政策 インバウンド特化編
第6回から第10回にかけては、2021年から実施する政策を、分野別に分けて紹介しています。
第6回では、インバウンドを取り上げます。コロナ禍により停止状態にあるインバウンドですが、来るべき再開の日に向けて外国人をより良く迎え入れるための環境整備が求められています。
キャッシュレス対応、通信環境の整備、独り歩きできる環境の実現、道の駅の整備などに主に重点をおいて取り組む予定です。
またムスリム観光客、ベジタリアンへの対応など多様な文化を持つ人を柔軟に受け入れるための制度設計が進んでいます。
コロナ禍においては、多言語に対応しているアプリの開発、そしてウェブサイトによる発信が行われています。
第6回記事では、訪日ラボが過去に紹介してきた事例と共に、各トピックについてその重要性などをデータをもとに解説しています。
第6回記事:【2021年観光白書徹底解説】6. 2021年から実施する政策 インバウンド特化編
7. 2021年より実施する政策 観光資源整備・業界改革編
第7回では観光需要の回復に向けて、資源整備や業界改革について紹介します。観光施設だけでなく生産性の向上、仕組みの強化なども求められています。
まず景観の優れた観光資源の保全・活用による魅力向上として、街並みの質の向上に向けた無電柱化の促進、国有林の整備、「観光・まち一体再生」の推進などがあげられています。
また宿泊業の生産性向上として、DX化やマーケティング能力の強化を実施するほか、引き続き観光経営人材の育成・強化を行います。
このほかにも、第7回記事ではMICE・IR誘致の促進、DMOの強化や公募設置管理制度(Park-PFI)について紹介しています。
※「公募設置管理制度(Park-PFI)」とは、都市公園において飲食店、売店などの公園施設(公募対象公園施設)の設置、または管理を行う民間事業者を公募により選定する手続きのことです。都市の利便性向上を期待されています。
第7回記事:【2021年観光白書徹底解説】7. 2021年より実施する政策 観光資源整備・業界改革編
8. 2021年より実施する政策 宿泊施設整備とユニバーサルデザイン
第8回では、特に宿泊施設整備とユニバーサルデザイン、そして免税手続きなど小売消費について紹介します。
まず宿泊施設整備においては、宿泊施設不足の早急な解消と多様なニーズに応えるためにインバウンド、海外観光企業の日本進出、そして民泊サービスについて触れられています。
ユニバーサルデザインについては、交通、宿泊施設での物理的なバリアフリー促進に加え、心のバリアフリーも重視されています。
小売消費については、免税販売手続の完全電子化や、地方の商店街等における観光需要の獲得・伝統工芸品等の消費拡大にも触れています。
第8回記事では、東京2020大会に合わせたバリアフリー化や、10月から変化する免税販売手続制度など最新トピックについても紹介しています。
第8回記事:【2021年観光白書徹底解説】8. 2021年から実施する政策 宿泊施設整備、ユニバーサルツーリズム編
9. 2021年から実施する政策 交通業界編
第9回では、鉄道、航空や自動車道など交通業界について紹介します。移動で必要になる交通手段についても、インバウンド対応を含めた対策が求められています。
まずは訪日外国人専用コンテンツのブラッシュアップ、そして訪日外国人のレンタカー利用に特化した事故対策などが取り組まれています。
また国内、海外を問わず移動をより自由にする概念であるMaaSにおいても、デジタル化を進展させつつ近年取組が進められています。
さらに、従来ビジネス利用が多かった新幹線においての観光機能の強化や、出入国円滑化・ビザ緩和なども進められています。
特に出入国については、感染拡大を防止しながらスムーズに入国できる先端技術を活用する方針です。
第9回記事では、旅行客の安全を守り、かつ分かりやすい発信に対しての取組や、日本人観光客にもメリットをもたらす施策について紹介しています。
第9回記事:【2021年観光白書徹底解説】9. 2021年から実施する政策 交通業界編
10. 2021年より実施される政策 文化財・国立公園編
第10回では、文化財、国立公園、そして古民家泊や寺泊など文化財的な側面を持つユニークな宿泊施設について紹介します。
文化財では、地域の文化財を保存、活用していくための取組や多言語化をはじめとするインバウンドに対応した文化観光拠点にしていくための取組が実施されます。
国立公園では訪日外国人客に向けた多言語化や利用環境の整備のほか、コロナ禍の現状に則しワーケーションなども進んでいます。
ユニークな宿泊施設としては、古民家や寺泊などの歴史的資源を活用した観光まちづくりや、良質な民泊としての農泊も紹介しています。
第10回ではコロナ禍をふまえた最新事例を、写真付きで紹介しています。
第10回記事:【2021年観光白書徹底解説】10. 2021年より実施される政策 文化財・国立公園編
コロナ禍続く中、課題を解決し未来を見据えた取組を
2020年初めからのコロナ禍により、2019年までの好調さとは様変わりしてしまいました。
国際移動だけでなく国内での移動も自粛を求められるなど移動制限が続く中、観光業にとっては、大きな打撃を受ける日々が続いています。
しかし「明日の日本を支える観光ビジョン」に掲げられた、2030年までに「訪日外国人旅行者数6,000万人」を目指すという目標値は変わっていません。
またこのコロナ禍を機に、それまで好調の背景に置き去りにされてきた課題を解決しようという動きがでてきています。
観光白書が示す方向性を参考に、補助金等を活用しつつ自地域ならではの取組、整備をして観光客を迎え入れる準備を続けることが求められるでしょう。
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<参照>
観光庁:「令和2年度観光の状況」及び「令和3年度観光施策」(観光白書)について
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